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1分で読める、中国国内の仲間意識とビジネス

中国におけるSNSアプリのメインターゲットの21歳から25歳までの若者は非常に仲間意識が強く、常に刺激を求めつまらないものに対しては無関心だ。

例えばマッチングアプリを提供する企業群が共通して抱えている課題の一つに、ユーザー同士つながることはできるが、打ち解けられないというものがある。

恋愛SNS「分配対象」は、その課題を攻略した企業である。

分配対象では「一つの重要な場所(告白する、微信を交換する)+複数の特別なシーン(イベントや恋愛リアリティーショー等)」を提供する枠組みを確立。オンライン上の交流の場と、ユーザーが「相手とマッチング」しコミュニケーションできる環境を提供し、打ち解けることができるようにした。
イベント「72時間カップリング」は毎週開催され、毎回3万5000人の参加がある。参加者は2人で一緒に実行するタスク(任務)を与えられ1万組のカップルが成立し、リピート参加率は80%を超える。しかし開催頻度が低く、カップリングに成功したユーザーだけが次のプロセスに進めるため、ハードルはやや高いと言える。
プラットフォームの働きは、タスクを提供し打ち解けるまでのプロセスをプロデュースすることである。「イベントのタスク(任務)」を一緒に体験させ「SNSの友人」へと進展させる環境づくりを担う。
ユーザーは微信やQQ等実際の連絡方法を登録する必要があり、これによりユーザーは「友人に追加」された後、プラットフォームを通じて微信を交換することができるようになる。これがコミュニケーションをスムーズにさせ、従来の「つながる」系SNSより高い効果をもたらしている。
ユーザーを定着させる為には、絶えずワクワク感が求められる。2人で一緒に歌うといったタスクや記念撮影シーンを脚本化、動画コンテンツとして配信。SNSとコンテンツの融合を実現した。

上記の施策を行い、半年で200万人のユーザーを増やしたという。

また、若者が各々で信仰するKOLの出現は必然的で、企業にとって活用しない理由はない。そのKOLや若者が共通して想起することが可能なノスタルジーを用いることで中国ではレトロブランドブームが起きている。

ローカル飲食チェーン「周黒鴨(ZHOU HEI YA)」のイメージキャラクターがあしらわれたコスメセットや、製薬メーカー「雲南白薬(YUNNAN BAIYAO)」のコラボバッグ、ミルクキャンディ「大白兔奶糖(White Rabbit Candy)」の香りを再現したフレグランスなど、欧米式のデザインに中国風レトロのテイストをプラスした商品や、新興ブランドと老舗ブランドの提携企画など、異色のミクスチャーが次々と誕生した。
90年代生まれの若者は、父母世代がこうしたブランドに親しんだのを見聞きして育っている。現代に合ったテイストにリデザインされたそれらの商品にいち早く注目したのは彼らだ。そして、SNSを通じて大きく拡散した。6月初めの時点で、中国版ツイッター「微博(Weibo)」における「#国潮来了(国産製品のブームが来た)」のハッシュタグが付された投稿の閲覧数は累計21億回となっている。

国産弱小メーカー「匹克」は、KOLを活用することでスニーカー市場における巨人に挑む企業だ。

従来のテレビから、短編動画アプリ「TikTok」や動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」、中国版ツイッター「微博(Weibo)」などに舞台を移し、スターアスリートを起用するのではなく、KOL(Key Opinion Leader)など多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーを採用して、消費者とインタラクティブな関係を築く方針に転換したのだ。こうしたマーケティング戦略の一環として、CEOの許志華氏自らの露出も増やしている。あるインフルエンサーがビリビリ動画で公開した態極シリーズのレビュー動画は、再生回数32万8000回、コメント数5万1000件を記録した。

今後もKOLの多岐にわたるであろう活用方法について注目していきたい。

※スカイランドベンチャーズでは、未来について熱く語れる起業家をお待ちしております。ぜひお話しましょう。

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