鈴木洋平(編集者)

1988年2月生まれ。2017年まで出版社で『編集会議』をはじめとするメディアや広告・マーケティング専門誌の編集者。2018年より“社会の無関心の打破”を掲げる社会問題に特化したメディア「リディラバジャーナル」記者。さまざまな社会問題の現場を取材している。
固定されたノート

編集による「わかりやすく」の弊害

過去に一度、原稿のやり取りである著者にこっぴどく怒られたことがある。

その著者はもともと怒ると怖いと業界内では有名だったのだけど、僕はそれまでの数年の付き合いで、辛うじて怒られたことはなかった。

だけど、ある日、突然のごとく怒られることになった。

実際には怒られたどころではなく、それはもう激怒だった。

社会人になってあんなに激怒されたことは後にも先にもない。人から怒られて泣きそうになったの

もっとみる

「イシューレイジング」の先を描く

「イシューレイジング」という言葉がある。

NPO業界でよく使われる「ファンドレイジング」は、寄付を集めることを言うのに対し、「イシューレイジング」は、その「イシュー=テーマ」を世の中に認知してもらうことを指す。

「誰かにとっての問題」を「社会としての問題」に変換すること、とも言えるかもしれない。

「イシューレイジング」という言葉は、以下の記事でフローレンスの駒崎さんにインタビューしたときに知

もっとみる

ロシアW杯と、フランスW杯に挑む日本代表

もはや遠い過去のようにも思える、2018年のロシア・ワールドカップ。

グループリーグを突破し、優勝候補でもあったベルギーを追い詰めるなど、いまとなってはポジティブな印象が強い。

でも、大会前の日本代表を取り巻く状況は悲観そのものだった。ちょうど1年前にこんなnoteを書いた。

日本は間違いなくグループステージで敗退する。そう言われていたことに対してのささやかな反論だった。

報道は批判一色、

もっとみる

「着眼点の面白さ」を生むための視野と視座

編集者になって1年目のとき、ある人からこんなことを言われた。

編集とは、読者に視点を提示すること。だから編集者として、常に物事を多角的に見る癖をつけたほうがいいし、そもそも物事の捉え方を自分の中で問い直してみるといい。

良い企画とされるものは、たいてい着眼点が面白い。それはまさに「読者に(これまでにない)視点を提示している」とも言い換えられる。

そして、編集者として少しずつ経験を積むうち

もっとみる

「いい子」に育てると犯罪者になる、のか?

「面白かった」と思える本はたくさんあっても、「読んでよかった」と思える本はそうそう多くはない。そんななかで『いい子に育てると犯罪者になります』は、まさに「読んでよかった」と思える本だった。

本のタイトルは一見すると過激だ。でもそれがいわゆる"釣り"でないことは、一読すればすぐにわかる。むしろこれ以上にふさわしいタイトルはないと思える。編集者として羨ましいくらいのタイトルセンスだ。

この本では、

もっとみる

『深夜特急』という病

いま『深夜特急』を初めて読んだとしたら、10年前、初めて読んだときのように熱狂できる自分はいるのか、とふと思う。

時間があり余って悶々としていた大学3年生の当時と、仕事や副業、育児に忙殺されつつもどこか悶々としている現在。

置かれている状況も違えば、10年という歳月を経たことで、何かに影響を受ける感度のようなものが失われてしまっている気がする。

『深夜特急』は、一人の若者が、デリーからロンド

もっとみる