男子校の文化祭。


「文化祭の思い出」企画ということで、思い出すことと言えば自分の所属していたラグビー部の模擬店に必死に他校の女の子を誘っていた部員たちの情熱だろう。


市街地からも離れた小高い丘の上にあった我が母校は中高一貫の男子校であり、年に2日間の文化祭だけが校内に女子がいる期間という恐ろしいところだった(女性は養護の先生と美術のおばちゃん先生2人だけ)。

▲制服女子と下校なんて夢のまた夢であった。。



そんなわけで、シャトルバスに乗って外部から多くの客が来る二日間の文化祭において、飢えた男子たちはタダナラヌ空気になる。

「悲喜こもごも」という言葉をこのときはじめて覚えた。


ラグビー部は何故か伝統的に教室2つを借り切ってカフェを出店する習わしだったから、部員らは「店の売り上げのため」ともっともらしいことを言って女子を何人連れてこれるかを勝負していた。

思えば楽しくてアホな光景だった。

奥手だった僕は大人しく店の奥で皿を洗いながら、しっかりと店の中(普段は男しかいない教室)に目を凝らしていたのだった。


僕の学年で一番多くの女子を連れてきていたのはイケメンでラグビーの技術もエースだったH君だった。多くの部員が、連れてくる人数が2ケタにすら届かず心折れていく中で、彼だけは2日間で何十人もナンパもとい集客していたのを覚えている。

そんな彼は今、某食品メーカーの営業として1年目からバリバリ業績を上げているそうだ。

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