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2023/12/22(金) 開催 「スタートアップ・ベンチャー現場支援プレイヤーが語る、”今” 財務責任者が持つべきファイナンスリテラシー」イベントレポート

本記事では、2023年12月22日(金)に実施されたオフラインイベント「スタートアップ・ベンチャー現場支援プレイヤーが語る、”今” 財務責任者が持つべきファイナンスリテラシー」のレポートをお届けします。

本イベントは、サンフロンティア不動産様に会場提供ご協力いただき、東京・四谷にあるシェアオフィス「A YOTSUYA」にて開催されました。

登壇者には、スタートアップ支援に最前線で取り組む

  • 自身も起業・バイアウト経験を持ち、iU(情報経営イノベーション専門大学)で客員教授として教鞭を取りながら、日本政策金融公庫にも在籍し多数のスタートアップ融資支援を行っている佐藤俊太様

  • 東京都が手掛けるスタートアップ支援事業「NEXs Tokyo」にも携わり多数のスタートアップ支援実績があるセブンセンス税理士法人 大野修平様(@Shuhei_Ohno

上記お二方をお迎えし、Yoii・事業責任者の柿澤(@hitoshikaki)がモデレーターを務めました。

会場・セッション中の様子

登壇者ご紹介

柿澤:Yoiiの柿澤と申します。もともと銀行員で会計士としてスタートしまして、フィンテック・ブロックチェーンベンチャー、製造業ベンチャーに入り、そして現職、管理から営業まで何でもやってきた、というキャリアです。よろしくお願いいたします。

大野さん:セブンセンス税理士法人というところで、公認会計士をしております、大野と申します。柿澤さんと同じトーマツ出身なんですけども、トーマツを出てからは中小企業・スタートアップの資金調達のご支援をしています。毎週 補助金と融資の勉強会 を実施しておりますので、気になる方はお越しいただければと思います。Zoomで無料でやっています。

佐藤さん:iU(情報経営イノベーション専門職大学)の佐藤俊太です。iUのホームページを見ればわかるんですが、日本政策金融公庫にも在籍しています。「公庫だけど公庫じゃない」という、ちょっと特殊な立ち位置でもあります。もともとは高校生から起業し、9年間で4つの事業を立ち上げ、その中から小規模なエグジットを3つ経験し、その後公庫に入っています。変な人ですがよろしくお願いします。

佐藤さん解説スライド

佐藤さん:様々なところでセミナー講師もしていますが、その際にこのスライド見ていただいて…「これを見て何に気づきますか?」という質問を投げかけています。例えば、売上単価を10万円上げる、もしくは変動費単価を10万円下げることができれば、500万円利益が出るとか、収益構造を把握することが大事ですよね。何にお金を使ったら利益が出るのか、というのに気づかないといけない。ただ、それだけじゃないんです。

もう一つ気付くべきことがあるんです。わかりやすく、これが月商だとしたら…何か気付きませんか? そう、これ、実際にやろうとしたら、変動費の4000万円と固定費の1000万円を調達しないといけないですよね。買掛にするとか、そういうのも含めて、5000万円を工面できないと実現できない事業計画なんです。

じゃあ、この5000万円をどうしますか?銀行もいきなり5000万円の融資は難しいですよね。ここで出てくるのが、YoiiさんがやってるRBFなんですよ。特にスタートアップは急成長を描くので、増加運転資金がどんどん必要となるのに、金融機関からの与信は追いつかない。だからこそ、そういう意味でも個人的にRBFの仕組みは、非常に注目しています。
…というYoiiさんの宣伝でした。笑
 
柿澤:これ、仕込んでないんですよ。ありがとうございます、使わせていただきます。笑

佐藤さん:では、(私の佐藤という)クレジットつけていただいて…笑


この後、Yoiiが提供するレベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)について簡単なご案内をさせていただき、スタートアップの資金調達手段についてRBFの立ち位置含めご説明のうえ、パネルディスカッションがスタートしました。

▼レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)について

▼スタートアップの資金調達手段・デットファイナンスの活用について


最新動向のキャッチアップ

直近の資本性ローン、日本政策金融公庫などの最新動向について

柿澤:まず、ここ最近の印象ですが、前提として、コロナ禍のタイミングで多額の融資をしてるケースが多いと思います。焦げ付く割合はコロナ禍前後で変わらなくても、融資金額や件数が著しく増加したなら、焦げ付く絶対数は増加してしまう。収益体質には問題ないが、そうはいっても絶対値が増えてくると、金融機関は慎重な態度をとらざるを得ないのではないかと思っています。
 
佐藤さん:そうですね。構造的に仕方のないことなので、そういう印象を持つ人もいると思いますし、実際にそのようにおっしゃってくる企業の方にもお会いしたことがあります。
公庫は政策に則って支援する方針で動いていると思います。特に資本性ローンについては、積極的に取り組んでいますね。政策的にも非常に意義があると、個人的にも感じています。

柿澤:日本は中小企業が多いですから、債務超過になるかならないかのギリギリ企業が数多くあると思います。

佐藤さん:そうですね。例えば、地域のために、金融機関がそのような企業を頑張って支援しているとすると、コロナ禍の影響で大幅な赤字になってしまい、融資先企業が債務超過になってしまうケースもあります。債務超過になると何が良くないかといえば、金融機関が債権の格付をする際に、その格付が落ちてしまう可能性がある。基本的に金融機関の一番の費用は、言ってみれば貸倒引当金繰入額ですから、これが膨らむと金融機関の利益が少なくなり、場合によっては赤字になってしまいます。そうすると、例えば民間金融機関であれば株価が落ちてしまうかもしれない。その結果、日本の金融環境が悪化してしまうかもしれない。そんな時に、公庫の資本性ローンを使い、企業が債務超過を回避することで、民間金融機関の融資先に対する格付が落ちずに済んだりすることもありますね。

柿澤:コロナ禍を経た現在では、資本性ローンは企業に対する支援策だけではなく、民間金融機関に対する支援策であるとも言えるということですね。資本性ローンというと、新株予約権付融資もあると思いますが…?
 
佐藤さん:新株予約権付融資は、公庫の中で担当している事業が違います。公庫には国民事業と中小企業事業があります。資本性ローンは両事業ともにありますが、新株予約権融資は中小企業事業のみの取り扱いです。国民事業と中小企業の違いは、融資金額で言われることが多いですね。国民事業は数百万円からだいたい5千万円、中小企業は数千万円から数億円という金額を融資しています。新株予約権付融資は多額の調達を期待することが多いですから、スタートアップ企業でも比較的ミドルからレイター寄りの企業が使うことが多く、現状では中小企業事業が担当しています。

保証協会の状況について

大野さん:一時期コロナでいわゆるコロナ向けの保証・コロナ融資があり、その時は「とにかく評価している状況じゃない、緊急事態だから、とにかく貸しまくれ」という状況がありました。ようやく、それが正常に戻ってきた。コロナを経験して(イージーに借りれる・保証が降りるという)感覚がバグってしまったので、「厳しくなったよね」と言われたりするけど、むしろ正常に戻ってきただけだと思います。
一方で、経営者保証みたいな部分については、第三者の保証は取りづらいので、取るなら社長の保証なのだけど、そこも外していこう、という話が出てきている。

この2-3年の市況の変化は??

大野さん:ちょっと前はスタートアップの資金調達はエクイティが主流ではあった。ただ、スタートアップの創業者も認識が変化してきて、シード・アーリーで入れすぎるのは希薄化進むな、デットを上手く活用しようかな、となってきたりしている。目の前の資金繰りがけっこう厳しいので、そこで資本性ローンに興味が出てきて、返済を5年7年後ろ倒しできるならやりたいと考えている、というのはある。

佐藤さん:スタートアップで言えば、今後、デットファイナンスは「来るだろうな」と思っています。実際に、スタートアップからの相談も急激に増えていますし。笑
その中で、スタートアップ企業に気をつけてほしいなと思うことは、なんといっても「計画書」です。みんなエクイティ向けの計画書でデットファンナスの申し込みをしてしまう。デットとエクイティでは、資金の出し手の目的が、構造的に違うんです。

エクイティでは、例えば50社出資したうちの1社が大成功すればいいとなると、その1社は大成功しなかった49社を補うくらいの何十倍、何百倍成長してもらわないとエクイティの出し手は困ってしまう。
逆にデットファイナンス側は、これも例えばエクイティと話を合わせるために50社に融資したとすると、そのうち1社でも回収できなくなると、デットファイナンスの出し手が赤字になってしまう可能性がある。
そう考えると、エクイティの計画書は、可能性は低くても急成長するアッパー計画を作る必要がある。その計画のまま、デットファイナンス側に持ち込んでしまうと…わかりますよね。笑 

国内外含め、今のエクイティの市況を考えたら、デットへの需要はどんどん膨らんでいくと思うし、個人的には日本のデットファイナンス環境は世界一だと思っている。デットファイナンスの金額的には米国に見劣りするかもしれないが、一番バリュエーションの低いシード・アーリー期のスタートアップ企業に融資が出ることは強いと思う。

柿澤:スタートアップのファイナンスに詳しい人が社外CFO的にアーリーなフェーズで入って、ということも増えてきましたよね。小さいベンチャーでもそういったところと連携して僕らのようなサービス活用する、とかもあるのかなと。

佐藤さん:スタートアップは「初期の段階でCFO入れない」みたいな状況でしたが、直近2−3年で変わってきている印象があります。スポットCFO人材の需要が上がってきていると思います。

柿澤:フルタイムで入る必要はなくて、スポット・資金調達のタイミングで必要、みたいな。

佐藤さん:そうですね。金融機関は毎日膨大な量の審査処理をしているので、先ほど言ったようなエクイティ用の計画書をパッとみると「これは本当にできるのかな?大丈夫かな?」と思ってしまう。パッと見の印象が良いだけでも、審査の進みが変わってくると思います。この人は金融機関に対する理解があるな…と。笑
 
柿澤:初期のスタートアップ企業は、そんなに財務的な知識がないこともありますよね。

佐藤さん:そうですね。ただ、そんなに難しいことではないんですよ。数字は結果であって、その数字は構造と要素でできているんです。構造は計算式で、要素は計算式を構成している項のことですね。例えば、売上高について、スタートアップ企業の方は、その構造と要素を説明できますか?計算式でいえば、一番シンプルなのは「売上=単価×数量」ですよね。どのような単価・数量をとるのかによって、計算式は変わると思います。まずその計算式が正しいと説明できるか。その計算式が正しいとしたら、次は要素と項の説明です。「なんでその単価になるのか」「なんでその数量になるのか」その理由を説明できますか?その説明に合理性はありますか?みたいな感じですね。そう考えるとやることは簡単ですよね。実際に作るのは結構大変ですが。笑
 
柿澤:金融機関の方々にスムーズに理解してもらうためには、スタートアップ側からも端的でわかりやすく説明できること・そういった資料を提出することが大事なんでしょうね。
 
佐藤さん:あと、くだらないことですが、金融機関は基本的にExcelを使っていることが多いので、Excelで資料を作ると良いと思います。また、融資を検討する会議等では印刷することもあるので、サマリーのようなものをA4やA3サイズでまとめておくと良いと思います。

イベント利用スライド・資金調達手段ごとの特徴について

大野さん:佐藤さんが仰るとおり、VC向け、金融機関向けの資料は異なってくると思う。嘘をつけとか二枚舌をしろ、ということではなくて、スタートアップは夢を打ち出す一方で、受託開発とかライスワークをしている、みたいなことがけっこうある。そちらのほうが売上がきちんと立っていたりするので、金融機関向けにはそっちの受託開発的な部分を打ち出したほうが彼らも評価しやすい、リスクとリターンが見合っている、というのはあるかなと思う。金融機関はやっぱり積み上げ計算で資金繰り回るか、が最重要だったりするので。事業にもいろんな側面があるので、見せ方を工夫したほうがいい。

柿澤:たしかに、急成長するな、というベンチャービジネスと、稼げる、というビジネスは異なったりしますもんね。
 
大野さん:結局はハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン、ということ。調達コストが安い、出し手からするとリターンも少ないということはリスクも少なくやってほしい、ということだと思うのでそこを意識してやるのは大事だなと思う。

佐藤さん:多くのスタートアップにとって、金融機関は初めてロジックで説明しにいくタイミングなんじゃないかと思っています。エクイティでも、プレシードやシード等の初期は、期待感とか共感を得ることが大事で、それをアピールして出資を得ていると思いますが、ラウンドが進み、プレシリーズAやシリーズAあたりになると、再現性やロジックが求められてくる。金融機関は、シードであってもそこを求めてくる。

決して「嘘をつけ」ということではなくて、例えば「思ったように資金調達できなくて赤字が掘れない」となった時に、「仮にこれ以上赤字を掘れない場合でも、数年でなんとか黒字化できる」という部分をちゃんと説明できると、金融機関は好評だと思います。

柿澤:最悪こう推移します、みたいなネガティブケースすらもあると、齟齬がないですよね。

佐藤さん:そうですね。プランA、プランBみたいな。想定通り調達し続けることができるならプランAで大きくJカーブを描く、思ったように調達できなさそうならプランBでJカーブは浅くし、とりあえず黒字化して生き残る。そこで安定させてから、もう一度赤字を掘りに行ってもいいし、バイアウトしてもいいし、それをライスワークとして別企業を立ち上げてもいい。

正直、日本は倒産した後の再チャレンジが、米国等に比べやりにくい国だと思っています。その環境を変えるべきだと思うけれども、これを変えるのは現実問題難しい。変えられない環境だからこそ、対策しておいた方がいい。潰れきっちゃうと再チャレンジしにくいなら、急成長しない場合はギリギリ黒字になって何とか耐えられるプランは持っておいた方がいいと思います。極端なことをいうと、それくらいのネガティブケースの計画を持っておくことが、金融機関にも好印象を与えると思います。

ベンチャーデットの流れについて

大野さん:調達の選択肢が増えるのはいいけど、新興系の資金の出し手が出てくると、彼らもスタートアップなので、見せ方をかなり上手にやっていたりすると思う。スタートアップ側は「うちもできるんだ!」と思っていると、期待値ギャップが生まれてしまったりするので、皆さん逆に丁寧にやっていくのが大事かな、と思います。

柿澤:ベンチャー融資に積極的、みたいなイメージの場所がやってくれない、みたいなこともあったりしますよね。

大野さん:時期も有ると思う。コロナ前はXXX信金さんとかが創業融資を積極的にやっていたりしたが、最近はあまり聞かなかったりする。

柿澤:ベンチャー向けの融資としては最近XXXXさんは消極的で、逆にXXXXさんが最近積極的に支援しているなど聞くこともありますね。

担当者による違い

柿澤:この担当者はなにか違うな、と思ったら引いた方がいいですか?どうするのがベターでしょうか?

佐藤さん:個人的には、その時は引いてもいいと思います。金融機関であれば、融資の意思決定は複数りん議制をとっているはずです。断るにしても、複数の人が納得する合理的な理由をつけているはずです。その理由が誤解に基づくものだと、後で覆すのは大変なので、いったん整理し直してから再度チャレンジする方が良いと思います。これは融資に限らず、複数りん議の構造的な問題ですね。

会場質問:保証協会を利用する場合でも、窓口の銀行によって相当対応が違うかと思うが、複数銀行から聞くと結果が変わるのか? それともその相談データが残っているから変わらないのか?

佐藤さん
:保証協会が保証をつけるかどうかは、当然ですが、保証協会が判断しているので、どの銀行窓口から行っても同じになると思います。ただし、制度によっては保証割合が異なる場合もあります。その際に、金融機関ごとで非保証部分に対する反応は変わるかもしれません。保証付き融資に加え、プロパー融資を打てるのか否かも各金融機関によって異なると思います。

柿澤:銀行的には嫌かもだけど、複数銀行を一緒に検討進めるのがいいと思う。銀行ごとに財務指標の定義が異なるので、同じ決算書でも判断が変わる・基礎の計算式が銀行によって違う、というのもある。あと、担当者がスタートアップ好きか?支店長が柔軟な方かどうか?とかも大事。スタートアップ・ベンチャーはあまり儲からないので、目標に余裕がある、とかも大事だったりする
 
佐藤さん:これはよく聞きますね。実際は何とも言えませんが。笑

柿澤:銀行はいろんなKPIを点数化して評価したりしているので、そのポイントが取れるものは皆やったりする印象もありますね。

佐藤さん:自己査定の基準は、「自己」査定というくらいですから、金融機関ごとに異なるのはしょうがないですし、金融機関も企業なので、それぞれの目標があるんだと思います。そこはそれぞれの色や特徴、得意分野が出て良いような気もします。

ぶっちゃけどういう場合に通りやすい・通りにくい?

大野さん:担当者ガチャはけっこうあるなと思っている。良いなと思っても異動しちゃったりするので、担当者リストみたいなのを作成している。スピード感、事業の理解度みたいな部分を書いていて、移った先・部署とかも追いかけていたりする。後任の方の確認もしたり。

佐藤さん:そのリストは貴重ですね。僕も欲しいくらいです。笑

大野さん:マル秘のことも多いので。。。笑

大野さん:本質的にはビジネスだけども、いろんな要因が噛み合わさって(通る・通らない)、ということはあると思う。実際に、めちゃくちゃ良い内容、自己資金もあって、という案件だったのに融資を断られて新創業融資制度が使えない、というお客さんがいた。僕らの中では担当者が良くなかったのかな、となった
 
佐藤さん:うーん、色々な要素が重なるからなぁ…
 
大野さん:あと、紙で見せることができる、というのは繰り返すようだけど大事。眼の前の担当者から後ろの決裁者に行くので。行動の裏付けとかもできるといい。

柿澤:あるベンチャーは、融資を取ろうとする時はwordで全部まとめた資料を作ってそのままそれを渡している、と言っていましたね。
  
佐藤さん:金融機関では、よく融資検討会や事前協議のようなものをしていることがありますね。その際に印刷できないくらいの膨大なものよりは、読める資料があるといいですね。

Q&A

Q. 政策金融公庫について、国民生活事業と中小企業事業があるが、両方持っていくことに意味は有るのか?

佐藤さん:もちろんありますよ。融資判断の目線も違いますし。自分は両事業を経験していますが、それぞれに特徴がありますね。もちろん、必要資金額や事業規模によって取扱窓口が異なることもありますが…。

Q. ミニマム数千万円は中小事業だと小さい?

佐藤さん:東京だと中小企業で数千万円規模はやや小さめかもしれませんね。逆に国民事業だとやや多めかもしれません。その数千万円が1000万円なのか9000万円なのかはだいぶ違いますが。笑

Q. お客様によってどうしてもキャッシュの入りが遅くなる、ということがあったりする。早めにキャッシュが入るお客さんの事例を出してようやく反応が良くなったり。そのような事業でも評価してもらうことはできるのか?

柿澤:前期の決算悪いけどめちゃくちゃ足元伸びている、みたいなベンチャーだと金融機関からは好かれないな、というのはある

Q. 資本性ローンの借り手側の傾向、何年ぐらいで借りている会社が多い?

佐藤さん:傾向として7-10年が多いように感じます。特にスタートアップが利用する場合は、ファンドの償還期限がだいたい10年なので、それに合わせて利用される方がほとんどです。資本性ローンは原則中途返済ができないので、無駄に返済期間が長いと金利負担ももったいないですし。融資期間15−20年というのはあまり聞かないですね。これだけ返済期間の長い融資は、スタートアップなどの成長局面ではなく、老舗企業でコロナ禍のダメージを受けた、みたいなところの再生局面で使うパターンが多いかなと思います。


イベントを終えて

かなりキワキワを攻めた・むしろオーバーした、オフレコが多い本イベントとなりましたが、その分リアルに役立つtips満載のイベントとなりました。実際にここでは書けないような話も数多くありました。

今回多く話題にあがった融資について、社会インフラでもある金融機関が提供するもの・国の政策と考えると、どうしても敷居が高かったり理解が難しいものと捉えてしまいがちですが、その組織構造やロジックを理解し、また、1つ1つの案件を処理してるのは同じ生身の人間なのだと考えると、突破口が開けるように思えてくる、そんなイベントだったかと思います。

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記事制作協力:佐藤俊太様

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