ものすごい情報を手に入れて居ても立っても居られなくなった妹からLINEが送られてくる。

＜以下、わたしと妹のLINEの転記＞

「ウォンバットのおしりがめちゃくちゃ硬いって知ってた？」

「知らなかった」

「おしりと洞穴の天井の間に外敵を挟んで頭蓋骨砕いたりするらしい」

「すごい情報とすごい必殺技。そしてイヤな死に方」

「天敵に遭遇したら近くの巣穴に逃げ込んで入り口をおしりで塞ぐんだって。噛まれても引っ掻かれても平気らしいよ」

「動物のそういう一点集中型の進化大好き」

「すごい情報すぎて、ただちに誰かに言いたかった」

「ウォンバットだよ」

「目がきれいです」

「ウォンバットの巣穴を見つけても絶対に手を入れないように。腕へし折られます。と注意される動物とは思えない目のきれいさ」

「ウォンバットかわいいね」

「かわいい」

「私は今朝メガネかけないでトイレ行ったらホテルのガラス戸に顔面ぶつけて尻もちつきました」

「いきなり笑ったせいでヨダレ出た」

「雷みたいな音した」

「大丈夫でしたか。お姉さんもガラス戸も」

「早朝にぶつかってトイレ行って二度寝して、次起きて鏡見たら前歯に血痕ついてた」

「血痕ww」

「こちらからの情報は以上です。クラゲ水族館に向かいます」

「家族旅行が無事に続行されてて何より」

姉の無事を確認した妹からタスマニアデビルの写真と共に「これが頭蓋骨粉砕される側の動物」と新たな情報が送られてきたけれど、私はこれ以上体を張るわけにはいかないのでスマホをそっと閉じる旅先の日曜日。