人は環境によって選ばされているのか

人は環境によって選ばされているのか

WIRED VOL.32 DIGITAL WELL-BEING』のユヴァル・ノア・ハラリとトリスタン・ハリスとニコラス/トンプソンの鼎談が興味深かった。
“人間の思考は、強い影響力に対して思っているほど完全防備ではないのです”ということが繰り返し繰り返し、異なる言い方で語られている。その繰り返しのバリエーションの豊かさがすごい。
そもそもタイトルが“人間はハックされる動物である”だ。“人の気持がわかり、その先が予想できるなら、人の気持ちを改ざんしたり、操作したり、代替することだってできてしま”うと、説明し、「YouTube」の例をあげる(欲望のありかを探り当てられてサジェストによって見なくてもいい動画をダラダラと見てしまう罠)。
民主主義は操り人形(パペットショー)になってしまうだろう」とユヴァルの言葉を引用し、“人間という生き物のリヴァースエンジニアリングが進んでいる” “ポーカーフェイスが通用する時代は終わる” さらにFacebookを20億人の懺悔を聞く神父の立場にたとえて“この神父のビジネスモデルは、告解部屋へのアクセスを第三者に売り渡すこと”だと語る。
もっともインパクトあったのはこのくだりだ。
21歳のとき自分が同性愛者だと悟って以来、そもそもそのことにいままで気が付かないなんてことがどうして起こったのかという疑問が頭をかけ巡っていました。” ユヴァル・ノア・ハラリは続ける。“コンピューターやアルゴリズムならもっと早く見抜いていたかもしれない”。水着の男女が出てきたときに視線がどちらに向くかといった単純な測定で特定できたかも、と推論する。
もし14歳でそのことがわかっていたら、自分の人生はどうなっていたか。そして“このことをアルゴリズムから知らされていたら、ひどく自我が傷ついたんじゃないか”。いや、それどころか、自分では気づいていないのに、ネット側がそのことに先に気づき、“例えばコカ・コーラはわたしの秘密を知っていて、上半身裸の男のコマーシャルを見せてくる。ライヴァルのペプシは高度なアルゴリズムを使っていないので、ビキニを着た女の子をコマーシャルを流す”、するとユヴァルは自然とコカ・コーラを買ってしまう。“自分でコークを選んだと思っているのに、実際はハックされていたわけです”。

ちなみにメンタリストのDaiGoが『これがメンタリズムです』の中で「人は、自分の意思で『選んでいる』のではなく、周囲の環境によって『選ばされている』」って言ってて、メンタリストに翻弄されるようにパーソナライズされたネット情報の海で翻弄されてる画が浮かんだり。

ここから先は

872字

¥ 100

サポートいただいたら、記事に還元できることに使います。表現道場マガジンをよろしく! また、記事単体で購入できますが、月額800円「表現道場マガジン」がお得です。