マダニ

(2021/8/10 よんチャンTV放送分のこぼればなし)

人が刺されると死に至る危険性もあるマダニ。

人や動物の血を吸う生き物です。野生動物が行き来する場所であれば、街中でも公園でもどこでも生息しています。体長は8ミリ程度ですが、人や動物の血を吸い続けることで大きくなります。1週間血を吸い続け20ミリ程に巨大化したマダニもいます。

国立感染症研究所によるとマダニは様々な病気を媒介します。これが恐ろしいポイントです。中でも重症熱性血小板減少症候群は致死率30%の感染症です。今年6月にも香川県で男性が死亡しました。マダニに刺されたことによる感染症が原因だとみられています。

今回、マダニに刺され小学生の男の子に話しを聞くことができました。草むらで遊んでいたあと足の指と指の間にマダニがいたということです。最初は毒グモだと思ったと本人は話していました。近くにいた大人の判断でマダニを取り除いたそうなのですが、その後受診した皮膚科では皮膚を切開することになったそうです。感染症には罹患していなかったものの、なぜ手術に至ったのか。

口器(こうき)が皮膚に残っているかもしれないから。

マダニは口器と呼ばれる歯のようなものを皮膚に刺すことで血を吸います。人の皮膚に付着したマダニを無理に取ったとしても、その口器だけが残ってしまう場合があるそうです。口器が残るとひどく化膿することも。

更に、刺された際に慌ててマダニを取ろうとするとマダニの体が潰れ体液が口器を通して人の体内に入ってしまう恐れも。これが感染に繋がることもあることから、自分でマダニは取ることは推奨されていません。

そんなこと言われても、自分の体にくっ付いている気持ちの悪い虫をそのまま放置しておくなんて無理という声もあるでしょう。しかし、そこは我慢。マダニに噛まれていることを発見したら、そのままの状態で皮膚科や外科などの病院を受診することが推奨されています。もし可能であれば、ピンセットで口器ごと取り除いても良いそうですが、なかなか素人には難しいのではないでしょうか。キャンプ等のアウトドアで、すぐに病院に行けないことが予想される場合は医療用のピンセットを装備しておくことも一つかもしれません。

朗報もあります。刺されないための明確な対策があります。

「ディート」または「イカリジン」という成分が入っている虫よけスプレーが有効だといいます。蚊よけのために虫よけスプレーを買うなら、この際、ディートまたはイカリジン入りです。薬局へ行けば簡単に見つかります。屋外では長袖、長ズボンで身を守りながら、ディートやイカリジンで対応しましょう。

ちなみに。

今回の取材で、私は生きているマダニを自分の手にのせました。もちろん専門家の立ち合いのもとです。マダニは血を吸うまでにいくつかのステップを踏みます。専門家が見ていると、血を吸おうとしているのか、ただただ歩き回っているだけなのかは見分けがつくそうです。

スイカの種を半分に割ったぐらいの大きさの生きているマダニが私の手の甲を歩き回るのですが、驚いたのは、全く何も感じないのです。アリでも、何か感じますよね?

マダニは、本当に全く何も感じません。くすぐったくもないし痒くもない。無です。

つまり、マダニが服の中に入った、頭皮を歩き回った、おそらく気が付くことは難しいでしょう。だからこそ近寄らせないことが大切です。

外部寄生虫に詳しい医師に聞くと、マダニに刺されて感染症に罹る可能性は100回に1回ぐらいとのこと。かつ、重症熱性血小板減少症候群の致死率は30%ほどです。

コロナ禍で屋外レジャーを楽しむ人も多いと思います。小さいけど手ごわいマダニ。皆さん気を付けましょう。

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