見出し画像

2/17 あまりに良質な椅子取りゲーム

さて、久しぶりに仕事以外の用事で外出した。まあ厳密には退勤後に寄った形になるのだが。

マリインスキーで『ル・パルク』を観てきた。元々はパリオペラ座のレパートリーらしく、確かに終始おフランス感が色濃い作品だった。好き。

以前マリインスキーでプティの『若者と死』を観た時は、ダンサーは素晴らしいのになんだかしっくりこなくて、やっぱりフランスとロシアのスタイルの違いなのかな、相性悪いのかなあと思っていたのだが、今回はそこまで違和感はなかった。今考えてみるとあれはキャストがキム・キミンだったからかなぁという気もしないでもない、キミンは大好きなダンサーだけど、ロラン・プティとは対極にある気もする。

今週何度か上演されていたけれど、テリョーシキナとセルゲーエフの回にした。チケットは他の回の1.5倍したがその価値はある、と思う。

作品もとても気に入った。最後のパドドゥのフライングキスのところしか知らなかったのだけど、全体を通してとても好みだった。コンテだし、こういう性的なテーマの作品だと直接的にやりすぎてしまうと観客を困惑させるし(牧神の午後がいい例だ)、抽象的すぎてもよくわからないものになってしまうが、とてもバランスがいいように感じたというか、単に私にとって心地よい感じだった。
それだけではなくて、音楽と踊りがリンクしている、つまりフーガだと踊りもフーガに、ポリフォニックなところはポリフォニックに、変奏曲のところは同じ振り付けを発展させたり、という作りになっているのも見やすさの要因なのかなと思ったりした。モーツァルトが単に時代的な雰囲気を出すだけではなく生きている感じ、おそらく。こういうのは他だとラトマンスキーが上手い印象がある。

セルゲーエフがめちゃくちゃよかった。彼は王子様属性じゃないというか、クラシックの演目での王子様役にキャスティングされることがほぼないのだけど(別に王子様属性じゃない人が王子様やってることもちょくちょくある)、踊りがめちゃくちゃ丁寧というか、とても美しく踊る人だなと思う。いっぱい飛んですごい!みたいなタイプではないが、表現力が豊かというか身体が語るというか、そんな感じ。今回も彼のそういったスタイルがとてもよく生きていたと思う。エレガントでそつなく動くので、なんならテリョーシキナより演目にはあっていた感じはする、テリョーシキナはこういう作品においてはキメすぎ、みたいな気もしないでもない。めちゃくちゃ美しかったけど。
1場でソリスト2人がコールドに混じって踊るのだけど、もう2人の踊りの精度が高いことと言ったら。こういうのも完璧なテリョーシキナ、本当に大好き…。

良い華金でした。明日絶対にコンタクトの洗浄液を買う…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?