近所の本屋さんで注文しよう。(第一話)

〈目次〉

(第一話)

 ① わたしのすむ町、そして、Amazon

 ② インターネットって凄い、と思うけど。

 ③ SNS、そして脱情報デブ宣言 〜情報ダイエット〜

(第二話)

 ④ 近所の本屋さんで注文しよう

 ⑤ 近所の本屋で注文するのは社会実験になる。


【①わたしのすむ町、そして、Amazon】

 私が住んでいるのは、人口一万人を切ってしまった小さな町。市町村合併で「市」に吸収されてしまった旧・小さな町です。

 ここ4,5年の間に、町に、佐川やヤマト、郵便局がひっきりなしに物を配達しているところが目立ってきました。みんなAmazonや楽天でお買い物をしています。だって、ホームセンターがないんだもん。そして、食べ物を買うところがない。スーパーマーケットも小さなのが一軒だけ。

 本好きの私が重要視するのは図書館。でもここに図書館はありません。図書室があるだけです。本当に1.5部屋しかないので、図書室と呼ばれています。

 そして私にとって、最も重要なのが、「書店」。この町には、書店が一つしかありません。でも、書店とは言っても、本は100〜200冊程度の文庫、数種類の雑誌、漫画、そして少しの筆記具しか置いてありません。ちょっと大きめの書店へは、車で50分ほどかかってしまいます。そんな状況なので、年間300冊くらい本を買う私は、Amazonの超ヘビーユーザーだったわけです。

 

【②インターネットってすごい、、、と思うけど】

 インターネットからはさまざまな情報が私の元に入ってきます。昔に比べると、「ああ、あの人の新刊、出てたんだ、、、、、知らなかった」みたいなことはほとんど起こらなくなってきました。Googleの検索機能や、Amazonのオススメ機能、SNS、RSSリーダー、など便利なサービスは、取りこぼしを少なくしてくれました。

 でも、それらは、「欲望換気装置」でもありました。「自分には、今、必要ないけど、興味をものすごくそそられる商品」が次々とおすすめされてきます。SNSでは、自分のお気に入りの人たちが、ツボをくすぐるさまざまな本や商品をレビューしています。(「官能小説用語表現辞典」欲しいですよね。)↓おすすめ商品を、Twitterで検索。こんなツイート、気になってしまいます。


 そして「欲しい」と思ったら「1クリック」で買えてしまうAmazon。この仕組みもよく考えられています。すぐ消えてしまう小さな心の動きを逃さないのです。昔なら単なる気持ちのゆらぎで終わったものが、「購買」にすぐ繋がってしまう優れたシステム。「物を買わせるため」に、「空間」と「時間」をできる限り排除し、決済をクレジットカードにすることで「お金」の存在を見えなくした、それが、このシステムの肝。小さな心の動きのゆらぎを起こされただけで、人は「消費」活動へと誘導されてしまいます。


【③SNS、そして脱情報デブ宣言 〜情報ダイエット〜】

 私の購入する本は年々増えていきました。私の場合、本の購入は不動産問題と直結します。家を図書館化してもいいんですけど、家族から殺されます。

 SNSは本当に貴重な出会いと語り合いを、私にもたらしてくれました。視野が本当に広がりました。でも、私は、自分の「行動」によって世界を広げていきたい。「意志」を発動させるために、外からの刺激(SNS等)ではなく、内側からの刺激を創り出したい。その想いから、SNS(Twitter, Facebook, Instagram)でのフォローをすべて解除しました。

フォロー0とは表示されないようです。

 おかげで、スマートフォンやタブレット、PCの前にいる時間が減りました。フォローしている「文字だけの人」ではなく、命を削って作られた「書籍」の前にいる時間が増えました。家族との時間も増えました。職場の人との会話の時間が増えました。毎日のスポーツを再開しました。夜、よく眠れます。

 Twitterでの刺激は「知的」で頭が中心に働く、そんな世界。でも今は、頭も心も身体も、バランス良く働いています。頭(思考)の働きがより鋭くなっているのは気のせいでしょうか。

 SNSは、頭と欲望を結びつける装置という側面があります。思考は、ちょっと冷めていて、感情のやりすぎを止めることができますが、欲望と結びついた思考は、感情のゆらぎに負けてしまいます。もともとは感情と欲望の相性のほうが断然に強いですから、当然です。SNS&ネットでの買い物はそんな性質を持ちます。

 私は、SNSを半分やめたことで、欲望喚起装置を補佐するAmazonも半分やめることにしようと決意したのでした。

 書店員をやめて、はや10年。書籍業界の現状はだいぶん様変わりしたと思います。それも確かめるために、二つの自分ルールを決めたのです。「ネットで古書は買わない」、「書籍の新品をAmazonで買わないことにする」と。

 田舎の小さな個人経営の本屋さんへの注文で、さまざまなことが分かってきたのでした。

第二話に続く。

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