「おひなさまのおてがみ」 はらまさかず

「あーあ、今日でおしまいか」
もっちゃんが、さみしそうです。
「また、来年も、会えますように」
と、お父さん。
もっちゃんのひな人形は、男雛(おびな)と女雛(めびな)の親王飾り。小さくてかわいいお人形です。
「これから、ずっと箱の中でさみしくないかなあ」
もっちゃんがいいました。
「また、おてがみ書こう。お人形が、さみしくないように」
と、お父さん。
「うん!」

お人形をしまう時、こうして、もっちゃんはいつも、おてがみを書いて、箱の中に入れます。
毎年、おてがみが一通ずつ、ふえていきます。
お人形は、次のひな祭りまで、おてがみを読んで楽しくすごすんです。
だから、安心してね。
新しいもっちゃんのてがみを読んで、
「大きくなったね」
と、男雛と女雛が顔を見合わせてほほえみました。

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