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デンジャラス・アンダーカット ~ドア下の隙間のはなし


トイレの便器を和式から洋式に変更する工事が、本日無事に完了した。
そして、そういった工事のときは、床の段差解消をあわせて行うことが多い。

ここの場合、いわゆる汽車便という、一段上がったところに和式便器があるスタイルだったのだが、手前の床は廊下の高さより下げてあったため、トイレ床を各所で上げたり下げたりして、全体を廊下と同じ高さにしている。
ここの場合はドアの下に敷居材もあったため、それも撤去した。

その結果。
画像のように、ドア下に隙間が空くのである。今回は30mmくらいか。

これ、このままでいいの?と悩むところである。ひとつはプライバシーの問題で、音漏れがする。家族が多いときなどはこれが問題になるかな。

もうひとつの問題は、この画像を見ていただきたい。

イケてない脚ですみません


ドア下に、開閉時に足を挟む可能性が出てくるのだ。
個人的には、この程度あいていればそこまでダメージはないとは思うのだが、これが中途半端に小さいと、開けたときに親指の爪を剥がす
そそっかしいにもほどがある自分は、それが怖いという自覚があるので、ジェンナーの息子のごとく、こうやって足を挟んで判断している。

ならば建具の下を延長して隙間を埋めれば良いのでは、という考えもある。それで良いといえば良いのだが、実はここでまた困った問題が出ることがある。
今回は、直した床側に内開きなのでその問題は殆どないのだが、床はえてして平らとは限らないし、建具は季節によって伸び縮みする。木は湿気を吸うからね。
だから、ギリギリの寸法を狙って隙間を埋めると、暑い時期に扉の下端が床に綺麗な擦り傷の半円を描いてくれたりする。デリケートなんですよ建具って。

なので、今回はひとまずこの形で工事完了とし、困ることがあったら扉の下を延ばします、というお約束付きとした。
ここの方、このフロアは独居なので他の人の利用がないという条件なのだ。だからそこまでプライバシー面は困らない。


ここで気づいた。一応建築士として。

2003年から、住宅にも機械換気設備の設置が義務付けられている。主に室内空気中の有害物質対策として、である。 そのときに、トイレの換気扇を利用して全館の排気ルートを組むことがある。第3種排気と言われるやつである。
その場合、トイレの中から家じゅうの空気を抜く想定になるので、そこまでの空気の流れを確保するために、ドアにガラリをつけたり(ルーバー状の通気口のことです)、でなければ、あえてドアの下に隙間をつくるのだ。これをアンダーカットという。

だが、どのくらい開けるべき、という規定が(たぶん)ない。空気の流れを相手にしているので、時間あたりの排気量から適切な隙間のサイズは計算できるのだろうが、2時間に1回、部屋の空気が入れ替わる程度の風量でいいので、そこまで大きな隙間は必要なさそうである。

そうなると、上の半端すきま爪剥がし問題が、実はこの20年いろいろなところで発生していたのではないか、という疑問が生まれる。自分は設計業務からほぼ離れている人間なので、はっきりはわからないのだが。

ただ、そういったところにも、身体を傷つける可能性のある可動部があるのだな、ということをお伝えしたいがための、本日のあっさり目のレポートである。

そして皆様のご自宅も是非チェックしていただき、場合によってはこういうのを貼って対応するのもよいのでは。とアマゾンアフィリエイト承認記念にリンクを貼ってみるのであった。



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