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まれによく間違われる累進課税制度を正しく理解する①

テーマとしては相当陳腐化していると思われ、そこかしこに記事がありますが、それでもなお、ことあるごとにどこかで誰かがずっと書き続けるべきテーマであると思っているので、わたしも書きます。

我が国(というより多くの諸外国)は所得税のほか、相続税、贈与税は累進課税制度を導入しています。

所得税には総合課税と分離課税と大きく二つありますが、以下、所得税の総合課税を例にこの累進課税制度について述べていきます。

この、累進課税制度は、しばしば誤解されているように思えます。
(ネットスラングでいう、まれによくある誤解です。)

所得税法第八十九条に、所得税の税率が書いてあります。税率がどれだけか、というのは当たり前ですが法律に書いてあります。
(憲法第84条 「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」=租税法律主義)

課税所得金額というものに、どれだけの税率を乗じるかというものを規定しています。

まずはe-govからそのまま持ってきます。

百九十五万円以下の金額           百分の五
百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額  百分の十
三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額 百分の二十
六百九十五万円を超え九百万円以下の金額   百分の二十三
九百万円を超え千八百万円以下の金額     百分の三十三
千八百万円を超え四千万円以下の金額     百分の四十
四千万円を超える金額            百分の四十五

漢字表記で見にくいので、数字に直して表記を少し改めます。

~195万円以下        5%           
195万円超~330万円以下    10%
330万円超~695万円以下     20%
695万円超~900万円以下   23%
900万円超~1,800万円以下    33%
1,800万円超~4,000万円以下 40%
4,000万円超          45%

さて、では課税所得金額が1,000万円のとき、税額はいくらでしょうか。

1,000万円は、900万円超~1,800万円以下 のところだから、税率は33%
だから、1,000万円×33%=330万円!

はい、むしろありがとうございます。不正解です。

正解は
195万円×5%=97,500円
(330万円-195万円)×10%=135,000円
(695万円-330万円)×20%=730,000円
(900万円-695万円)×23%=471,500円
(1,000万円-900万円)×33%=330,000円
上記合計 1,764,000円

となります。(実際にはこれに復興特別所得税額がかかります)

もし、最初の計算であれば、例えば890万円の人と910万円の人がいた場合

890万円×23%=2,047,000円
910万円×33%=3,003,000円

と、20万円しか違わないのに、税額は100万円近く違うことになってしまいます。そんなバカなって話ですよね。

なので、それぞれの段階ごとの税率を計算して、それを合計する、ということをします。そうすると、先の例だと、計算過程を省略して税額結果だけ書くと

890万円→1,411,000円
910万円→1,467,000円 

と、違いは56,000円くらいになります。

これが、累進税率のキホンです。

次回は、毎回こんな面倒な計算しなきゃならんのか
⇒もう少し計算楽な方法あるよ、ということを紹介します。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。

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