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問いを立てるデザイン ~Design of Reproduction~

今回はアーティストの長谷川愛さんに講演していただいた。長谷川さんが性愛にまつわるアートを得意にしていることもありジェンダーの問題が議題に上がった。

医学部の入学試験で女子というだけで一律に減点された問題、女性に大きく関わる問題である卵子凍結に関する会議で女性の参加者が極端に少ないことなどが例に挙げられ、性別の違いによる差についての議論が白熱した会だった。

これらの問題と今日の議論に対する自分の意見を述べる。

まず自分の感覚から見ると、スプツニ子さんの意見は女性サイドによりすぎなのではないかと感じた。もちろん自分の今の日本を見ると女性に不利なことの方が多いなとも思う。しかし逆に女性に対して有利なこともたくさんあると思う。女性に対して有利な料金プランは多いし、女子会やガールズトークといった男を排除するような言葉にもこれは現れていると思う。もちろんこのようなことを言って男と女の差別をチャラにしようと思っているのではない。男の方が出世に有利などと言った大きな恩恵を受けているとは思う。でも自分は社会の進出度が1:1になるのが理想の状態ではないと思う。人間は狩猟採集時代が長く、遺伝子の多くはこの時代の生活に適応するようにできているとも言われている。その時代は男が外に出て狩をし、女は村の人と力を合わせて家事をし、子供の面倒を見るという生活をしており、人によることではあるが今の人間の遺伝子にもそこで幸せを感じ安いような傾向が残っているのではないかと思う。今女性の社会進出が叫ばれているが、目指すべきは男女比1:1ではなく、あくまで社会の効用や人々の幸せを高めるところだと思う。大事なのは対話の中でそのバランスを確認していくことであり、まとめるべき立場の人が異なる性の人の立場をあまり考えずに自分の立場を強く押し通そうとするだけでは対話にならず、まとまるものもまとまらないと思った。

次に法律について。自分は今まで法律についてそこまで学んだことはなかったが今日の法学部の人たちの意見を聞いていく中で、法律は世間の人が選んだ国会議員が決めているということもあり、結局は世論が変わらないと法律は変わらないんだなと感じた。西欧と比較して日本や中国といったアジアの女性の社会進出が遅れていることがよく問題になっているが、これは法律が柔軟でないことが問題なのではなく、法律の元になる世論の変わる速度が遅いことが原因なのではないかと思った。でも自分はこれは悪いことではないと思う。これこそが日本の国民性だと思うし、ここに対して焦って色々と無理な施策をするよりは、徐々に世論が変わりゆく中で、多くの人が納得できる状態になってから移行することができればいいと思う。ここで大切なのが先ほどもあった対話であり、自分の意見を無理に通そうとせず、他の意見を尊重することがとても大事になると思った。またこのような真面目で深い対話を産み、みんなで納得できるような世論を形成していくことにスペキュラティブ・デザインの意義があるし、大きく貢献できる可能性があると思う。

他の意見を尊重することが大切ということに関わることで、授業中にも『フェミニストの話は面白くない』というコメントが炎上していた。これは確かにひどいコメントだと思ったけど、東大のスペキュラティブ・デザインの授業を取っている人の中でさえこのような意見はあるのだから世間一般で見たらこのような人はものすごい数いるのだと思う。いつも同じようなレベルや職業の人とばかり話していると、世論とかけ離れてしまうという問題を強く感じるとともに、ある程度わかってくれる層をいかにそのようなアンチコメントに影響を受けさせず巻き込めるかが重要になってくると思った。


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