ミミズは鳴くのか鳴ないのか
エキレビ「何と読む?「集く」「集る」ミミズは鳴くのか鳴ないのか「米光一成の表現道場」」書きました。
今回の「難読漢字」は、「集う」「集く」「集る」の「集」特集。
そのあとに前回の「蚯蚓鳴く(ミミズなく)」に関するリアクションにアンサーしました。
そこにもちらと書きましたが、最初、
「蚯蚓鳴く」で秋の季語。とはいえ、発声器官を持っていないので鳴いたりはしない。
って書いてたんですよね。
あれ? といっても鈴虫だって羽根をこすり合わせて鳴いているわけで、発声器官で鳴いているわけじゃないな、とすると、「発声器官を持っていないので鳴いたりしない」というのは因果が成立してないぞ。って推敲してるときに思ったのです。
それで、「発音器官を持ってない」に修正。
考えてみると「鈴虫の鳴き声」というのは厳密に考えるとおかしな表現で、声というのは「のどから口を通って出る音」であるので、厳密には「鈴虫の鳴き音」であって「声」ではない。
そもそも「鳴き」が、口偏に鳥なので、「鳥の鳴き声」はいいけど、「虫の鳴き声」はどうなんだろう。
まあ、「鈴虫の鳴き声」というのは、鈴虫が羽根をこすりあわせて立てる音を、「鳥が鳴いているように(虫が鳴いていている)」という比喩表現でしょう。マンガにするとリーンリーンと言う吹き出しのシッポは鈴虫の口に向いている。
そうなると、羽根をこすりあわせて音を立ててる情景を思い浮かべると、「虫の鳴き声が聞こえるね」と言いずらくなっちゃう。ので、「集く虫の音」なんていう言い方がよいかもしれません。
言葉を的確に選ぶというのはむずかしいねーって話でした(って、こんなこと考えて原稿を書くから、短くても1日も2日もかかっちゃうんだよなー)。
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