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「夢組と叶え組」〜欲と苦悩の話

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スイスイ
1985年生まれ。元メンヘラ現100%リア充のエッセイスト。
現在cakesで「メンヘラ・ハッピー・ホーム」連載中。

サクちゃん
1978年生まれ。クッキー店 SAC about cookies 経営。noteで『シングルマザーのクッキー屋の話』『夢組と叶え組の話』『月刊 自己肯定感』などを書く。娘のあーちんはほぼ日で連載のイラストレーター。
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スイ:スイスイサクサク!

サク:よむラジオ~!

スイ:久しぶり!元気?今日のテーマは決まっています!発表してください!

サク:今日のテーマは「夢組と叶え組」だよ!

やりたいことがある人を「夢組」とすると、やりたいことがない人は「叶え組」で、夢があるのがいいというわけではなく、それぞれの役割があるよね、チームだと組み合わせた方がいいしね。という話。

サク:スイスイとこれについて話したことなかったなと思って、話したかったの。

スイ:確かに!読んで「ほう、わたしは、夢組だな」で終わってた気がする!w

サク:スイスイはまさに夢組だよね。

スイ:叶え組について「やりたいことはないけど、やりがいは欲しい。やることに意味が欲しい」ってかいてあったけど、

サク:うん。

スイ:それ単純に、「お金のために仕事する」とかだと…情緒がないってこと?もっと精神的に高まる意味が欲しいみたいな?

サク:情緒て 笑。お金のためでもいいんだけど、どうせなら人の役に立ちたいとか、自分がうれしくなることがいいっていう感じかな。

スイ:叶え組の人って、派手な夢がないってだけで「おいしいものたべたい、好きな人と結婚したい、好きな服着たい、死ぬまでにこんな海外旅行先いきたい」とか、ささやかな夢はあって、それを夢と呼ぶなんておこがましい…!みたいな価値観なのかな?やりたい地味なことはたくさんあるんだよね??あと、「お金のために働きたい」とか「モテたい」とかは「不純だから」とかの理由で夢認定してこなかった、みたいな。

サク:そうそう、仕事に限らなければあると思う。でも、叶え組の人たちはそれも薄めだと見ている。実際、わたしは薄いんだよね。「こうしたい!」っていう希望とか「好き!」とかが薄い。

スイ:へえーなるほど。そもそも欲が薄めな人が叶え組?

サク:「専業主婦になりたい!」とかも立派な「やりたいこと」だと思うけど、仕事が大半の時間を使うから、やりたいことを見つけて仕事にしたいっていう人が多いよね。

スイ:「仕事でしたいことがない」ってことか。たしかにそういう人はめっちゃ多そう。みんな、意義のある仕事したいんだね。今、稼ぐだけでよかった時代から、意義を持って稼ぐことが良いという価値観に変わっていってるのもあって、意義がないと思える仕事とか、そんなしたくもない仕事をしてる人は、それを低価値な自分…のように受け止めてしまってるのかな。

サク:何度も「やりたいことをみつけないと」とか「やりたいことないの?」とかいう会話があって、みんながやりたいことを見つけないといけない感を感じてしんどかったのもあるよね。

スイ:ああなるほど。でもそれがたとえば、勤務時間が短く趣味に人生捧げてる人もいるよね。そういう人は「やりたいことやってる」って胸張れるのか。

サク:そうそう、何に時間を使うかってだけだから、仕事だけじゃなくてもいいんだよね、ほんとは。何に時間を使うかが決められないっていうのが問題なんだと思う。


やりたいことがありすぎる苦しさ

サク:スイスイは、めっちゃ夢組だよね。いつも何かに夢中になったり没頭したりしてるイメージがある。

スイ:たしかに、夢組だからやりたいことが多発してたけど、それゆえに常に苦しかったかも。

サク:え、どういうこと??

スイ:ボーカルの学校にいったり、舞台のワークショップにいったり、ライターの弟子みたいなことしたり、小説家になりたいって猛烈に小説かいてみたりもしてたけど、それ全部ものすごく全力で本格的にやったんだけど、最初以外は結構つらかったかも。

サク:へえー

スイ:吉祥寺に住んで音楽の学校にも行ってたとき、名古屋から元カレが家に来てわたしの大事なギターを持って出て行った日があって、そのときに「もうギター弾かなくていいんだ」って楽になって…ああわたし途中から全然音楽なんて合わないしやりたくないって思ってたのに自分でそれを認められなかったんだって気づいたことがあった。

「やりたい!」と走り出したときは全部夢中で本気でやりたいのだけど、実際やってみると合わなかったり苦しいこともあって、だけど始めた手前結果を出すまで辞めれない意地がどんどん強くなって苦しむというか…

しかもやりたい事が多すぎて、全部手を出さないと気が済まなくて、やりたい!と苦しい!が怒涛(笑)

サク:そうなんだ…!やりたいことやってる夢組のつらさ、ぜんぜんわかんなかったかも…!

スイ:で、本格的に疲れた果てに、25歳くらいのとき、実家に戻って冷静になったとき「コピーライターやってみたいな」と思って勉強しようと決めて、コピーライター養成講座に行って、はじめて「言葉の作り方」を学んだ。のだけど、これもまたどうしてもコピーライターとCMプランナーになりたくて自分で営業しまくり仕事をつかんだのに、実際働くと合わない部分があって。クライアントワークで言葉を作るとこういうストレスがあるのか!とか発見ができて。

サク:ハマるかはわかんないけど、一回思いっきりやってみるって感じだったんだね。

スイ:そうだね、ハマるかは、やってみないとわからないね。すぐ飽きるし。

サク
:たしかにはじめるときは飽きるかハマるか、合うか合わないかもわかんないよね。

スイ:それで、言葉を作る事自体は本気で楽しかったから、クライアントというより自分の読みたいもの書きたいというところにやっとたどり着いて。今やってる「エッセイ」が、ようやく、ハマってるし続けるのがしんどくないことかも。やっと、欲と、得意の、折り合いがついた

サク:やりたいことと続けられることの折り合いつくのには、そんなに時間が必要だったんだねー。いろいろやりまくってやめまくってやっと、なのかー。


ビジョンかラブか

スイ:夢組って、「やりたいことがある」っていうか、欲を恥じずに公言できるってだけじゃないかな。小さい欲でもすぐ終わりが来る欲でも。

サク:はいキタ本質。それほんとにそうだよね。

スイ:夢組の掲げる夢が必ずしも偉大なわけではない気がするし、夢のハードル低すぎるのが夢組なのでは?

サク:めちゃめちゃ夢組のスイスイが言うの説得力あるなー。あと、夢組にも2種類あると思ってて、「ビジョン先行型」「ラブ先行型」

ビジョン型は、「業界をこうしたい」とか「世界を変えたい」とか、その先に何か見えていて、その手前のやることを決めるというタイプ。

スイ:ほう。

サクラブ型は、「絵を描きたい!」とか「野球が好きだから関わりたい!」とか「好き」がもとにあるタイプ。

スイ:「ちやほやされたい」「雑誌に載りたい」「モテたい」とかはエゴ先行型??

サク:エゴ先行 笑!それもビジョンだと思うよ。やること自体より、その先の状態に目的があるから。

スイ:そうか、ビジョンは自分のことでもいいのか。

サク:とにかく歌ってないとつらい、とかのラブ先行の人って、ほんの一握りだよね。

スイ:ああ、わたし、さっき話したみたいに試行錯誤に時間を費やした果てに、いまエッセイ書かないとつらい、というラブ先行にも突入してるわ!

サク:スイスイはビジョンの「チヤホヤされたい」とやることがマッチしなくて苦しかったけど、続けるのが苦しくないのにようやく会えたんだねー!

スイ:そうかも!ビジョンとラブ(やりたい)がマッチするものを、お見合いし続けてた

サク:エッセイ書くのは、その両方がつながってるの?

スイ:つながってる!すべて満たされてる!

サク:お見合い成立だ!!!


サクちゃんは何者

スイ:今さらだけど、わたしサクちゃんのことめっちゃ夢組にみえてたわ。

サク:え、わたしが??お金と時間ほしい、とかを自分で叶えてるからかな。

スイ:そうそう、サクちゃんは、なぜかお金とかあーちんとの時間を夢認定してないけど、他人から見たら夢みたいなこと、叶えてるやん!という意味で。

サク:わたしが「やりたいことがない」と思うのは、「他に優先することがある」ということだったなと思うんだけど、仕事とか作業には繋がってないけど、優先順位はちゃんと叶えられてて、わたしの場合そのビジョンの部分が「お金が必要」とか「時間をつくる」とか自分の希望というより必要性からくるものだったんだよね。

スイ:他に優先することがあったサクちゃんは、いままでやりたいことをやったことがなかったんだ。制約ない上での、ほんとうにやりたいことは。

サク:そう、やりたいことしていいと思えるときがなかった。いつもお金とか時間とか制約があったからね。

スイ:当時、家族を支えてる、とかは叶え組の嬉しさにはならないものなんだよね?

サク:そのときは人のためになってうれしいっていう気持ちはなかったな。そうやって制約があったから叶え組に育ったっていうのはある気がするんだよね。まだ仮説だけど、叶え組の人は、どこかで我慢を強いられてた人なんじゃないかと思ってる。

スイ:我慢を強いられてた人。夢を持っちゃいけないんだと思ったことがあるってこと?

サク:うん、なんだろう、やりたいことをやりたいって言えない環境とか、好きなものを好きと言えない経験とか。

スイ:今、サクちゃんと同じように、たとえば介護とか育児とか、制約だらけのなかの人がいるとしたら、その制約の中でなにかできることはないのかな。

サク:わたしは今までの仕事は制約の中で選んだことではあるんだけど、その中でどう楽しくやるかとか、どう役にたつかとかをいつも考えてきて、制約の中でどうにかやってきた経験が、叶え組要素や能力を強くした気がする。

スイ叶え組って助演女優賞って印象なんだけど、これを超えたら夢組になりたい!!!!つまり、いつかは主演になりたい!みたいな感覚はなかったの?

サク:ああ、わたしは今、ようやく自分のために時間を使えるようになってきたから、主演になろうとしてるかも。18歳から今まで、自分のために時間を使うことなかったから!

スイ:サクちゃんは叶え組の星だと思うから、さくちゃんがこうしてやりたいこと見つけた宣言すると、叶え組の人が「え、わたしたちも、やっぱり最終的に夢組目指すのが正しいのかな?」って焦る気がする。そこをフォローしてほしい(私誰)

サク:はじめの話に戻ると、夢って言ってもいろんな欲があるじゃない。夫を支えたいとか、ぼちぼち好きなことやりながら子供達のために時間を使いたいっていうのもいいよね。

スイ:それまさにわたしだけど、わたしはこれ夢だと思ってる。

サク:そうそう、そうやって夢組のままでも誰かの叶え組になってるんだよね。どこまでを夢とするかっていう範囲によって夢組にも叶え組にもなるんだよ。

スイ:たしかに!エッセイ書くのは自分の夢だけど、追求したら悩み相談で救われる人がいてタナボタ的に誰かの叶え組になれていて、それはほんとに嬉しかった。

サク:そうだよね、誰かのためになれた叶え組体験してるよね。


ASAYANが生んだもの

サク:あー、でもさっきの「夢があるからって幸せなわけじゃない」っていうの、本当に大事な視点を得たなー。

スイ:わたしはサクちゃんとは逆で制約がなさすぎて、なんでもやってよかったから、やりたいことどこまででも追っていい環境だったから、目指しまくって、でも本当は苦しかったのかも。

サク:わたしはわたしで、勝手に我慢してたっていうのもあるよね。なにをやるかより大事なことがありますんで、っつって「なにをやるか」を軽視してきた。もしくは羨ましいけど自分には無理だからって諦めてた。

スイスイは「なにをやるか」だけ決めて先が見えなくて苦しんでたし、わたしはやることを決められなくて苦しんでたんだなー。

スイ:でも、結果的に苦しかったけど、やってみないと苦しいってことわからなかったから、正しかったと思う。

サク:そうだよね、世の中のほんの数パーセントの福原愛とか宇多田ヒカルみたいなラブ先行と英才教育の奇跡みたいなのを求めたらダメだよね。いろいろやってみてどんどんわかってくるんだよね。

スイ:うん、わたしたちはASAYAN以降世代だから、夢を追って叶えるモーニング娘。をリアルにみてしまったから、夢はリアルに叶えられる!のラブ先行の幻みすぎた世代でもあるきがする…

サク:そうだよね、ASAYANのせいにしよ。

スイ:うん、全部ASAYANのせい


元彼にモテたい人 VS 気が合う人と雑談したい人

スイ:でもやっぱり、叶え組って、主演の部分の欲を抑えてるだけな気がするんだけどな…(振り出しに戻る発言w)

サク:いや、ほんとにそれはあると思うよ。まずは自分の欲に従ってもいいと思わないとね。

ただ、叶え組の要素が育ちきった今、自分のことより人のために動いた方が得意なことを生かせるっていうのはある。能力の話ね。おせっかいだし、アイデアが出るし、「こうしたらいいじゃん!」って人のいいところを伸ばす才能があるから。

スイ:助演の才能、樹木希林!

サク:やったー

スイ:いやでも、インスタ映えしないものでも、欲とか夢って認めてあげたほうがいいと思う。自分の欲の原石は自分しか発掘できないし。

サク:うん。欲と、得意なことを知った方がいいよね。スイスイの今の欲は、子供と遊ぶ時間?

スイ:いや元カレにモテたい

サク:そっちのが上かw

スイ:サクちゃんの欲は?

サク:わたしはねー、気があう人と雑談してすごしたい!あ、まさにこれ今してるわ!

スイ:それかなってるやん!(気があってるかどうか毎回ぎりぎりだけど)

サク:で、それがお金になるともっといい。この夢組と叶え組の話をいろんなひとと雑談して、記事にして、なんかしらお金になることに繋がるといいなと思ってる。

スイ:お金になるほうがいいの??

サク:時間をたくさん使うのにお金にならないのはあまりかっこよくないからね。ていうかまだあと3年学費かかるからな…。

スイ:「時間をたくさん使うのにお金にならないのはあまりかっこよくない」その価値観わたしにはないんだけど、サクちゃんはその、一見いいづらそうなそれを自分で明確にできててよかったね。

サク:うん、自分で稼がないと生活に困るしね 笑。


人生観ちがいすぎ

サク:わたし、最近ようやく自分のために時間を使おうとして、「なにしようかな」って、ちょうど大学生と同じようなマインドで考えてたんだけど、それを誰に向けて言いたいかっていうと、18歳のときのわたしに言いたいんだよね。

それで、同じように「なにしようかな」「やりたいことってなにかな」って考えている人は山ほどいると思うから、今わたしが考えてることはみんなで分けたほうがいいと思うんだよね。だから、本にしたりしてもっと広げたい〜。

スイ:そのときの自分に言ったら、どう感じると思う?

サク自分に何が向いてるかとか、本当はどうしたいとかを抑えつけないで、いつかやればいいと思うかも。

スイ:なるほど!抑えずに、待機しろと。その時がくるまで。

サク欲を抑えるときに何かのせいにしちゃうから、それはよくないと思って。だからか、わたしあーちん(娘)に「どうしたいか自分で言って」って小さい頃から言わせてるな、スパルタだよね 笑。わたしのせいにしないで、っていつも言ってる。

スイ:たしかに抑えるのはなにかのせいにしちゃう!それがクセになる!

サク:まあ我慢もときには必要だけど、クセになると自分がどうしたいかを出せなくなっちゃうから。やっぱり自分の欲をちゃんと知れる人の方が生きやすいと思う。

スイ:サクちゃんのやりたいことの先のビジョンは?

サク:わたしのビジョン、毎日たのしくすごすことだわ。「あーたのしかった!」って寝たいし、「あーたのしみ!」って起きたい。スイスイは?

スイ:わたしは、元カレに死ぬまでモテつづけたい。具体的にはわたしのいないところで酔っ払ったあげく、私の連載読んでるとか口走ってほしい、それがまわりまわってわたしの耳に入ってほしい。間違って電話かかってきてほしい。偶然会ってきまずくなりたい。わたしと結婚したらよかったっておもわれたい。それが一生続くように、あえてもはや、仲良くはなりたくない。

サク:明確すぎるビジョン!笑 それ、小説に書いたらいいよ。

スイ:ていうか、サクちゃんのビジョン、僧侶や。欲が朝の海の静けさや。

サク:ほんとだね、寂聴方向だよね。

スイ:全部の感情 5・7・5 で言えそうだねサクちゃん。趣~。静けさがしみいる〜。マジで真逆や…。

サク:スイスイは全部の感情が140文字じゃ足りないよね。

スイ:「あーたのしかった!って寝たい、あーたのしみ!って起きたい」って…味のないもやしをメインディッシュにしているような寂聴感…。

サク:わたし、死ぬときも「あーたのしかった!」って死にたいんだけど。

スイ:え…???????死ぬ時、?わたし、自分が「どう思うか」より「どう思われるか」しか、、、かんがえてないわ、、、、大発見だわ、、!

サク:またわたしたちのちがいが明らかになった大発見だね、、、!


(本日のエンディング曲:THE BLUE HEARTS 「夢」)

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