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横浜市会に請願を出してみた

請願書の経緯

横浜市政観察の森(Xのコミュニティ)で管理人をしている ゆかりんごと申します。
横浜市に請願を出した際のことをまとめていきます。
初めてのことでしたので、もっと上手い方法があるのかもしれません。
これがどこまで参考になるかわかりませんが、これから請願を出そうと思っている方にお読みいただけたら幸いです。

さて、私は令和3年8月に行われた横浜市長選挙以降、横浜市政のあまりの酷さに気づいてしまい、注視するようになりました。
令和5年に行われた統一地方選挙では、フォロワーでもあったみずしま順二さんを応援、ポスター貼りやビラ配りといったボランティア活動も経験しました。
その演説の中で、自衛隊募集のために18歳および22歳の方の個人情報(氏名・住所)を自治体が提供していることを知りました。

この個人情報提供は、どの自治体でも行われていますが、個人情報提供除外申請をすることができる自治体もあります。
政令指定都市では、札幌や大阪など12の政令市で除外申請を受け付けていますが、横浜、川崎など8の政令市では除外申請がありません。

横浜市では市民からの提案で以下のように回答していました。

市民からの提案

回答
自衛隊への情報提供にあっては、市長等へ情報提供を求めることについての法令は存在する一方、情報提供を望まない方を対象から除くべきことを定めた法令がないこと等を総合的に考慮し、現在、除外の対応は行っておりません。
なお、自衛隊への情報提供については、「自衛隊法」第97条第1項(※1)で定められている国からの法定受託事務(※2)であり、「自衛隊法施行令」第120条(※3)の規定に基づき実施しています。本市では、自衛隊神奈川地方協力本部からの依頼に基づき、自衛隊が自衛官及び自衛官候補生の募集事務に利用(募集対象者への募集案内の送付)するために必要な対象者(18歳及び22歳)の情報(住所、氏名、郵便番号)を自衛隊に提供しています。
情報提供の方法としては、法の目的を達成するための必要最小限の対応とし、募集案内送付の際に1回限りしか使用できず、かつ、使用した後にその情報が提供先である自衛隊に残らないよう、宛名シールにより提供しています。
また、提供した募集対象者情報については、自衛隊において個人情報保護に関する法規を遵守し厳正に管理がなされる旨を確認しています。
現在のところ除外の対応を行う予定はございませんが、貴重なご意見として承りたく存じます。
※1 「自衛隊法」 第97条第1項
都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務の一部を行う。
※2 法定受託事務
本来は国が果たすべき役割に係る事務を法律又は政令により、都道府県・市町村・特別区が受託すること。
※3 「自衛隊法施行令」 第120条
防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

横浜市 市民からの提案より

回答は23年5月となっています。
この時点では横浜市は除外申請を行うつもりはなかったということです。

そして6月、この除外申請について請願書を出してみたらどうかというご提案をうけました。
残念ながら統一地方選で落選となってしまったみずしま氏の訴えをなんとか残したいというお話を聞き、共感し、この請願を出すことを決めました。

仕事の都合もあり、なかなか着手できなかったのですが、まずは調査を行いました。
冒頭で少し触れていますが、政令指定都市20の市の状況を確認しました。
・除外申請は行われているか
・可能ならば申請受付期間とその申請受付方法
・申請時に必要な添付書類の有無と種類
調査は2023年6月末時点のものですが、請願書とともに資料として提出しています。
よろしければご覧ください。リンク

この調査と市の回答から、横浜市に条例がなければ作ればよいという趣旨での請願としました。

なお、一部において、自衛隊の存在を否定するものであるとの批判をいただきましたが、この請願についてはその意図は一切ありません。
子供達が18歳、22歳となった時に、否応なく個人情報が提供されてしまうことを危惧したものであり、募集自体を取りやめることは望んでいません。
(それは上記リンクから請願書を見ていただければわかると思います)
なお、共産党横浜市議団による要望書では、(徴兵制に繋がるものという意味も含めて)この情報提供自体を止めるべきであるとしているようですので、それと同様に考えられたのかもしれません。

署名と紹介議員のお願い

64筆の署名

横浜市のみならず、市民が自治体に提案する方法は陳情と請願とがあります。
 横浜市ホームページ 請願と陳情
陳情の場合は個人で出すことが可能ですが、請願の場合は市会議員のどなたか1人以上に紹介議員となってもらう必要があります。

自身の署名は当然ですが、他にもご賛同の声をいただいておりましたので署名を呼びかけました。
期間が短くなってしまったのですが、それでも64筆の署名をいただくことができました。
家族や近隣の方などなどお声がけいただき多くの署名を集めてくださった方もいらっしゃいますし、お一人でもぜひ署名したいと申し出て下さった方もたくさんいらっしゃいました。こちらも皆様の気持ちを背負うのだと思うと気が引き締まりましたし、勇気づけられました。
この場を借りて、あらためてお礼申し上げます。

紹介議員

さて、紹介議員は必ず1人以上となっていて、1人の署名だけでももらえばだせますが、できることなら多くの方に署名をいただきたいものです。
[用意するもの]
①請願書を各会派分コピーする

横浜市であれば自民・公明・立憲・維新・共産・民主と無所属4名分 合計10部ほど用意します。予備があってもよいでしょう。
原本は別に用意し、そちらに署名を添付しますので、各会派に署名簿を渡さないように気をつけてください。(選挙などに使われるといけませんので!!)
できれば各部クリアファイルに入れて分けておくと渡すのもスムーズです。
②名刺など請願者の連絡先を書いたものを添える
後日紹介議員になるかどうかの連絡をしてもらうため。
個人や市民団体の名刺などあればベターかと思います。これをクリアファイルに同封するとよいと思います。

…と、偉そうに書いていますが、これは用意できていなかったことからの教訓でございます(笑)

用意ができたら、議員が多くいそうな日を狙って市庁舎へいきます。
各会派にスケジュールを確認してもよいかもしれませんが、基本的にはアポイントがなくても議員室をまわることは可能です。
今回はXで相互フォローだったことから、ダメ元でDMした公明党にアポをとっていきました。
各会派の対応は後述します。

①議会棟受付で『請願のために各会派を回りたい』旨を伝える
各会派も回る予定であるならば、議会棟受付でその旨伝えること!!←大事
すると議会棟受付の方が、各会派控室に連絡してくれるので、話がスムーズだと思います。
思います、というのは、このルールを知りませんでしたので勝手に回ったら怒られました(笑)(そんなことはどこに書いてあるのか…誰か教えて)

②入館証を受け取り、セキュリティーゲート突破(笑)
ゲートのすぐ先にエレベーターがあり、6階へ行きます。
エレベーターから少し歩いた先に、議員控室へのドアがあるので、入館証をかざすことで入室できます。

③会派の在籍状況を確認する
議会棟受付や会派控室の廊下にあるモニターで当日来庁している議員がわかるようになっていますので、アポなしで行く場合はあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
来庁している議員の名札は黄色になっています。不在はグレーです。
ですが、横浜のは精度悪いのでしょうか…以前、目の前でゲートを通った議員の
名札は黄色に変わりましたが、なぜかすぐグレーに(笑)一緒に議会棟に入っているのですが…
他にもずっとゲート前にいて誰も通ってないのに来庁から不在に変わっていたり…秘密のセキュリティゲートから抜け出たとでもいうのでしょうか(笑)

④各会派へ請願書を渡す
各会派の議員控室は廊下に地図もあり、入り口に会派名も書いてあります。
各会派受付は入ってすぐにあり、常駐の担当の方がいます。
受付で『請願で〜』と言っていれば、怒られません(笑)
横浜市の場合、無所属は個別の会派となりますが、4会派合同の受付があります。
ここで、議員を呼んでもらい、時間があるようならば直接話をして請願書を渡します。
不在である、手隙の議員がいないなどの場合、受付に渡しておくことができます。横浜市の場合ですが、無所属は合同受付にて4通まとめて預かってもらえます。

⑤署名可否の連絡を待つ
請願について事前に相談でもしてなければ、その場でお話しして即決とはまずなりません。
団長・副団長判断や団会議に諮ってからとなると思います。
無所属の議員さんは概ねその場で即決となると思います。

ではなぜ全ての会派の連絡を待つ必要があるか。
それは紹介議員の署名は上から順に、会派の大きいところから記載してもらう必要があるためです。
横浜市の場合は、自民党が35人で最大会派です。
次に公明党・立憲民主党がそれぞれ15人(当時)、次に日本維新の会、共産党、民主フォーラム(国民民主党)、無所属となります。
会派に請願を渡す際に、提出日との兼ね合いも考えて、◯日までに連絡をと申し添えるとよいと思います。

⑥署名をもらう
各会派からの可否連絡で、可としてくれた会派・議員とのスケジュール調整ができましたら、必ず提出する原本を持っていきましょう。
原本には自身の署名も入れておきます。(請願者住所・氏名)
なお、可否連絡が全くもらえない会派もあったりします💢
その時は受付に行って、本当に議員に渡したか確認しましょう。

今回の請願での各会派の対応

【自民党】署名×
今回一番にアポイントのための電話をしています。遊佐市議事務所でスタッフにことづけ→割とすぐに本人からの伝言を電話いただきました。
請願は団長などの役職のある方が決定権をもっている、自分にはないので、同じ区の渋谷市議(団長)に相談してみてほしい。とのことでした。
居眠りを指摘してすっとぼけた渋谷市議に相談する気が起きなかったのでしてませんが(笑)団長に権限があるというのはわかりましたので、議員室へ署名回りをしたときに受付に預けました。
翌日、受付スタッフより承り不可のご連絡あり。

【公明党】署名×
自民党の次に相談しました。自民党の対応で団長などの役職付きでないと判断ができないとわかりましたので、なぜか相互フォローだった団長の斉藤市議にDMしてみると、話は聞いてくださるとのこと。ただし日程が合わないことから副団長の望月市議にバトンを渡してくれました。(遊佐市議、そういうとこだぞ)
応接室でお話はできましたが、翌日承り不可のご連絡。

【立憲民主党】署名×
議員室周りで、受付に預ける。翌日…特に連絡なし。
署名もらう際に改めて伺うと、麓団長には渡したとスタッフ。
翌日、留守番電話に麓団長直々にメッセージがありましたが…承り不可。
てかもう前日に提出しちゃったよ笑

【日本維新の会】署名×
私が伺った日はたまたま党内で身内の方にご不幸があったとかで、全議員が不在でした。
受付のスタッフによれば、上記のような状況で、しかもすでに今月の団会議は終わっているので、もっと早く持ってきてくれないと…ってそんなの知らんがななんですが。。明らかに提出期限に間に合わないため断念しました。
月一の団会議のスケジュール考えたら相当早くお願いしないといけません。。。

【共産党】署名◯
請願の内容を話すと受付の方がノリノリだったわけですが、それもそのはず。
先述したように共産党は要望書出してましたので。こちらもまず紹介議員の署名はもらえると思ってました。
翌日、OKのお電話あり。署名は副団長の白井市議。

【民主フォーラム(国民民主党)】署名×
議員室回りでたまたま在室の二井市議に請願の説明。団長である小粥市議に渡してもらうことになりました。
特に電話連絡はなかったのですが、署名もらう日に行くと応接室で小粥市議より不可の理由の説明あり。他が電話で一言だったので、その点は評価したい。
ただまあ、「今のところ個人情報流出などの実害がないので請願としては難しい」というのは…あってからでは遅いです。

【無所属】署名◯(大野・井上) ×(太田、輿石)
大野市議…目の前でしっかり目を通してくれ、快諾。署名をもらうアポ取りも、先に他の会派でもらうだろうから…とその時間も気にして決めてくれました。優しい。その時間にお伺いすると、その日は娘さんが体調不良で議員室にいて、ぐずってらしたのですがなんとか寝かしつけて別室にて署名。母の貫禄あったな。どこかのインフルエンサー市議と比べてはいけない。
井上市議…すでにDMにて請願の話はしていました。その日は旧市庁舎訴訟の公判日でしたので不在かな…と思ったらいらしたのでご挨拶も兼ねて。署名の際は市当局と打ち合わせ中でしたが受付の方がもらってきてくれました。

太田市議、輿石市議は議員室回りの際おらず、しかもコビーが足りなくなってしまったので、輿石市議の分だけお渡し。太田市議にはお渡しできず残念です。
署名時にもご不在でした。無所属の方はアポとった方がいいのかもしれませんね。

議会局に提出

紹介議員に署名をもらって、いよいよ提出です。

コピーをとる(任意)

原本を議会局に提出する前に紹介議員から署名いただいた請願書は控えとしてコピーをとります。当然ですが署名簿はしません。
横浜市役所内ではいくつかコピー可能な場所があります。
 ・3階 市民情報センター
 ・1階 セブンイレブン
 ※他にもあるかもしれません💦

②議会棟受付にて請願書提出の旨を伝える
受付の方が議会局の職員を召喚してくれます。

③不備がないか議会局職員と確認
議会局の職員の方2名が受付まで降りてきて、書式や署名などに不備はないかを確認していました。
署名が何人分あるか、というのも、数えて確認していました。
代表者については議事録に残りますということ、下の名前は伏せ、住所は区のみ委員会で読み上げることへの同意を求められました。
今回の請願については特に大きな不備はありませんでした。あれば連絡するとのことで電話番号をお伝え。
あらかた確認すると、議会局に戻り、そちらでも確認を行なったようです。
しばらくすると戻ってきて、めでたく受領となりました。

余談 議会局の方に世間話ついでに
市会中継の公開はもっと早くなりませんか、みんな早く見たいんですよ
と言ってみる。するとなんか気持ち早くなった気がします…! 割と気のせいでもない

請願審査

この提出の時点でも、請願についてはどの常任委員会に付託されるかわかりませんでした。
市民局での取り扱いとみなされ「市民・にぎわいスポーツ文化・消防委員会」にて審議となりました。

請願の内容が市当局から読み上げられ、市民局長による見解は、「これまで行っていなかったが、個人情報への意識の高まりから除外申請の実施を調整している」と、6月までの回答とは180度の転換を見せたのです。

(余談)当局は署名人数46名と読み上げていましたが、64名の間違いです。委員会当日、市民局の方から『間違えて読み上げてごめんなさい』のお電話がありました。議事録では正しく記載しますとのことでした。

というわけで、実施を検討中であるということもあり、請願は不採択となりました。
どぉでもいいですが、ここでも自衛隊の募集自体するなと言ってるかのような捉えられ方しててなんだかなでした。自衛隊の皆さんには敬意しかありませんよ。。。個人情報を送られたくないという人に配慮してください、というお願いですので。

また、他都市では条例で対応しているところはないとの話でしたが
条例がないからできません は横浜市の常套句なので、条例作れと言ったまでです。運用でできるならもっとさっさとやってればいいんですけどね。

中継動画 49分あたりから

議事録はまだない…

請願、その後

なぜ方針転換したのかなど、決算委員会で共産党古谷市議が質問しています。

10/10付の神奈川新聞で古谷市議の質問に関連した形で記事になっています

提供自体は続けていくが、除外申請は受け付けるということで一歩前進ではないでしょうか。。

そして2月22日、横浜市ホームベージに自衛隊への情報提供について掲載されました。

請願の内容としては受け入れられたのではないかと思っています。
まあ、請願の内容は他都市を調査して一般的な実施内容を書きました。(それなら出来るだろう…)

まとめ

請願は紹介議員に署名をいただいたりするのは大変ですが、議会を通して市に問題を認識させることができます。
市民からの提案や陳情書であっても、その数の多さで市がアクションをとる場合もありますし、その声の大きさが可視化されます。
(山中市長になってから、陳情書などこれまで以上、多数寄せられるようになったことを市も認識しているようです)

皆さんもぜひ、声をあげていきましょう。
その参考になれば幸いです。










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