時間
をかけること。それはいのちをあげること。
人間は必ず死ぬ。有限なかわいい生き物。その限られた時間を何に使うか。時間を費やすということは、その対象に時間を、人生を、いのちをあげること。
跳躍しすぎかな。大袈裟かな。だけど私は、そんな風に捉えている。
この訳には、おとなにもわかるように"ひまつぶし"と書かれている。直訳は、時間を費やす、という感じ。私は最近、この時間に、強烈に魅せられている。時間ってなんて魅力的なんだろう。
時は金なり。お金と同じくらい時間は大切という意味。そうかな。私にはお金より時間の方がよっぽどキラキラして見える。お金が欲しいんじゃない。お金は、生憎お金がないとうまく生きられない世の中を生き抜くための打開策だ。本当に欲しいものは、時間だった。以前は自分の時間を安売りして、全部をお金に変えていた。でも、わたしはわたしの時間を大事にすべきだった。いのちを、大事なことに使わなくちゃ。
名古屋から乗った夜行バス。大阪から乗った夜行バス。私は、新幹線よりも安いから乗っているのだと思っていた。だけど、実際にはお金は大して変わらない。ちゃんと取られた。私はたぶん、自ら夜行バスを選んだ。
帰りが長引くから。魔法がより長く続くから。ずっと続いてほしいから。おうちに帰るまでがライブだから。
足は伸ばせないし、超疲れるし、到着は早朝だし、首はもげそうなくらい痛くなる。足がむくんでブーツがキツい。重い荷物と重い体を引きずって、家まで文字通り地を這うようにして帰る。だけど、わたしはそれが好きだ。好きで、それに時間をかけている。そんな風にわたしの時間を費やしたいと思う。時間を費やすと、気持ちも増す。かけた時間がもったいないから大事にしてるんじゃない。ほんとに気持ちが増すんだ。まぶたの裏に太陽の残像を見ながら浸る時間が、わたしは大好きだ。別に急がば回れという意味じゃない。たぶん、短い道の方が安全で賢いと思う。でもあえて、こっちを選んでるんだ。
内藤濯は"ひまつぶし"、河野万里子は"時間を費やす"と訳したけど、わたしの訳は、「時間をあげる」かな。
ミンギュには、わたしの時間をあげたいと心底思う。ミンギュには、どれだけ時間があっても足りない。ミンギュはわたしの、時間泥棒だね。ふふ。持ってけ持ってけ。
以上、時間/空気/温度/君のうち、時間について考えてみました。
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