逆噴射プラクティス投稿文 その2

 銃声、銃声、銃声が鳴る。アタシのオートマが鉛の反吐をバラ撒く。いつもの光景だ。
 血飛沫、血飛沫、血飛沫が飛ぶ。眉間やら心臓やらをブチ抜かれたゾンビ共が足下に転がる。まったくいつもの光景だ。
「あらぁ。お上手ですねぇ」
 唯一、手錠で繋がっちまったこの女を除けば。
「おべっかはいらねェ、弾の準備だけしてろ。行くぞ」
 左手で合図する。手首の手錠がじゃらと鳴る。
「つれないなぁ」
 指先が冷たいものに触る。振り向かなくても分かる。アイツが頬摺りしてやがるんだ。クソ、手錠が無けりゃすぐにでもオサラバするんだがなぁ!
「うふふ。アナタのそういうウブなトコ、凄く好みよ?」
「あ、の、なぁ」
 思わず振り返る。丁度、その直後だ。右手廃ビル、二階窓からゾンビが降って来たのは。
「危ねぇ!」
 思わずアイツを抱えてバックステップして、チクショウ腰細いな! オマケに小せェ! つーか顔近い!
「くす。まるでダンスね」
 アイツが笑う。クソ、確かに男ならほっとかねェんだろうな。けどアタシは女だし、何より茹だってる暇なんざ無ェ。
「ハン、ならとびきりの踊りを見せてやらァ!」
 着地、と同時にアイツを抱えたまま回し蹴り。叩き付ける遠心力がゾンビをブッ飛ばす。だがおかわりはそこかしこから湧き来やがる。
 「ちッ!弾!」
 弾倉を排出、銃底をアイツへ向ける。
「了解。初めての共同作業ね」
 装填される弾倉。その手付きすら妙に艶めかしくて。
「ッたく、何でこんな事に!」
 事の発端を思い出しながら、アタシは手近のゾンビを撃ち殺した。

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