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ずっと春が嫌いだった

いつの頃からか、私は春という季節が

嫌いになっていた。

世界は花が咲き乱れ、人々はウキウキ

している。

テレビでは連日、桜前線のことを流している。

色とりどりの花々

澄んだ青空

歌う鳥たち

柔らかな風


うんざりだ

早く春なんか終わればいい

毎年、そう感じていた それは

自分と真逆の世界を感じさせるもの


平和や幸せ、笑顔と楽園

余りにも自分と、かけ離れた風景は

その違いを、まざまざと見せて来る


外へ出れば、桜が咲く様子に目がいく

「きれいだな」 そう思う

暖かくなった風 気持ちがいいと

感じる自分がいる


パステルカラーの淡い温かさが好きで

服を選ぶ時はパステルカラーの私


それなのに 春という季節は眩しくて

見ないように過ごしている私がいる

自分を直視するのが、たまらなく苦しく


愛も平和も無い私の生きている世界


だから私は春に苛立ち、嫌悪した

春を妬み、邪魔で仕方がなく

ふん!と、精一杯の敵意を見せた


なのに、最近は春が嫌いではない

いつの間にか好きになっている


noteに来て2年と少し

その大半を、小説を書くことに費やした

書く、 という行為が徐々に自分を変えていた

冬が好きなまま、いま私は春も好きだ

春も好きなんだ








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