が嫌いだ。

嘘ってなんだ。自分の本心ではないもの。空洞なもの。風船。少しチクッと刺したら瞬間で消えてしまうもの。口へんに虚しいと書いて嘘。漢字作った人はセンスあるよね。

わたしは白黒ハッキリしている。好だと思ったら好きって言う。嫌だと思ったら嫌だって言う。楽しくないなら楽しい顔はしない。共感できないなら慰めの言葉はかけない。 嫌なことを言われたら怒る。悔しいことがあったら泣く。面白かったら爆笑する。興味がないことには時間を割かない。興味を持ったら猪突猛進する。


自分で自分の言動の価値を下げたくないんだ。わたしが本当に思ったことが、届かなくなりそうで怖い。どれが本心か分からなくなりそうで怖い。オオカミ少年になるのが怖い。オオカミが来たって言ってるじゃん。どうして。そうやってオオカミに食われて死ぬのは、最悪ルートだ。

でも嘘って時には必要らしいよ。知ってる、そういうの「うそもほーべん」って言うんだ。おとながよく使うやつ。わたしがわたしの言動の価値を保つためにストレートにマイナスな感情を顕にする時、人に迷惑をかける。人を傷つける。人を不快にさせる。どうしてそうなっちゃうんだ、本当のことを言いたいだけなのに。わたしだけ地球に迷い込んできたみたいな感覚になる。
相手にもぶつけて欲しいのに。でも、おとなが牛耳ってるこの世界では、それは通用しないらしい。わたしだけぶつけることになってしまう。おとなみたいになんてなるもんかといつまでも維持を張っていたら、おとなに負けるんだ。悔しい。わたしは自分の意志でおとなになってやるんだ。知らず知らずのうちにおとなになったおとなとは違う。
大人になればできるようになるかな、うそもほーべん。前はクソくらえと思っていたけど、最近は憧れる。

憧れる嘘。空っぽじゃない嘘。相手を思ってつく嘘。好きな人がわたしについた嘘は全部優しかった。大丈夫じゃないのになんで大丈夫って言うの。あのときは怒ったけど、あれもきっと優しさだった。こういうの、嘘って言うのかな。だってそれって空っぽじゃないじゃんね。口へんに虚しいと書いて嘘じゃん。全然虚しくない。愛が詰まってる。
じゃあ、口へんに愛とかで「噯」とかどう?

でもさ、口へん愛って書いて「噯(おくび)」って、ゲップって意味なんだって。


前言撤回。漢字作った人頭おかしい。世の中そう思った通りには行かないよねー!wwwww

でもじゃあこれもさ、漢字が全部キレーーに意味も成り立ちもすべての辻褄が合まくってたら、「口へんに虚って書いて嘘」にそんなに感動しなかったかもしれない。口へんに愛って書いてまさかのゲップオチがあるのも含めて漢字愛し〜〜〜♥ってなるし、だから辻褄が合ってる漢字の希少価値が高まるじゃん。すごいなあって。

そんな感じじゃん。嫌いがあるから、好きがあるじゃん。地獄があるから、天国があるじゃん。汚い感情があるから、きれいな気持ちがあるじゃん。

どっちも大事にしたい。全部わたしだから。汚いが悪くてきれいが良いとかじゃない。ハッピーセット。ゴッホの「夜のカフェテラス」は青と黄色の対抗色が、すごくきれい。反対があるから愛しい。


嘘が嫌いなんじゃなくて、嘘の「虚」の部分が嫌いなだけだった。でも、口へんに愛を、わたしは「ほんと」とでも読もうかな。噯をたくさんつきたい。

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