確定申告関係で改善すべきこと

noteを更新せずにずいぶん経ちましたが、ちょっと時間があるので久しぶりに投稿しようと思います。

更新せずにいる間、FP1級の実技試験を受けて、それに合格し晴れて1級フィナンシャル・プランニング技能士の称号も得たのですが、その話は別稿で(たぶん)するとして、今回は表題の通り、確定申告のネタです。

今回、2022(令和4)年度の確定申告は、実は消費税の申告期限は今月いっぱいまでではあるものの、今月3月15日にその期限が終わっており、ちょっと時宜に遅れている感はありますが、確定申告で改善すべきことを備忘も含め書いていきます。

医療費控除はもはや廃止すべき

医療費控除ほどよく知られた所得控除はないのではないかと思います。それは言い過ぎにしても、確定申告で医療費控除、というのは多くの人が認識していることかと思います。

が、医療費控除の理解が正しくされているか、極めて怪しいと思っています。

今年も確定申告の時期に電話相談や会場での相談業務に多く従事しましたが、なんど「医療費控除は払った医療費そのものが返ってくるというものではないですよ」と説明したことか。

確定申告会場は大変な混雑を見せるわけですが、その混雑の原因をつくっている多くが医療費控除の申告ではないかと体感的に思っています。

そして、何が医療費控除にあたるのかというのはやりだすとかなり細かい。

つまり、ものすごく事務負担がかかっています。

そもそも、医療費控除を制度として設けなくとも、高額療養費の給付で、それなりに手当てがされているのではないかと思います。

ということで、医療費控除の意義は今やだいぶ薄く、その割に事務負担を膨大にしているので、いっそ廃止すれば良いと考えるに至りました。
(書いていると長くなるので、これも別稿にします。たぶん。いつか。)

生命保険料控除はせめて通知様式を統一すべき

生命保険料控除というものがあります。
生命保険料を支払った場合、一定額が生命保険料控除として所得控除となるというものです。会社員であれば年末調整で処理されます。

生命保険料控除の計算方法は例によって複雑で、新・旧の制度によるものかどうか、一般・介護・個人年金のどれかか、というものを判別しなければなりません。

それはしょうがないとしても、問題なのは、生命保険会社が生命保険料控除のお知らせとして送付してくる郵便物(たいていはハガキ)の様式が各社てんでバラバラだということです。

そのため、書面のどこにどの情報があるのか、各社マチマチとなるため、余計な時間がかかってしょうがありません。ただでさえ複雑なのに、情報の拾い方を間違えるというミスも頻発します。

対応している保険会社であれば、マイナポータルから情報を拾ってくることができて、連携すれば確定申告書にその情報を取り込むので、これはこれでとても便利で良いのですが、これを活用して申告してる人はたぶんそんなに多くないです。

本来であれば生命保険料控除も所得控除として存在する意義自体問われるべきでしょうが、医療費控除のように制度そのものをなくせとまでは言いません。が、せめて様式は統一していただきたい。

生命保険協会はぜひ協会全体として取り組んでください。

青色申告特別控除(特に55or65万円)の要件厳格化

青色申告特別控除で55or65万円の控除を受ける場合、貸借対照表(賃借対照表(ちんしゃくたいしょうひょう)ではないので念のため)を作成することとなっています。

この貸借対照表、一般納税者が作成しているものだと、正しく作成されているほうがむしろ少ないのではないかと思います。

所得税の確定申告での貸借対照表で数値(残高と言います)がマイナスになることはおよそないはずなのですが、残高がマイナスになっているものを見たのは、一回ではありません。

この点、誰でも簡単に確定申告ができると謳う会計ソフトで、残高がマイナスになっている場合にアラートを出すといったことになっておらず、なんとなれば国税庁の確定申告書作成コーナーで作ったものであっても、残高がマイナスのまま普通に申告できてしまいます。

一瞥すれば明らかにオカシイわけですが、システム的に手当てされているわけでもなく、スルーされています。

残高を合わせるの、やるとなると結構大変で、残高が合わないことから確認していくと会計処理が間違っていたことに気づくというのは極めてよくあります。逆にいえば、しっかりと貸借対照表ができていれば、会計数値としての正確性が高いだろうという推測が成り立ち、だからこそ優遇しているはずなわけです。

そうであるのに明らかにおかしな残高数値であっても55or65万円の控除ができるとなるのは、優遇措置を取っている意味がないです。正しくやっている者との不公平感すら生みます。

貸借対照表の残高がマイナスとなっている情報は、抽出するのは容易でしょうから、バシバシ是正させるかことによっては55or65万円控除の取消するかしていただきたいものです。

チェックリスト(シート)を添付すべき

現在、譲渡所得や住宅ローン控除といった申告ではチェックリストが用意されてますが、通常の事業所得や不動産所得の申告ではそういったものは用意されていません。

で、見ていると、一般納税者が単純に必要経費とならないものを必要経費として処理しているということを悪意なく行っています。

必要経費となるかビミョーという解釈のレベルではなく、明らかに必要経費とならないレベルの、例えば借入金の元金部分が利子割引料に含まれていたり、住民税額や所得税額が租税公課に含まれていたり、社会保険料が福利厚生費や租税公課に含まれていたりすることが、ままあります。

下手すると、社会保険料を必要経費としたうえでさらに社会保険料控除に含めているという例も、きっとあります。

これらは、ほとんどが、言っちゃ悪いですが無知からくるものです。よくわからないけれど払ったものは経費になると考えて経費にしたというただそれだけのことだと思います。

ということで、「借入金の元金部分を必要経費にしていませんか?」といった、基本的な事項のチェックリストを用意すれば、これらのミスは大きく減るのではないかと思います。

チェックリストはあまり多くするとイヤになって形式に堕するので、よくある間違いに絞ったA4用紙1枚でまとまったものを作り、白色・青色共通部分、青色申告者用の欄を設ければいいと思います。そのうえで、白色申告はともかく、青色申告の場合、このチェックリスト提出も必須の要件とすべきです。

国税庁は是正指導を躊躇なく行ってほしい

青色申告者であっても単純におかしな決算書が山のように提出されているということは、税務署の中の人であれば当然に認識していることと思います。

これまで、あまりに目立つものについてはお尋ね文書を送付する等していたかと思いますが、明らかにオカシイけれどもスルーしていたものがほとんどかと思います。

申告書は全てデータ化されているでしょうから異常値の抽出は容易かと思われ、あまりに目立つものに限らず、お尋ね文書を出す閾値を下げて、積極的に是正指導をしていっていただきたいと思います。そうじゃないと、租税の公平性を確保できなくなります。別に税理士の仕事を増やそうっていうのではなくて。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。



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