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【GK論】西川周作選手の活躍がなければ、浦和レッズは2016年ACLで「GL敗退」していた。

※この記事は『【GK論】「PK」でGKを評価し、西川周作選手やオブラクを叩く「愚行」はやめるべき。「正しいGKの評価基準」がないからこそ起こる「悲劇」』の続きです。まだ読まれてない方は、まずはこちらからご覧下さい。


≪西川選手の活躍がなければ、浦和レッズはACLで「GL敗退」していた≫

2016年ACLにて、実に「8年ぶり」となる「ベスト16」進出を果たした浦和レッズ。

FCソウルと対戦した決勝トーナメント初戦は、ホーム&アウェー2戦合計「3-3」の引き分けでPK戦に突入し、残念ながら敗れてしまいましたが、今大会を通じての浦和GK西川周作選手の「活躍」は、素晴らしいものがありました。

僕の個人的な見解では、正直、西川選手の活躍がなければ、


「浦和レッズはACLで『GL敗退』していた」


と思っています。

その「根拠」を、これから説明していきます。


≪西川選手の活躍で「流れ」が変わった≫

今年のACL。浦和は結果的には「8年ぶりのベスト16進出」を果たしましたが、GL序盤は、決して良かった訳ではありません。

そんな「悪い流れ」が一気に「変わった」のが、僕はアウェーの広州恒大戦だったと思っています。

この時点でまさかの未勝利と苦しんでいた昨年のACL王者・広州恒大ですが、この浦和戦は序盤から猛攻を仕掛け、前半の早い段階で立て続けに2ゴールを奪い、「2-0」とリードします。

「0-2」となった時、かなり動揺してる浦和の選手が何人か見受けられました。

このままいったら、「0-5」くらいで大敗するかもしれない。

僕はそう感じました。

実際、2点リードしてからも、広州恒大の猛攻は続いていました。いつ追加点を奪われてもおかしくない危険な状況…。


しかし、そこに立ちはだかったのが、浦和の守護神・西川周作選手でした。


動揺する仲間もいる中で、西川選手は本当に「冷静」でした。

いきなりの2失点にも気落ちする事なく、その後も何度となく訪れた広州恒大の決定的シュートを、再三に渡る好セーブで幾度となく阻止し、相手に追加点を与えません。

ここでもし、もう「1点」でも広州恒大に入っていたら、おそらく本当に浦和は「0-5」で大敗していた事でしょう。

仮にそうなっていたら、浦和は「GL敗退」。対する広州恒大は息を吹き返し「GL突破」となっていた可能性が高い。

「アウェーの広州恒大戦で、2失点後に追加点を与えなかった」事。

これが後の浦和の反撃を生み(2点を奪い返して2-2引き分けに持ち込む)、さらにACLにおける浦和の「流れ」をも変え、それだけにとどまらず広州恒大を「GL敗退」にも追い込んだ…と言えます。


それくらい、この試合における西川選手の「活躍」は、大きなものでした。


この試合。パウリ―ニョなどが濡れたピッチを考慮し強烈なバウンドシュートを何度も放ってくるなど、広州恒大は「GKが嫌がる」プレーを意図的にしてきました。

それでも西川選手は、それらをことごとく「冷静」に、「正確」かつ「的確」なセービングで見事に跳ね返しました。


この「価値ある引き分け」で、ACLでの「流れ」が完全に変わった浦和は、ホームで広州恒大に「1-0」完封勝利。

この試合の西川選手は「らしくない」キックミスを連発して、その内、数本が相手に「PA内まで攻め込まれるピンチ」を招くなど、キックに関しては珍しく良くなかったのですが、それでも「セービングの安定感」はこの日も抜群で、試合終盤にはまたしてもパウリ―ニョの決定的シュートを、難しい変化にも対応して足で止めます。

西川選手の「活躍」がなければ、ホームで広州恒大に「1-0」完封勝利を収める事は、決してできませんでした。


続くシドニーFCとのアウェー戦でも、ボールに触る回数が少ないGKにとってリズムを掴みにくい試合展開ながら、この試合の中で「唯一」訪れたピンチを、素晴らしい反応でストップ。相変わらずの「セービングの安定感」に加え、オーストラリア人の「強さ」にも負けていませんでした。


≪「GK」が理不尽な批判を受けるのだけは、断じて許せない≫

以上を見て頂いても分かるように、今年のACLの浦和の躍進の中心に「西川選手」の存在があったのは間違いなく、誇張でも何でもなくて、客観的かつ公平に分析した結果、僕は本気で、

「西川選手の活躍がなければ、浦和レッズはACLで『GL敗退』していた」

と思っています。


ここまでの活躍をした西川選手に対して、FCソウル戦のPK戦だけをもって「戦犯」扱いし、誹謗中傷を繰り返す事がいかに「的外れの間違った批判」であるか…。皆さんにはご理解頂けるかと思います。

※「PKキッカー西川選手」に対する僕の見解は、こちらに書きましたのでご覧下さい⇒『【GK論】それでもやはり、西川選手はPKを蹴るべきではなかった。(2016年ACL・FCソウル戦)

僕は過去に、西川選手の厳しい分析も行ってきましたが、全て「客観的かつ公平」な分析をした結果であり、その上で今回のように「GK」に対して明らかな「的外れの間違った批判」がある場合は、断固として「反対」の声を挙げます。「GK」が理不尽な批判を受けるのだけは、断じて許せないのです。


≪西川選手の「進化」を感じたプレー≫

3失点して敗れたFCソウル戦にしても、西川選手は後半開始直後と終了間際に、共にビッグセーブでチームを救っています。

特にあの後半開始直後の1VS1をストップしたプレーは、シュートへの反応だけではなく、冷静に相手とボールとの距離を見極めて後ろにポジション移動してから止めるなど、「シュート前の準備」も含む、全てが素晴らしかった。


そんな中、西川選手の「進化」を感じたプレーがありました。


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