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出版関連SNS Twitterアカウント一覧 (雑誌系 その3) 最もフォロワーの多い雑誌系アカウントは?

 今回は、8月14日に調査した出版社の雑誌系Twitterアカウントについて、フォロワーが多い順に並べ替えて考察してみようと思います。

雑誌アカウントは書籍アカウントより強いがネットメディアより弱い

 早速見て行きましょう。雑誌系599アカウントのリストはこちら。

 書籍系のTwitterアカウントに比べて、フォロワー数の多さが印象的ですね。

 まず、TOP30をご紹介しましょう。

Twitterアカウント名  フォロワー数
1 サッカーキング  1,178,413
2 VOGUE JAPAN  766,052
3 日経トレンディ  480,114
4 WIRED.jp  412,802
5 ニューズウィーク日本版  351,843
6 ザテレビジョン  345,081
7 Popteen(ポップティーン)  339,393
8 東洋経済オンライン 327,147
9 ぴあ編集部  323,476
10 ゲキサカ  305,933
11 ダイヤモンド・オンライン 287,029
12 MEN'S NON-NO  279,804
13 TVガイド  266,443
14 少年ジャンプ編集部  262,009
15 明星  240,047
16 電撃G's magazine編集部  220,515
17 Casa BRUTUS  218,967
18 Seventeen/セブンティーン  206,065
19 ViVi  198,899
20 美術手帖  194,859
21 POPEYE  194,509
22 月刊ザテレビジョン  191,266
23 ノンノ/nonno  190,437
24 GINZA  189,190
25 Number編集部  187,320
26 ELLE Japan  182,972
27 VOGUE GIRL JAPAN  170,493
28 九州ウォーカー  168,687
29 VOCE(ヴォーチェ)  155,807
30 WiNK UP編集部  154,962

 多くの書籍アカウントはジャンルやテイストが違う様々な書籍を訴求しなければならないのに対して、雑誌は内容に統一性がありブランドへのロイヤリティーを高めて行けばいいことや、刊行サイクルが一定で訴求する材料が常に供給されるところが大きな違いです。

他のメディア系サイトと比べてみると

 雑誌TOPだった「ことりっぷ」は雑誌的な存在で、これを除くと2位の電撃文庫でも156,069と、雑誌系だとベスト30位ギリギリの線とあまり変わらないのです。
 では、雑誌系サイトは素晴らしいかというと、100万を超えているのは「サッカーキング」だけ。50万を超えているのも「VOGUE JAPAN」だけしかありません。
 次のようなメディア系アカウントとフォロワー数の単純比較をしてしまうと、どうしても見劣りするのです。

Fashion Press  3,190,465
日本経済新聞 電子版  2,995,835
NHKニュース  2,676,038
NHK広報局  2,131,107
FASHIONSNAP.COM  1,823,479
AbemaTV(アベマTV)@今日の番組表から 1,422,425
モデルプレス  1,330,543
音楽ナタリー  1,272,184
朝日新聞(asahi shimbun)  1,211,658
music station 1,193,505
NHK生活・防災  942,514
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 922,403
ライブドアニュース  874,387
毎日新聞  841,257
読売新聞オンライン 706,339
Kstyle 695,455
ロイター.co.jp  684,201
映画.com  672,025
ファミ通.com  641,796
シネマトゥデイ  606,481
めざましテレビ  599,279
GIGAZINE(ギガジン)  593,009
Yahoo!ニュース  551,102
ギズモード・ジャパン  542,176
熱闘甲子園  539,813
コミックナタリー  511,756

 もちろん、Twitterフォロワー数の多寡には傾向がありますし、メディアの影響力の一面を表すものでしかありません。

 シンプルなトピックスの記事を量産することは、オリジナリティーのある記事に価値を置く雑誌サイトにはそぐわないと考える人もいるでしょうし、膨大な記者を擁する全国紙に1雑誌媒体で伍していけというのかとか、Yahoo! ニュースでさえ50万ちょっとなのに何が不満だというのだと考える人もいるでしょう。

 とはいえ、雑誌業界、出版業界の枠内で思考するのではなく、このような傾向から人々はどういう情報を求めているのか、どういう情報摂取をしているのかに向き合った上で、自分の得意技を発揮していく方法を考えることがとても大切だと思います。

 では、雑誌系TOPの「サッカーキング」はどうかというと、もう雑誌という枠さえ超えています。

サッカーキングはなぜ1位なのか

 数ある雑誌系アカウントのなかで「サッカーキング」が飛び抜けて多くのTwitterフォロワーを獲得しているのは何故なのでしょうか。8月17日に、27本もの投稿をしています。元サイトに行くと、サッカーの記事だけなのに37本も記事配信しています。特定ジャンルに絞り込んだコンテンツ、鮮度の高い情報や独自の付加情報、豊富な情報提供、という点が、情報が溢れすぎているTwitterのタイムラインのなかで、必要な情報を逃さず、効率よく収集するためのアンカーとして機能しているのではないでしょうか。

 リストには加えていませんが、サッカーキングチャンネル(11,672)という動画配信アカウントや、サッカーキング・ショップ(22,690)、育成年代にスポットをあてたサッカー情報サイト『サッカーキング・ネクスト』の公式アカウント(60,215)もあり、多角的に運用しています。

「VOGUE JAPAN」にしても、その提供する世界観は明らかです。8月17日には47回ツイートしていますが、そのいずれにも独特の世界観の写真が添えられています。

 その後に続く「日経トレンディ」「WIRED.jp」「ニューズウィーク日本版」にしても、提供するコンテンツの独自性、信頼性が明らかではないでしょうか。

 しかし、考えてみれば、そもそも雑誌とはそういうものではなかったのか、とも思う訳です。他にはない独自の切り口、スタイル、デザインといった個性、特定分野での驚異的な情報収集力、深い知見といった信頼性。

 読者にとっては、雑誌を買うという行為は、特定の世界観、スタイル、社会的クラスに所属しているという満足感を得るためのチェックインだったのではないでしょうか。だからこそ、雑誌を持ち歩くことにも意味があったのです。

 では何が変わったのか? 情報に溢れた今の世の中では、記事という形で情報を提供するだけでは読者のロイヤリティーを満足できなくなったのではないでしょうか。

 近頃いくつかの雑誌では、WEBメディアでの記事配信、有料課金、セミナーやパーティーなどのイベント、書籍の販売など、ファンとの様々な接触点を継続的に作り、課金やスポンサー企業の協賛金などによって収益的の機会を増やそうという流れが生まれています。それは、読者にとっても、バーチャルとリアルを組み合わせた世界観が提供されて、望ましいことなのだと思います。だからこそ、収益改善という提供側の都合だけでなく、より快適で求められる内容のサービスを提供するという顧客側の視点や、トータルな視点でのブランドコントロールが必要になってくるのだと思います。

 ところで、WEB記事の告知を行っている「サッカーキング」とは別に、「SOCCER KING」(@worldsoccerking)というTwitterアカウントがあり(リストでは「WORLD SOCCER KING」に当てはめました)があります。こちらは、もっぱら雑誌の内容を告知しているアカウントで、139,273のフォロワーがいます。誌面内容の告知で14万近いフォロワー数を獲得するのは普通に考えれば大変なはずですが、117万人のフォロワーを抱えるアカウントのRTなど立体的なアプローチが功を奏しているのではないかと思います。

 今回の調査でTwitterアカウントを検索している過程で、WEBの画面にはTwitterからレコメンドされたアカウントをいくつも目にすることになりました。そのうちいくつかのアカウントからサイトへのリンクを辿ると、「これ、知らない雑誌のサイト?」と思ってしまうほで充実したメディアサイトに遭遇することが何度かありました。言わずもがなですが、読者にとっては運営会社が雑誌社なのかそうでないかは関係がありません。

 これらのサイトを見ていると、ライバルは雑誌社だけではないのは当然として、コンテンツの生産とクリエイターの育成が出来れば必ずしも紙にはこだわらないと判断もあり得るよなあという思いが、ごく自然に湧いてきます。すべての雑誌に当てはまるとは思いませんけれど。

 さて、次はいくつかのジャンルに分けて見て行きましょう。

ニュース系雑誌ナンバー1は?

 総合月刊誌や週刊誌、ビジネス雑誌など、ニュース系雑誌48アカウントをフォロワー数順に並べてみました。まさに10位までがフォロワー数10万越のアカウントです。

 TOPを勝ち取った「日経トレンディ」ですが、実は最近「日経クロストレンド」(@NIKKEIxTREND)のリツイートが多くて、この先はどんな運用になるのかは気になっているところです。

Twitterアカウント名 Twitterアカウント フォロワー数
1 日経トレンディ @Nikkei_TRENDY 480,114
2 WIRED.jp @wired_jp 412,802
3 ニューズウィーク日本版 @Newsweek_JAPAN 351,843
4 東洋経済オンライン @Toyokeizai 327,147
5 ダイヤモンド・オンライン @dol_editors 287,029
6 現代ビジネス @gendai_biz 141,128
7 日経ビジネス @nikkeibusiness 141,059
8 週刊文春 @shukan_bunshun  137,881
9 週刊ダイヤモンド編集部 @diamondweekly 127,663
10 プレジデント編集部 @Pre_mag  118,788 

スポーツ雑誌ナンバー1は?

 来年はオリンピックもあるので、スポーツジャンルを見ておきましょう。33アカウントをピックアップしました。

 やはりサッカーが人気です。野球はベスト10に入りませんでした。今年ワールドカップが開催されるラグビーも入っていません。このあたり、ユーザーニーズの特徴が現れていて面白いですね。一方でバドミントンが入っているのは印象的です。

 ヤマケイオンラインはもはや雑誌の枠は超えていて、山頂の天気や高山植物の情報やツアーの募集、写真展の案内など、登山に関したありとあらゆる情報が盛り込まれたサイトになっていますね。 

Twitterアカウント名 Twitterアカウント フォロワー数
1 サッカーキング @SoccerKingJP 1,178,413
2 ゲキサカ @gekisaka 305,933
3 Number編集部 @numberweb 187,320
4 SOCCER KING @worldsoccerking 139,276
5 autosport web @AUTOSPORT_web 125,255
6 サッカーダイジェスト @weeklysd 103,399
7 陸マガ(陸上競技マガジン) @rikumaga 83,365
8 バド×スピ!/バドミントンマガジン編集部 @BADMINTONSPIRIT 56,771
9 F1速報 @F1Sokuho 49,229
10 ヤマケイオンライン @YAMAKEI_ONLINE 46,267

女性誌フォロワー数の意外な年齢層

 女性誌はコミックをのぞく90アカウントをピックアップしました。TwitterだけでなくInstagramとの比較もしたほうがいいのでしょうが、それはまた別の回に。

 TOP10は以下の通り。「ポップティーン」「Myojo」「Seventeen」と、ティーンズ誌が3誌も入ったのは意外でした。Twitterユーザーに若い人が多いというだけでなく、雑誌の部数的にもしっかり売れていますね。「Myojo」「Seventeen」は印刷部数がそれぞれ20万部と16万部。「ポップティーン」は印刷証明付き部数はありませんが、ABC調査で実売が10万部以上ありました。若者の雑誌離れが言われている時代に、なんとも嬉しいことです。

出版社 雑誌名 Twitterアカウント名
1 コンデナスト・ジャパン VOGUE JAPAN VOGUE JAPAN
2 角川春樹事務所 ポップティーン Popteen(ポップティーン)
3 集英社 Myojo 明星
4 集英社 Seventeen Seventeen/セブンティーン
5 講談社 ViVi ViVi
6 集英社 non・no ノンノ/nonno
7 マガジンハウス GINZA GINZA
8 ハースト婦人画報社 ELLE JAPON ELLE Japan
9 コンデナスト・ジャパン VOGUE GIRL VOGUE GIRL JAPAN
10 講談社 VOCE VOCE(ヴォーチェ)

芸能人アカウントと比較してみる

 これらのアカウントをメディア系という枠を取っ払って、世間の相場でみるとどうなるのかも考えておきたいと思います。

人物では
有吉弘行  7,133,085
松本人志  6,771,090
BTS JAPAN OFFICIAL  5,895,334
きゃりーぱみゅぱみゅ  5,244,783
ROLA 4,273,265
はじめしゃちょー(hajime)  4,198,380
Yusaku Maezawa (MZ) 前澤友作 4,014,469
広瀬すず  3,739,441
三村マサカズ  3,354,553
堀江貴文(Takafumi Horie)  3,314,507
がトップクラス。
150万前後には
ムロツヨシ  1,614,409
津田大介  1,563,181
Yuto Nagatomo | 長友佑都  1,599,857
田中将大/MASAHIRO TANAKA  1,535,692
安倍晋三  1,493,797
永野芽郁  1,441,287
といった顔ぶれが並びます。
100万前後には
松井玲奈  1,109,634
三木谷浩史 H. Mikitani  1,100,680
鴻池 剛  1,096,478
西野カナ  1,092,261
田原総一朗  1,088,779
といった顔ぶれ。
50万前後だと
高須克弥  528,804
蜷川実花  506,918
水道橋博士(小野正芳) 50,5342
神木隆之介 501,648
夏野 剛 Takeshi Natsuno 500,681
など。

 雑誌のTwitterアカウント最強のサッカーキングは、イモトアヤコには負けていて、西内まりや劇団ひとりよりちょっと上という感じです。

企業アカウントと比較してみる

 企業等のアカウントだとトップクラスが
スターバックス コーヒー  4,671,188
ローソン  4,363,943
Fashion Press  3,190,465
セブン‐イレブン・ジャパン  3,171,976
日本経済新聞 電子版  2,995,835
モンスターストライク公式(モンスト)  2,860,226
マクドナルド  2,858,305
tenki.jp 2,824,750
首相官邸(災害・危機管理情報)  2,714,159
NHKニュース  2,676,038
150万前後には
東京都交通局 1,611,813
東京メトロ【公式】  1,594,286
AbemaTV(アベマTV)@今日の番組表から 1,422,425
阪神タイガース  1,383,842
モデルプレス  1,330,543
100万前後には
東京都庁広報課  1,141,636
楽天市場  1,138,498
Splatoon(スプラトゥーン) 1,109,706
コカ・コーラ  1,098,488
プレイステーション公式  1,086,135
50万前後には
コミックナタリー  511,759
日本サッカー協会  506,000
ツイナビ  505,498
ディズニー・スタジオ 505,178
電撃オンライン  493,215
などあります。
リストから漏れていましたが、週刊少年ジャンプ連載『ハイキュー!!』公式サイトの公式アカウントハイキュー!!.com が499012

 サッカーキングは、任天堂株式会社より下で、楽天市場コカ・コーラよりは上ということになります。

 ツイナビの「総合 ツイッター(Twitter)アカウント 総フォロワー数ランキング」などを参考に気になる雑誌のアカウントを比較してみると、また違った風景が見えてくるのではないかと思います。

 というわけで雑誌系Twitterアカウントについて3回に渡って見て来ました。細かく掘っていけば、まだまだ面白い発見がありそうです。ただ、雑誌の世界はあまりに多彩なので、私ひとりの知見でカバー出来る範囲も限られています。ご覧くださった方々のご感想やご指摘を楽しみにしたいと思います。

 おつきあいいただき、ありがとうございました。

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