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恋しくて憎らしい大阪

人生男をおっかけて、大阪へ行った。
初めて"会った"のが大阪だったから、今回も大阪にしよーって、なんとなくで選んだ。いろんな景色を駆け抜けたけど、全部キラキラだったな。わたしには自慢のハートのサングラスがあったから。
ある日突然ミンギュがくれた、ハートのサングラス。かけるとね、全部の景色がハートに光るの。信じられないよね。でもね、ほんとなんだよね、これが。わたしの世界は一変した。いつからか、世界はこうやって見るものだと信じきっていた。

だけど、ハートのサングラスは大阪で粉々になった。ミンギュがぐちゃぐちゃに壊したんだ。喧嘩だ!
なんで?どうして?わたしはそりゃあもう、めちゃくちゃに怒った。あんなにも大事にしていたハートのサングラス。大泣きした。がんばってくっつけようにも、もう粉々でくっつけようがないの。どうしたらいいかわかんなかった。ミンギュがくれたんじゃん。ミンギュがくれたから、大事にしてたんじゃん。意味わかんない。ムカつく。なにも壊さなくなっていいじゃん。ひどい。あんまりだ。なんでそういうことするの。意地悪。もう知らない。
思ってもないことを思うことでしか、わたしはわたしを保てなくて、また泣いた。責めるのは簡単だからって、全部をミンギュのせいにしてみたりした。びくともしない大木だからって叩いてみたりして。手も心も、びりびりして痛かった。お酒をいっぱい飲んでも、全然気持ちよくなれなかった。これから、どうやって生きていけばいいの。朝なんて来なければいいと思ったし、朝が来ても来なくてもわたしには関係なかった。

次の日、どうやら朝はやって来たようで、不貞腐れながらミンギュを見に行った。ハートのサングラスはもうないんだから、きれいな景色は見られないに決まってる。大好きって思うのが憎らしくて、一生懸命我慢してみたりした。
こっち向いて、あぁ!催促しちゃったじゃんか。負けない。わたしは怒ってるんだからね。
ハハ、だれに言い聞かせてたんだろう。

でも、ミンギュが最後の最後に、下手端から上手端まで全速力で駆け抜けきてくれたとき、目の前にハートが飛び散った。
ハートが、見える。
ハートだ!
どうして、わたしもう、ハートのサングラスをつけてないのに。信じられない。ほんと?わたし、いまハートが見える。ハートをいっぱいに纏ったミンギュがこちらに走ってくる。あー。飛んでいきたい。涙でぐちゃぐちゃになりながら必死に追っかけた。でもこれが、ミンギュとわたしの最短距離だ。きれい、キラキラ!絶対に来てくれると思った。来てくれると思ったタイミングで、来てくれた。やっぱり王子さまだ。汗っかきのキラキラ王子。わたしの、わたしの王子。それが全部だ。
大好き、大好き、大好き!
気持ちが質量を持っていなくてよかった、京セラドームはきっと潰れていた。

あ〜あ。完敗。

こうして、わたしはハートのサングラスを手放した。ハートのサングラスは、もういらない。この世にはハートが本当にあることを知ったから。ミンギュはそれを教えてくれた人。ハートのサングラスを通さなくても、いまのわたしにはハートが見える。変わらずキラキラ。世界はいつもハートで満ちてるよ。やり方は少々強引だったけどね。もっと怒ろうと思ってたのに。顔見たら、脳が溶けるんやもん。

やもん、ちょっとくすぐったい。でも、いじらしくてかわいいからつけてみた。


好きやけど 好きやのに
好きやから 好きやんか

大阪LOVERを聞いたとき、稲妻が走った。ドリカムの曲はほとんど知らないし、2007年からもう17年も経っているし、今日カラオケで人が歌ってたのをたまたま聞いただけ。なんの関係もないわたしに共鳴するんだから、音楽ってヘンテコな魔法だと思う。
何度大阪へ来てたって、右側にいないといけないエスカレーターも、聞こえてくるコテコテの関西弁も、重たい粉もんも、全然慣れない。だけど、

何度ここへ来てたって
また来るのはあなたがおるからやもん
楽しそうにしてたって
それはあなたがここにおるからやもん
どんだけけんかしたって
あなただけ ほんまに大切やもん
もう「こっち来いや」って言って
あぁ!!!催促してしもたやないの



ミンギュ大好き!なんて

一生に一度の告白やんか!
恋しくて憎らしい大阪

大好きでくやしーぜミンギュ

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