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嫉妬について 〜相手を蹴り落とす女、嫉妬できない女〜

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スイスイ
1985年生まれ。元メンヘラ現100%リア充のエッセイスト。
現在cakesで「メンヘラ・ハッピー・ホーム」連載中。

サクちゃん
1978年生まれ。クッキー店 SAC about cookies 経営。noteで『シングルマザーのクッキー屋の話』『夢組と叶え組の話』『月刊 自己肯定感』などを書く。娘のあーちん(16歳)はほぼ日で連載のイラストレーター。
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スイ:スイスイサクサク

サク:よむラジオーーー!

スイ:今日は、「嫉妬」をテーマに話したいと思いました!なんでそう思ったか言っていい?!

サク:えっ、スピード感!はい、どうぞおねがいします!

スイ:この「よむラジオ」って、まったく性質の違うわたしたちが、お互いを否定せず認め合いながら進めているじゃないですか。実際どう作ってるかというとメッセンジャーでやりとりして、それをサクちゃんが編集して、わたしが中タイトルつけて、って分担して。これ、お互いに嫉妬があったら、成り立たないって思ったんだよね。足の引っ張り合いっていうか。

サク:嫉妬があると、このよむラジオが成り立たない??

スイ:わたしたちは、お互いの良さがでるように、客観視してこのコンテンツを作っていて。たとえばお互いに嫉妬しあって蹴落としてやろうみたいな感じだったら、成り立たないよね。

サク:え、待ってそんな人いる??

スイ:いない??そもそも思ったことない?そういう感情。わたしもし嫉妬相手とよむラジオしてたら、そいつの「いい話」わざと言わせないようにとかしちゃうわw

サク:wwww

スイ:ぜってー聞いてやらないからな、って。

サク:それ、相手にわかるようにやるの??

スイ:相手に対しては天然を装ってやる。

サク:ぎゃー、されたくないー。


それぞれの嫉妬


スイ:で、そういうエゴみ高い嫉妬する人の方が世の中の大半って思ってて、今回わたしがマジョリティだと思うんだけど、サクちゃんの嫉妬話って聞いたことないかもと思って。で、

・嫉妬するのか
・どんなときに嫉妬するのか
・どんなひとに嫉妬するのか
・その相手とのつきあいかた

的なこと、はい、こたえて。

サク:いや待って、だからスピード感よ。

あのね、スイスイのcakesの連載でもよく嫉妬の話が出てくるけど、いつもその部分だけ全く共感できないから、わたしも聞きたかったんだよね。

スイスイのいう嫉妬って、うらやましいとはちがうの?蹴落としたいってどういう感情??嫌いっていうのともちがう??

スイ:連載でよく書いてるけど、わたしのいう嫉妬は、見下してる相手に発生するもので、あんな大した事ないやつがあんな結果出してておかしい。絶対わたしのほうが結果だせるはずだったのに。不公平。あいつはたまたま。ずるい。怒り。みたいな。

サク:なるほどそれが蹴落としたい気持ちか。

スイ:中途半端な女のくせにわたしの元彼とつきあってんじゃねえよ的な。だからこれがガチ崇拝級の女子を相手としたら、まったく嫉妬なんてしない。はいわたしの負けでーすってなる。

サク:へー、うらやましいとはちがうんだねやっぱり。

スイ:うらやましいとはちがう。不幸になれと思う。

サク:不幸になれ…。今の発言でいうとさ、スイスイはひとりひとりにランク付けするみたいな感覚があるの?上下みたいな。

スイ:うん、ランクづけをすることで、自分が傷つかないようにするクセがある。

サク:あーーー、まずちがうの、そこかも。

スイ:あの人はクソランクだから、わたしの悪口言ってようが関係ない。はい消滅、みたいな。

サク:自分が傷つかないようにそうなったのか。回避法でもあったと。

スイ:見下すことで平常心を保つ、みたいなところもあるね。

サク:わたし、それはまったくないんだよなー。ランク付けしませんっていう優等生としての答えじゃなくてさ、スイスイとは逆で、ランク付けすると負けてばかりで傷つくから、人と比べないクセがついたんだよね、わたしの場合。

スイ:負けを素直に認められるのすごいね。勝ってることにしたくなってしまう、みじめだから。

サク:なんかさ、これ子供のころからそうで、悔しいとか負けん気みたいなのがないのもたぶん同じ理由で、ランクとか勝負とかを避けて避けてここまできたんだよねわたしは。

なんていうか、家族ってそれぞれ全然ちがうじゃない、そのことに小学生くらいで気がつくでしょ、パターン色々あるんだって。で、「あ、うちハズレだわ」って思ったんだよね、早いうちに。なかよし家族とかを見て。

スイ:それすんなり受け入れられたの?

サク:いや、受け入れたというより回避だと思う。比べないようにするクセがついただけな気がする。見ないようにしたり、欲しがらないようにするために、自分とは関係ない、ってことにする。

スイ:比べないと結局どうなるの?比べないことで弊害ってある?

サク:結果的には、人と比べないっていうのはいいことがたくさんあったけどね。でも、それはこの歳になってわかることで、羨ましいとかああなりたいな〜とかの気持ちがないってことは、わたしがよく言っている「やりたいことがない」っていう問題とも繋がっていたと思うんだよね。

スイ:諦め、抑制、みたいなこと…?

サク:そうそう。諦めが大きい。それで欲を抑圧するんだよ、無意識にね。嫉妬しないっていうのと諦めはセットだね。

スイ:でもそれでいうとほんとに逆で、物心ついた時から私は「うちは近所の中でもアタリの家族だ」って思ってて、多分今でも思ってるから、自分の価値がゼロでも家族がアタリだから結果たいてい勝てるみたいな気持ちで育ってきてるわ。だからなんだかんだ、なんでも手に入るって思ってるかも。

サク:それ大きいよねきっと。自分のたまたまもってる力って謎の無敵感あるし。

スイ:育ってきた環境大きいね。で、サクちゃんは人と比べないから嫉妬はしないってこと?

サク:スイスイの言うような、嫉妬で蹴落としたいとかはまったくないな。

スイ:どんな嫉妬があるの?

サク:どこかできいた話だけど、嫉妬って「自分だったかもしれないこと」に対して起こるんだって。そのことはね、わかるんだよ。

スイ:あ、まさにそれだね!!!さっき言ってた事と同じかも。あいつはたまたまで、わたしが代わりに成功してるはずなのに、っていうの。そういう意味での嫉妬はあるの?

サク:そう、演奏会で木琴やりたかったのに他の子がやることになったときとか「わたしがやりたかったのに」ってそういうのはある。けど、これもクセなんだけど、それを嫉妬だとして、わたしの場合ぜんぶ「悲しい」に変換されちゃうんだよね。

スイ:あー、だとすると、もはや目的がなくなるよね。悲しいって自分の中に感情を受け入れるだけだもんね。私の嫉妬だと「うばってやる!!」とかになるけど。

サク:選ばれなかった、悲しい、って終わる。

スイ:諦め、はやい、、!その悲しい状況を変えようとは思うの?

サク:自分の中で悲しい状態をなくそうとはするけど、他人に対してはない。これって完全に自己肯定感の話でさ、自己肯定感が低いと、自分のこと「選ばれなくてもしょうがない存在」だと思ってるんだよ。

スイ:それは、もう、たしかに、嫉妬という馬力まで、いかないな、、

サク:最近は自己肯定感アゲ中だからそうは思わないんだけどね、振りかえると、そうだった。

スイ嫉妬って実は自分に可能性を感じてる人しか持てないやつなのか。

サク:うん、そうだと思う。嫉妬するってことは諦めてないってことだもんね。


嫉妬されるとどう思う?


スイ:嫉妬されることについてはどう?わたし友達とか彼氏に嫉妬されるの、クソ嫌で、すぐ離れてしまうんだけど。とくに仕事のこととか。

サク:嫉妬されるのも気がつかないんだよね。「嫌われた」って思う。

スイ:ええええ?嫌われた??嫉妬されたりマウント取られたり、きづかないの??新しいよそれ。

サク:わたしは好きな人が成功したらうれしいから、喜んでくれないってことは嫌いなのかな、って思う。でもマウントに対しては、気づいたら秒で譲るわ。同じ土俵に絶対乗らない。どうぞどうぞ、あなたの勝ち〜って逃げる。

スイ:それはなんで?

サク:勝負したくないからだね、誰とも。比べるのも比べられるのもいやだから。

スイ:それは勝負で傷つくのを回避したいのか。

サク:いや、勝負自体が嫌なんだよ。

スイ:意味ないことだから?

サク:うん、意味ない。比べないで、それぞれやろうぜって思う。しかもそれってすごく楽なんだよね、満足度は自分のさじ加減だから。それが比べないことのいいところでもある。もともとは回避でついたクセだけど、いいこともあったなーって感じ。

スイ:いやかなりいいでしょそのほうがぜったい。

サク:結果的にね、よかったよね。



嫉妬の飼いかた


サク:でさ、嫉妬したときって、実際に蹴落とすの??

スイ:まあそうだね、不幸になるように仕向けてきたね。

サク:わははは。

スイ:最近は嫉妬する機会がかなり減った気がするんだけど。

サク:お、なんでだろ?

スイ:そもそも舐めてる相手と関わらないようになったのと、あとは、会ったことがないweb上で嫉妬してる人とかに関しては、すぐミュートするようにした。

サク:見ないように?

スイ:そう。心を乱したくない。あのね、もうね、嫉妬の芽を自分に嗅ぎとったら、秒でミュート。

サク:あー、SNS見てて自分が足りないんじゃないかと思っちゃうのも「見なきゃいい」の一択だもんね。見ないようにするの賢いよなー。

スイ:そうなんだよね。わたしラッキーなことに会社に行ってないから、嫉妬相手がほぼwebとかなので、すぐ世界から削除できる。

サク:見にいっちゃう人の方が多そう。自傷行為に近いよね。

スイ:たまに傷つきたいとき、見にいくけどねw 嫉妬補給。

サク:え、傷つきたいとき??それが燃料になるの?

スイ:傷つきたいときない?心乱したいな〜〜〜みたいな。

サク:えーーーーー、ない!

スイ:まじか。

サク:感情の暇がイヤなんだねほんとに、スイスイは。

スイ:適度に心って乱れていないと調子狂うというか。たぶん乱れるものを完全に生活から排除してるからこそ、乱すのも自給自足スタイルになった。

サク:感情の波がないとダメなんだね。サーファーじゃん。じゃあ嫉妬も味わい深いのか…。

スイ:嫉妬、とくに恋愛の嫉妬なんて味わいそのものでしょ。



悪いサクちゃんが知りたい



スイ:サクちゃんは自分の心が汚いなって思うこと、ある?

サク:心が汚いって、「こんなこと思うなんて自分ひどい」ってこと?あるよ!!

スイ:どんなとき?!いやもはや、そんな部分まじでないのでは?と思ってきて。こんな姑息なサクちゃん、みたいなシリーズいこ。

サク:心が汚いっていうか、状態が悪いときは、ツイッターとか見ててもぜんぶ「いちいちうるせえな」と思ったりする。

スイ:あ、それは、状態が悪いときなのね?!自分個人の問題ではない。わたしもそれよく思うんだけど、まじ大抵コンディションだよね。

サク:そう、コンディション。心が汚くなったわけではなくて、体調が悪いか、仕事とかやることやってないときのどっちか。

スイ:それを自分個人の性格に結びつけちゃう人が多いかも。

サク:ちがうのにね。わたしは、人のことが気になるときは自分のことをやってないときだって思っててね、

スイ:すごい、まじそうかも、、!!

サク:それがわかってると、汚い気持ちになったら自分のことやればいいから、それだけで解決だよね。

スイ:解決策シンプル!!!!

サク:どうも、僧です。

スイ:わたし、これまで大抵同世代の女性にマウントとられて距離おいたりしてて、こんなにずっと仲がいいままの同姓あまりいなくて、でも根本的にわたしたちがお互い、自分のことちゃんと基本的にやってるから、尊重しあえるから成り立つのかも??

サク:ていうか、なんでわたしには嫉妬しないの?なめてないから?

スイ:そう、サクちゃんは、自分がなにをがんばってるか随一報告してくれるから、ラッキーでのしあがっているわけではないということがわかる。

サク:あ、でもそれスイスイのおかげかも。スイスイが、自分はこうしたいとかこうなりたいとかちゃんと言うから、土俵がちがうって明確にわかるから。

わたしはいつもやりたいことがなくて目標も決めてこなかったから、スイスイを見て、そうやってすすむんだ!って見本見せてもらってるみたいな感じで、「じゃあわたしもどこに進むか決めてみよう」って考えられるようになって、言えるようになった。

スイ:それで方向性の違いに気づけたってことか。それ大事かもね。お互いの、目指す方向を知っておくと、下手にライバルにならなくてすむよね。

サク:うん、土俵がちがうのに乗ってこようとしたり、自分の土俵に引きずりあげようとしたりすることでしょ、嫉妬って。

スイスイが蹴落としてきたのも、自分の土俵にその人をあげて、蹴落としてたんでしょ 笑。

スイ:そうだね。

サク:だからどんな人でも、土俵は別です、ひとり一個ですってしたほうがいいよね。

スイ:突き詰めたら多分どんな人でも土俵ちがうよね。

サク:そうそう。同じものを取り合ってるように見えて嫉妬しちゃうなら、もっと解像度上げて見たらちがうってわかるよね。

スイ:国民全方向性発表したらいいのにね。


嫉妬されるべき人生


サク:わたしさ、文章を書くようになって明らかに自己肯定感が上がってやりたいこととか欲を出さないといけないなって思えるようになってさ、

スイ:うん

サク:そしたら「うらやましい」っていうのが出てきた。それすらなかったからめでたいよ。

自分とは関係ないちがう世界の人のことはうらやましがらない、欲しがらないって感じだったから、なんか「いいなそれうらやましい」って思ってはじめて「あ、わたしそれほしいんだ」って気づく感じだったんだけど。

人のことがうらやましいって嫉妬するってことは、自分が何したいかわかんないときに、何をすればいいのかのヒントじゃない??

スイ:うらやましいってどういうことに思うの?!

サク:例えば最近だと、うらやましいって気持ちから見えたほしいものは、パートナーだね。日常に気があうしゃべり相手がいて雑談できるの超いいな〜って思って。特定の誰かに嫉妬するんじゃなくて、自分がほしいものがわかったのはよかったと思うよ。

スイ:ヘルシーすぎる着地。嫉妬の心は自分の欲しいものを知るきっかけでしかなかったのすごい

サク:スイスイを見てるとさ、あ、まず「ほしい!」って言わないといけないんだって学んだんですよ。嫉妬のようなうらやましいって気持ちがなかったときは、「別にほしくないし」ってことになっちゃってたから、嫉妬がなさすぎるのもよくなかったと思う。

スイ:嫉妬、どうせならそうしていいように使えると最高だね。

サク:スイスイの嫉妬も、モチベーションでしょ?行動力の源だよね。

宇多田ヒカルの歌に「嫉妬されるべき人生」っていう曲があるんだけど、あれ聴いたとき「スイスイじゃん!」って思った。

今日が人生の最後の日でも 50年後でも
あなたに出会えて 誰よりもしあわせだったと
嫉妬されるべき人生だったと 言えるよ
どんなに謙遜したとこで
嫉妬されるべき人生だったと

宇多田ヒカル『嫉妬されるべき人生』 より



スイ
:いや、嫉妬されたいよね。嫉妬されているという事実は気持ちいい。嫉妬してくるやつとはあまり関わりたくないけど、事実だけほしい。

サク:嫉妬されることはいいのか、関わらなければ。

スイ:そう!え、この歌のどのへんがスイスイ??嫉妬されるほどの人生でしょわたし!って開き直ってるとこ?

サク:いや、嫉妬されるっていう視点がプラスになる感覚がさ、わたしにはないんだよね。他人の目がモチベーションになる感じが。

スイ:嫉妬されてあたりまえだと、素で思ってる。

サク:わたしは「こっちみないで」って思ってる。

スイ:え?いやまじ同じ銀河に生きてると思えない。わたしは「おまえら、はやく見ろ」って思ってるわ。。

サク:「こっち見てないで、みんな自分のことそれぞれやって!」って思ってるよ。

スイ:まじ真逆すぎる!!!!

サク:わたし、文章書くときも、読んだ人が「この人はこうなんだ、自分はどうかな?」って思ってくれたらいちばんうれしくて、誰かを自分の土俵に乗せないように気をつけてるし、それぞれの土俵を見つけてねってことをずっと言い続けてる気がする。

スイ:たしかに、、!わたしは、もはや、煽ってるきがするw 嫉妬してねできるかぎり!!!って。

サク:真逆だよねほんと…。嫉妬ってそれ自体が悪いものってわけじゃなくて、嫉妬の裏側を見つめるといいことがあるかも、って感じだね。

嫉妬がありすぎてもなさすぎてもよくなくて、その力を他人に向けないで“自分”を主語に言い換えられると、嫉妬もいいものになるよね。いいじゃん、嫉妬。

スイ:うん、これからも前のめりに嫉妬で蹴落としてくー!


おわり


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