自分のことを他人の口から語られるのが苦手だ。たとえば、Aさんに話したことが僕の知らないところでBさんにも伝わっていたりするとゾッとする。それは俺の口から話させてくれよ、となる。お前はどこまで知っているんだ、とビビる。僕がYouTubeやTwitterでパブリックに発信したことならいいけど。

人には少なからず裏表があって、Aさんには話せてもBさんには知られたくないことってのも当然のようにあるわけだ。Aさんのことを信用して話したのに「なぜ？」となる。Aさんの評価はガタ落ちだ。もうAさんに話すことはなにもない。

それに、伝言ゲームでは必ず情報が歪む。「食べ物のシソが嫌いだ」と言ったのが、どこかで「お笑いコンビのシソンヌが嫌いだ」になってしまうかもしれない。僕はシソンヌが大好きなのに、伝言ゲームのミスによって「蓬生さんはシソンヌがNGらしいよ」となって、せっかくの共演の機会を逃してしまう……なんてことがあるかもしれない。シソンヌだって傷つくし、僕はもっと傷つく。

だから僕は自分のことをあまり他人に話さない。血液型や誕生日、家族構成、病歴、乗っている車の車種も、聞かれたら答えるけど、自分から話そうとはならない。そもそも、その話題はおもしろくもない（おもしろい話題だったら、なおさら自分の口から話したいじゃないか）。

別に他人をまったく信用していないわけではない。僕が裏表のある弱い人間だからってだけで。