伝える、はプレゼント。005

『伝わったかどうかは、伝える側に100%責任がある』

これが大前提であり、基本です。
しかし、中には

「飲み込みや要領がものすごく悪いヤツもいる。それを伝えるこちらの責任にされてはかなわない」
「話を聞く側だって、ただ受け身ではなく、状況を察するとか空気を読むとか、そういう努力も必要だろう」
「コミュニケーションはキャッチボールだというのなら、受け取る側にも責任が半分はあるはずだ」

と考える人もいることでしょう。
そのような気持ちも確かにわかります。

ここで改めて「相手の気持ちや感情、理解はこちらがコントロールできない」という基本に立ち返ってみましょう。

とあるレストランを想像してみてください。このレストランはお客さんが入らず、閑古鳥が鳴いています。味の評判もイマイチです。

シェフは自分の腕に自信があり、二言目には「俺の味を理解できない客が悪い」と言い出します。だから味を見直そうともせず、いつまで経ってもお客さんは入らないままです。

…さて、あなたはこのレストランのシェフをどう思うでしょうか。
「いくら自信があっても、お客さんがマズいと言っていたらしょうがないじゃん」
「店に入るかどうか決めるのはお客さんなんだから」
と思うのではないでしょうか。

実はシェフはものすごく腕があり、おいしいのですが、たまたま客層がマッチしていないだけかもしれません。高齢者ばかりの農村で創作レバノン料理を出しているからウケないだけで、銀座に店を出したら流行るのかもしれません。

とはいえ、そんなたらればを考えて「シェフが悪いのか、客が悪いのか」を考えても仕方ありません。「客はマズいと思っているからレストランに行かない」、これは紛れもない事実だからです。そこで客がどうのこうの、と言っても永久に水掛け論です。

仮にそのレストランが倒産したとして、悪いのは客でしょうか?おそらくそれは客が喜ぶ料理を提供できないレストランの問題でしょう。

「伝える」論もこれと同じです。確かに情報の受け手側にも知識がない、やる気がない、などの問題はあるのかもしれません。また、レストランと客の関係とは異なり、情報の受け手、伝えられる側にも一定の義務や責任が生じることも確かです。

とはいえあなたのゴールは「伝える」ことにより、伝えられた人が「行動する」などのアクションを適切に起こしてくれることのはずです。そのゴールを達成することが目的であり、コントロールできない相手を悪いと嘆いても意味がありません。肉が食べたいというお客さんに、でも今日のオススメは魚だ、と無理やり食べさせても評価されないことは明らかです。

それでも納得できないのであれば、「伝えるは、プレゼント。」に立ち返りましょう。プレゼントを渡し、相手が喜ばなかったら「喜ばないあなたが悪い!」と言えるでしょうか。おそらくそんなことを言ったら相手との関係は幕を閉じてしまうことでしょう。。

味がわからない客が悪い、プレゼントを喜ばない相手が悪い、と嘆いても何も得るものはありません。

「相手の気持ちや意欲、知識などはコントロールできない」
「だから、そんな相手にどう伝えるか、その伝える自分に100%責任がある」

これが「伝える」ための第一歩の心構えです。

次回からはいよいよ「伝える、はプレゼント」をテーマに、どう伝えればよいかをお話しします。

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幸本 陽平

マーケティングや問題解決など、研修・セミナー・執筆・コンサルティングを提供しています。(株)東風社 代表取締役社長。 http://www.tofusha.co.jp 2019年1月に日本経済新聞出版社より「実践 トライアングル式問題解決法」発売。

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