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-イサム・ノグチ 発見の道 - 違和感を感じとる人は、面構えが凄い。

20世紀を代表するイサム・ノグチ(1904〜88年)の作品が、今月29日まで東京都美術館で観ることができる。
ニューヨークのイサムノグチ財団・庭園美術館と、高松市牟礼町からの彫刻90作品だから、今回の展示物は、なかなか見られるものではない。あんな重いもの90作品は、クレーンで運ばなければならないから、是非この機会に見ていただきたい。

イサム・ノグチは、「彫刻とは」問い続ける生涯であったという。
また、彫刻で未来を変えようとしたとも言われる。

作品に触れ合いながらこれはまさに、
私が現在追求している「センスメイキング理論」を彫刻で形式知する作業の具現者じゃないかと勝手に思えてならなかった。

センスメイキングの3つのプロセスは、
①感知(ありのままにみる)
②解釈(自分なりのフレームにまとめる)
③意味づけ(まとめ上げた考えに意味を与える)
特に感知能力は、五感全体を使って、物事をよく感じてありのままに見る力であり、
ノグチの言葉で「石の声が聞こえてきて、それを削る。ギリギリまで梳くように限界まで削りとる』とあった。
「無題」1987年作品、花崗岩に、掘られた凹凸に生命を感じさせる「黒い太陽」。安藤忠雄や三宅一生も、ノグチ作品が空間に存在するだけで、全体が全く異なるものになると言ったとも。

私自身は「センスメイキング理論」を使う最大の武器は、違和感を感じる力だと思っている。
違和感とは身体知のこと。言語脳を遮断させ体感覚や聴覚のスイッチをオンにして違和感を感じることが必要だ。
そういえば、46歳になった時にノグチは、龍安寺石庭を見て、あの15個の石が、地面から生えているように感じたという、これこそ違和感を感じる力だと思う。

違和感は、ゆらぎを与える。
次にゆらぎが、全体につながると、ズレる。
この生物進化プロセスが、
全く新しい概念を再構築することになる。

私の中でこれこそが、組織を変え、新商品開発のエネルギーになり、やる気を起こさせることになる陰なる原動力ではないかと、
自らの仕事のことを振り返る時間となった。

いやしかし。
それにしてもイサムノグチの眼光は極めて鋭い。
違和感を感じて、根源を考える「センスメイキング理論」の実践をしていく人間は、面構えが変わるのではないかと密かに思っている。

一方で自分の顔は、眉間の縦皺ばかりが深くなっていると
今朝も鏡を見ながらため息をひとつ。

イサム・ノグチ 発見の道
Isamu Noguchi: Ways of Discovery https://isamunoguchi.exhibit.jp/