[INSPIRED を読んで] 製品発見イテレーションの導入
株式会社 ROXX の Shohei です。オンラインリファレンスチェックシステムを開発・提供する back check 事業部の PdM チームに所属しています。
入社して3年10ヶ月が経ち、これまで同事業部の開発チーム内でエンジニア → スクラムマスター → プロジェクトマネージャーと肩書きを変えてきましたが、今回は肩書きは同じまま PdM チームへと籍を移しました。
これまでは寄せられた要求に応えるため、仕様を考えて開発チームと作り上げていくようなお仕事でした。
やってる作業自体にはさほど違いはありませんが、与えられるテーマはより抽象度の高い要望となり、そこに顧客の価値を定義し、価値を正しく提供することが求められます。
「顧客の価値を定義する」ことのヒントを探るべく INSPIRED を読んだので、そこで得た気付きを書き残したいと思います。
重要なリスク
本書によると、製品開発チームが取り組む重要な課題は「カスタマーソリューションの迅速な実験と発見」と「安定した信頼のできるリリース」の2つとしている。私たち PdM チームは主に前者に取り組むことになります。
また製品発見の目的は「エンジニアにリリースできる品質の製品の開発を依頼しても、それが無駄な努力にならないことを何らかの根拠によって確認することである。」とあり、それは同時に以下の重要なリスクに対処することとされています。
簡単にまとめるとこんな構造です。
古い記事に開発された機能の64%が使われていないというレポートがありますが、エンジニアの「無駄な努力」とはまさにこのことで、需要のない機能の開発に力を注いでしまうことは避けたいと誰しも考えます。
これを避けるための多くのテクニックが載ってますが、重要な鍵は「顧客と対話する機会を得ること」であると念押しされています。
製品発見イテレーション
製品発見イテレーションとは
back check Dev チームではスクラム開発を行っておりイテレーション (スプリント) には慣れ親しんでいますが、本書で紹介されている製品発見のイテレーションは少し趣が違っています。
大きな違いはタイムボックスの概念がなく、いわばアイデアのサイクルを指している点です。イテレーションを「1つの新しいアイデアやアプローチを試す」ことだと大まかに定義しています。
プロトタイプを作ってみる (1イテレーション目開始)。その過程で問題が明らかになり、そこからまた新たなプロトタイプを考え出す (2イテレーション目開始)、というサイクルを回していきます。これにより「1週間に10〜20イテレーション」という高速のサイクルが可能になります。
これらをエンジニアに依頼する時間と労力とで比較すると、相当に低いコストでテストを実施することができます。
英語のイテレーション (iteration) は「反復」を意味する言葉なので、タイムボックスの間隔が抜けない人は一度そこに立ち戻ると理解しやすいかもしれません。
気づき
私たち back check の PdM チームとしても、日々アイデアを練って捨ててを繰り返しており、製品発見イテレーションとは呼ばずとも実行していることではあります。
当然、リスクについても考慮しており、顧客ヒヤリングや営業の声を通して需要があることの確認や、アイデア段階で実現可能性についてエンジニアと話し合うことも行います。しかし、このようにフレームワーク化して考えることで、抜け漏れなくソリューションに近づくことができそうです。
back check PdM チームのアプローチを考える
製品発見イテレーションに客観的評価を入れ、高速に回す
本書では製品発見イテレーションは PdM、デザイナーの手の中で終わるものと書かれていますが、そのイテレーションを客観的に評価することは仕組み化するべきだろうと思います。
エウレカの金田さんのインタビュー記事では、PdM のアシスタント時代に1日1個のアイデアを出しては PdM のフィードバックを受けていたと話しています。まさに製品発見イテレーションを回している状態で、これにさらに客観的な評価者がいることでより筋の良いアイデアに近づいていったのだと思います。
私たち PdM チームは現在5名で、うち2名がエンジニア、1名がデザイナーということもあり、チーム内だけでも様々な視点からのフィードバックが集まる構成です。施策のフィードバック会を行ってはいますが、PdM チームの一部メンバーでのみであったり、単発で実施されることがありました。
今後は、チームであるメリットを活かして、製品発見イテレーションをチーム全体で頻度高く回していける状態を作っていきたいと考えました。
機能の全体像ではなくとも最重要機能に絞ったイテレーションでも十分ですが、個人としてもチームとしても、筋の良いアイデアをもっと早く引き出せるようにしていきたいですね。
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