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【俳句】それはともかく寝ます

春の星ふくらんでから溶けるバター
飴を噛みくだいて春の夜に入る
コラージュの中の曲がっている目刺
焼野原画家がいていなくなるまで
迷子ではない花菫つかまえた
鶏皮を噛めばひろくなる金縷梅
うすはりのグラスうまれつき白魚
フラットの多い楽譜や春の風邪
さわってもいいような気がする春灯
芸人の膝出っ張っていて日永
初桜さけるチーズをさかないで
ひなあられ軽くて注射待っている
ふらここの鎖ときとしてやさしさ
蒸鰈むかし綴ったアルファベット
泡立てた卵白混ぜる春の雷
連載を続ければ来る紋白蝶
流氷やひねって投げるピザの生地
春の雨どちらからでも開けられます
雪解や二人がけに三人座る
啓蟄や星の形のマヨネーズ
ひらがなをほどけば春の鳥になる
水温む常用漢字ばかりの壁
タピオカはひみつばかりで大試験
線路巻きとって転がすように春
連れ立って砂漠へ向かう朝寝かな
燕来る靴下の星柄に傷
春一番額縁を持たされている
刺繍するためにある指昭和の日
春筍を分け合って持つ三つ子かな
花篝ゆるくつくるパンナコッタ
目借時寿司が回転するしくみ
パンチングマシーン揺れる菜種梅雨
穴に落ちたことを隠して弥生尽
ルールブックゆっくりめくる穀雨かな
春の夢タートルネック切り開く
へそ守るために衣服があり落花
誇らしいことひとつあり桜漬
蜂の巣やおごそかにはじまる映画
流木からつぎの流木へ春惜しむ
春の雲円周率ひとことでπ
翡翠やアメニティの少ないホテル
振り付けのとおり踊れば白牡丹
薔薇が宇宙回していると信じけり
熱帯魚ミスプリントばかり出てくる
ユーフォーのカードばらまく夏はじめ
蛇待てば待たされたまま雨になる
説明のできない柄のレース編む
はつなつのおおまかに数える目盛り
減っていくスプーンフォークこどもの日
五月闇いつかは水になるあなた

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ものを書くために使います。がんばって書くためにからあげを食べたりするのにも使うかもしれません。

わあい!
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井口可奈

小説を書きます。俳句や短歌もつくります。妖怪きのこ。
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