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沖縄に来た本当の理由③

「1945    沖縄」
のキーワードでリターンを押した瞬間、そこには「沖縄戦」「唯一の地上戦」と出てきた。
ユタが言っていた「40年」ジャストで検索したらこうなった。私は1985年生まれ。
ちょうど、40年だった。私はこの年にこの世を離れ、40年後の日本にまた生まれてきたというのか。私は元来、調べ出すと止まらない性格なので、今回も止まらなくなった、いや、いつもより完全に激しいのめり込みようだった。
そこですぐにたどり着いたのが、「ガマ」の存在。直感ですぐにわかった、「あ、あの空間はこれだ、沖縄特有の鍾乳洞。間違いないなー。」とブツブツ言いながらずっと調べていた。
それとセットかのように次に出てきたのが
「火炎放射器」
これも直感で夢で見たあの炎の源だと思った。
あんな炎を私は現代でも見たことない。当時のアメリカ軍が使った強力な兵器と聞けばあの威力も頷ける。
3時間ほど無我夢中に検索して、天井を眺めた。「なんか変なことなっちゃったなー….」
そう思った。とにかく怖いし、不気味。
自分の中の魂が?そんなことある?生まれ変わり?
そんな韓国ドラマがNetflixにあってたとしても「なんかストーリーが陳腐だな〜」なんて思って選ばないかもしれない。
それくらい自分の体験に胡散臭さを感じてしまっていた。やっぱりここでも、そう思いたかったのかもしれない。「いやぁ。そんな訳…笑」
と思いながらも、さっきの夢を思い出してしまう。
ヌルヌルザラザラとした岩肌、蒸し暑いのに時に入ってくる少し涼しい風。こどもたちの存在。私のあの時の感情。
やはり、まるきりの夢とは思えなかった。
 
「じゃあ私がやられた場所は今も、この現代の沖縄にあるって事…?!」
急にストーン!と納得し、今度はLCCのチケットを見ていた。
二週間後、5月26日発の那覇行きのチケットをすぐにとった。
勿論今回はロベルトは呼ばない。(行きたがっていたけれど)

そして迎えた二週間後、私は一人で那覇空港にいた。自動ドアが開いた瞬間にムワッとする感じ。バンコクに着いた時と少し似ている。
まずはモノレールに乗って、前回仲良くなってくれたボラーチョスに行くことにした。
店長に軽くこの話をすると、「今、沖縄県立博物館で沖縄戦のシンポジウムやってるだろ。行ってみたらいいんじゃん」と言われ、調べてみた。
「しまくとぅばで語る沖縄戦」というシンポジウムだった。
しまくとぅばとは「島言葉」、まだ沖縄2回目の私が果たして理解出来るのか不安だったが、言われた通りにモノレールで新都心方面へと向かった。
沖縄県立博物・美術館は思ったよりも大きな要塞のような風貌をしていた。中に入ると、横並びに会議用の白くて大きな机が置いてあり、そこに座っていくようだ。私はギリギリだったので、前から二番目の席に着いた。
映像の内容は、糸満方面で起きたことについて、糸満の言葉で語っているおばーやおじーの話。字幕はなかったかあったか覚えていないし、聞き取れなかったことは覚えている。
とにかく、凄惨な経験を皆さんが語られていた。
映像のあと、糸満のおばーにマイクが渡されしまくとぅばで話をしてくれた。
それがどれだけ貴重な経験かは何となく感じていた。この時思ったことは「糸満の人だったのに、現世ではこの言葉を聞き取れないんだな。」と。この時はまだ疑っていたに違いない。自分自身を疑っていた。
映像と質疑応答のような時間が終わり、「今日の感想を聞きたいので、指名しますねー」と司会の女性が言った。
やめてください。こういうの、絶対当てられる。
「そこのお若い方、ハイ、女性の方、見たところ一番この中でお若そうなので、お話を。はいはい、どうぞ、はい、お願いします。」
マイクを持って話すことはあまり好きでは無いけど、もうここは仕方ない、旅の恥は掻き捨てだ。
「私は内地から来たのですが、沖縄戦を勉強していて、こちらのシンポジウムに来させて頂きました。しまくとぅばはわかりませんでしたが、とても貴重な体験談、映像を見ることが出来、感謝です。」と言った。
パチパチパチ….部屋の複数人がまばらに、大きめの拍手をしてくれた。

どうにかミッションをクリアした私は、外に出た。そこで帰りに何を考えていたかは全く覚えていない。

その時だった。
「ねぇ、あなた!あなた、ちょっと待って、ちょっと」とおばさんが私を見ながら、こちらに走ってくる。

私は目を疑った。このおばさん、なんか金の粒子みたいなん出してますやん。この言葉通りに当時も思った。金の絵の具を水で溶かしたものがその人から湧き上がるようなイメージ。金の微粒子はまるで1つの塊かのように、形を変えながら彼女の特に顔面、後ろ頭から発生していた。

私はハッキリ見たことがない。ここまでパッと見て、ここまでの色が見える人は。

彼女は少し息を切らしながら
「あなた、ただ戦を勉強しに来たんじゃないね?!」

「!??????」
エッ…こわい。何?どうしよう。
一瞬何が起こったかわからず、あのユタの目にも似たような目をしばらく見ていた気がする。
口は動くのに言葉が出てこない。
とにかく、怖い。知られたくはない事がバレたような。
その瞬間は眩しいほど晴れていたのに、パラパラ、キラキラと雨粒が降っていた。


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