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2/8 Правила посетителя Мариинского театра マリインスキーの鑑賞ルール

今日も例によってマリインスキー、プロコフィエフのオペラ『炎の天使』を観にきた。

隣に座ったお兄さんが初めてマリインスキーに来たようで、19時10分ごろ(開演時間は19時)に「もう始まっているはずの時間だよね?」と訊いてきた。
今日の指揮者はゲルギエフなので、15分遅れは当たり前、といったところなのだがまあこれはローカルルールなので驚くのも無理ない。「最大で40分遅れまで経験したことあるよ」と言ったらウケていた。とはいえこの国では劇場は基本的に時間通りに始まらないので、気にしないに尽きるのだが、結構イラついていた様子で、「仕事でしょ?」などとブツブツ文句を言っていた。
ロシアの劇場や美術館のサイトには «правила посетителя(来場/館者の規則)»というページがよくあるが、マリインスキーのそのページには「指揮者が遅刻してもイライラしないこと」という文言を加えたらいいと思う。


さて、肝心のオペラについて。前半は例によってリハ不足感がかなりあったが、休憩後の3〜5幕は持ち直して結構よかったと思う。演出は結構好みだった。舞台上に常にいるダンサーが呪いの象徴のような感じで、呪いというかレナータの心の動きというかが表現されていた(たぶん)。ダンサーの風貌がソクーロフの『ファウスト』のメフィストフェレスを彷彿とさせていた。

オペラとしてもとても面白い。ペレアスのようなテンポ感で話がどんどん進んで、そんなに長くもないし見やすいオペラだなと思った。やたら長い『戦争と平和』とは大違い。プロコフィエフのオペラは『3つのオレンジへの恋』、『戦争と平和』『修道院での婚礼』しか観たことがなかったけれど、この中のどれとも似つかない作品で、本当にこの人は引き出しが多いと思った。音楽面ではこの中ではダントツで実験的だと感じた。もしプロコフィエフがソ連に戻っていなかったらどんな作品を残していたのだろうか、みたいなことをぼんやりと考えてたりした。

一番いいところで隣の席のお兄さんが(上演中にもかかわらず)話しかけてきてブチギレてしまった。すごい剣幕で睨みつけていたことだろうと思う。でもそのくらいする権利はある。私は友達作りのために劇場に来ているのではない。オペラを観に来ているんだから。

例の規則に「上演中に人に話しかけない」というのも追加してもらいたい。

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