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【GK論】ベガルタ仙台に「8試合ぶり」の勝利をもたらした「影」の立役者、「サブ」GK関憲太郎選手の存在の大きさ。

ベガルタ仙台GK関憲太郎選手を取り上げるのは、これで「3度目」になります(過去の2度はブログで取り上げました。以下がブログのタイトルです。プロフィールのブログURLからご覧下さい)。

① 【「終了1分前」のたった一度のミスで「1年間」スタメンの座を失った仙台GK関憲太郎選手の逆襲】

② 【今節の「最も輝いてたGK」は…!?(2016年ナビスコ杯・第2節)】


西川周作選手、東口順昭選手、川島永嗣選手など日本代表GKを除けば、取り上げた回数は、「最多」。

僕はあくまで「客観的かつ公平」にGKを見て、その時に「印象に残ったGK」をブログに書いてきました。つまり、それだけ関選手が「印象に残った」回数が多い…という事になります。


しかも、今回は、「試合に出場していない」にも関わらず、「印象に残った」のです。


過去に「試合に出場していない」にも関わらず「印象に残って」ブログに書いたのは、あのFC東京GK榎本達也選手だけです(ブログをご参照下さい。ブログのタイトルは【なぜ、FC東京GK榎本達也選手は、突然、出番がきても結果を出せるのか?】)。


J1・1stステージ第11節。

不振にあえいでいたベガルタ仙台は、スタメン出場した六反勇治選手の好守などで、アビスパ福岡にホームで「2-0」完封勝利。実に「8試合ぶり」となる勝利を挙げました。

GK目線で見た時、「表」の立役者は、紛れもなくスタメン出場して好守で完封勝利に導いた、六反選手でした。

しかし、僕の中で、この勝利の「影」の立役者は、実は、試合に出場しなかった「サブ」GKの関憲太郎選手だったのです。


なぜか?

その「理由」とは…?


僕は試合後の関選手のある「行動」を見逃しませんでした。

試合後。仙台のサブメンバーたちが、試合に出場した選手たちを握手で迎えます。おそらくこれは、チーム内で決められた「儀式」なのでしょう。


そんな中、目を引いたのが、関選手の握手でした。


本当に「満面の笑み」で、試合に出場した選手たちを迎える。握手は誰よりも「魂込めて」力強く、ガッチリと交わしていました。

そんな関選手に迎えられた選手たちも、自然と笑みがこぼれ、関選手に負けないくらい魂込めて、力強くガッチリと握手を交わしていました。


このシーンを見た時、関選手の仙台における「存在の大きさ」を改めて再認識させられました。


サブメンバーたちが試合に出場した選手たちを「握手で迎える」のは、おそらくチーム内で決められた儀式。とは言え、サブメンバーも「プロ」。「試合に出られない」事に不満がある選手も、当然いる事でしょう。そして、そういう不満を抱えていると、前向きに試合に出場した選手たちを迎える事ができず、握手の時も不満が表情に出てしまい、力強い握手なんて到底できない選手も多い。本当、それこそ「儀式だから、仕方なくやる」という風になってしまう。


しかし、関選手の握手は、全くそうじゃなかった。


関選手も、内心はいろんなものを抱えているはずです。試合に出られなければ、誰だって悔しいし、少なからず不満もある。


けど、関選手は、それを決してチームメイトの前で「出さない」のです。


内心で何を抱えていても、勝利を掴んだ試合に出場した選手たちを、「満面の笑み」と、「魂込めた」力強い握手で迎え、最大限に「祝福」する。

そんな関選手に迎えられた(試合に出場した)選手たちが、本当に「嬉しそうだった」んですね。

ああ、関選手は、こうやって、試合に出場していない時でも、チームに「前向きな空気」をもたらし、チームを「良い方向」に導き、チームに「勝利」をもたらしているんだな…と、感じました。


関選手は「サブ」としての働きだけではなく、「スタメン」で出場した時も、今季、怪我で離脱する前は「全て1-0で3試合完封勝利」という結果を出しています。それも、普段からこういう姿勢で関選手が取り組んでいるからこそ、どんな状況で出番がきても「結果を出せる」のだと、僕は思います。

その証拠に、関選手が出場して結果を出した試合後は、チームメイトみんなが本当に嬉しそうに関選手のもとに駆け寄って祝福し、渡辺監督も「普段からずっと(関選手の事を)見ていたので、信頼して送り出した」といったコメントを残しています。


「関憲太郎」という存在が、ベガルタ仙台にとって、いかに「大きい」か。


思えば、関選手が怪我で離脱してから、仙台の「流れ」も急激に悪化し、悪夢の「8試合未勝利」を喫しています。

もちろん、関選手が最後に出場したサンフレッチェ広島戦も「0-3」で負けているので、一概には「関選手が抜けたから勝てなくなった」とは言えないのは分かっています。ただ、関選手が離脱してから、「流れが悪化」し、関選手が怪我から復帰しサブメンバーに戻ってきてから僅か「2試合目」で8試合ぶりの勝利を挙げた事からも、僕はピッチ内外で関選手がもたらした「効果」は計り知れないと考えています。


スタメンでもサブでも、どんな状況でも「チームのために自分ができる事」を最大限に全うしてくれる関選手のような存在がいる事が、どれほどチームの助けになる事か。


同じく怪我から復帰した日本代表常連の六反選手の状態も上がってきており、今後も関選手とのハイレベルな正GK争いは注目です。

そして、関選手に限らず「試合に出場していない」選手が、そこで「何をしているか?」にも注目して見ると、サッカー観戦がより奥深く、楽しいものとなります。

なぜなら、「試合に出場していない」時こそ、その選手の「真の人間性」と「人生哲学」が出るからです。


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