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Q.電話・ファックス・パソコン・携帯電話のほかに何か開業時に必要なものがありますか?

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Q.電話・ファックス・パソコン・携帯電話のほかに何か開業時に必要なものがありますか?

1年以内の独立開業を考えています。今から備品などを少しずつ揃えようと思いますが、電話・ファックス・パソコン・携帯電話のほかに何か必要なものはありますか?

電話、ファックス、パソコン、プリンタ、携帯電話と最低限の業務ソフトで仕事はできる
士業開業時には、最低限の必要な業務用ソフトがあれば、後は電話、ファックス、パソコン、プリンタ、携帯電話で士業事務所は始められます。

事務所も自宅で始めれば最初は不要ですので、士業は本当に初期費用のかからないビジネスであることがわかります。

余談にはなりますが、この初期費用、特に設備投資に費用がかからないことで「開業資金」もあまり必要とないと考えられがちですが、販促費用などのビジネスに必要なお金まで必要ないと無意識にとらえられてしまっていることが、このような間違いを生んでいます。業務ソフトについては別ページで回答していますので、ここではそれ以外のものにフォーカスして解説していきましょう。

名刺、事務所案内を充実させよう
多くの士業が無頓着なのが名刺のデザインや情報量です。そして、それ以上に神経が行き届いていないのが事務所案内です。これらを順に見ていきましょう。

まず名刺についてですが、具体的な名刺のデザインや工夫の仕方については別項で解説しますが、仕事がほしいと思うのであれば、名前、資格名、住所、電話番号のみが掲載されたいわゆる「先生名刺」から脱却することです。先生同士の名刺交換、あるいは役所の担当者との名刺交換の際は、この先生名刺を使ってもよいとは思いますが、単に「行政書士」「司法書士」と書かれた名刺では仕事は取れません。

続いて事務所案内も同様です。そもそも、事務所案内をつくったことがないという事務所もあるほど、本当に無頓着な傾向にあります。

たとえば、あなたが住宅を購入する、美容機器を購入するというときに、購入先の会社が「会社案内がありません」といわれれば、「この会社大丈夫だろうか」と少し勘ぐってしまうこともあるでしょう。そのくらい「普通の会社が普通に行っていること」は、士業事務所だろうと確実に作っておく必要があります。信頼とはそういうところから生まれるものです。

事務所案内に関しては、何もフルカラーで高級な用紙を用意する必要はありません。最初はコピー用紙を使ってプレゼン用のクリアファイルで綴れば十分です。「事務所案内が存在する」ということが重要になりますので、巧遅より拙速で動き出しましょう。

私の場合、事務所案内の重要性に気づいてからはワードを使用して、事務所の概要、サービスの内容、報酬額、お客様の声など基本的なものを掲載して使用していました。こうした簡易なものでもお客様は見てくださいますし、まずはつくってみることが重要です。

細部にまで気をつかうことで、よい事務所と認識される
士業事務所があまり気を使えていない点はほかにもあります。それは、優先順位としては低いのですが、書類の送付状、ファックスの送信状、事務所の封筒などがあります。領収書や請求書は各書士会などに専用のものが販売されているので、最初はその専門用紙を使えばよいですが、書類作成は士業の主な仕事になりますので、こうした「紙」には細部まで気をつかいたいものです。

特に士業はまだまだファックスも多用する業界です。建設業や運輸関係の書類のやりとりにはファックスは今でも頻繁に使いますし、Eメールの使用があまり一般的ではない業界もあります。Eメールの使用があまり一般的ではないのが、銀行や融資の保証を行う保証協会など、個人の秘密などを厳守する業界です。融資業務として、行政書士や税理士は特に金融機関や保証協会などとファックスでやりとりをすることもあるでしょう。その際に、丁寧な送信状があるのとそうでないのとでは若干印象が変わってきます。もちろんファックス送付状が美しくできているからといって、プラス査定があるわけではありませんが、送付状をつけない「丸裸」の書類を送られるのとでは印象が異なります。紙を扱う仕事である以上、こういったことに気を付けたいところです。

それから封筒です。もちろん最初は茶封筒に手書き、あるいはゴム印でもかまいません。しかし、あえてわかりやすい言い方をすれば、それでは「ダサイ」と思われてしまいます。ただでさえ、士業界はITに遅れている、デザインセンスがないといわれてしまう業界です(なかには抜群に優れた方もいらっしゃいますが……)。ですから、予算の許す範囲でデザインにも気をつかうようにしましょう。

ところでデザインの話題が出ましたが、少しだけデザインと今後の予測の話をしたいと思います。

前述のとおりデザインには比較的無頓着な業界です。ですから、デザインに少し凝るだけでも差別化を図ることができます。ウェブサイトや前述の封筒、ロゴマーク、名刺、事務所案内など、デザインをもっと工夫することが、今後は重要になると考えています。

今後、業務の価格が上がり続けるということはないでしょう。そして単純な業務では多額の金額をもらうことはできなくなります。

一方で、たとえば税理士顧問料500円などとなれば、逆に怪しく感じることになり、お客様は増えにくくなってしまいます。そう考えると一定の金額幅で落ち着くことになります。

現在では、その差別化を人柄だったり、事務所の特色だったり、多くの事務所が日々努力をしているわけですが、これに付加要素としてデザインが加わってくると私は予測しています。

電化製品などが顕著な例なのですが、もう電化製品などは革命的な開発や発明、新製品は決して多くなく、性能に差がなければ「見た目」で選ぶ時代になりました。士業も例にもれず同じではないかと私は考えています。

ちょうど次の質問が「見た目」の話になります。ぜひとも続けて読んでみてください。

【POINT】紙を扱う商売なら、紙に気をつかおう。名刺、事務所案内、書類送信状、ファックス送付状など工夫の余地はいくらでもある。そして著者は今後はデザインも重要になると予測。あなたの事務所は格好よいですか?

※掲載されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、書籍販売当時のまま掲載しています。

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