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二度あることは三度ある(出産0日目の日記)

三人目出産を間近にひかえた妊娠37週目。夜中にお腹が張って何度も起きた。

妊娠中は眠りが浅く、夜中に起きてそのまま寝られないことが多かったけれど、それにしても今夜は赤ちゃんがよく動く。

時計をみると3時をまわったばかり。また寝ようとゆっくり深呼吸したつぎの瞬間、はっと目を覚ますとものすごくお腹が痛い。……ヤバい!これって産まれるんじゃない!?

となりに寝ている夫に「救急車…よんで……!」と頼もうとするも、まったく声がでない。必死に口をパクパクさせている間にもどんどんお産が進んでいく。まずいまずいまずい、このままでは自宅で産まれてしまう……。

「うわぁっっ!!!」

あれほど出せなかった声がやっとでて飛びおきた。

試しにもう一度「あーあー」と言ってみると、問題なく発声できる。そうだ、赤ちゃんは?ふくらんだお腹にそっと手をおくと、ムニムニっと動いた。

「なんだ夢か。めちゃくちゃリアルだったなぁ……」

・・・

翌朝、出勤前の夫に「自宅で出産してしまう夢を見たんだよね」と話すと

「それはお告げだな。もうすぐ産まれるかもね」と言い切る夫。

妊娠37週は正産期とよばれ、いつ産れてもおかしくない時期。……でも、私は過去2回の出産はどちらも40週過ぎてからだった。

二度あることは三度ある

今回も、出産は予定日過ぎるかなとどこか悠長にかまえいて、この日も「今日のランチは何を食べようかな」で頭のなかはいっぱいだったのだ。

・・・

朝の夢を引きずっていた午前中。子どもたちを保育園に送りとどけ、ほっと一息ついたところで、今までの出産に思いを巡らせてみる。

1人目の出産は、誘発分娩の予定で入院した日だった。

明け方から微弱で規則的な痛みが続いていたのだが「子宮口は開いてないし、産まれるのは早くても今日の深夜になるかな~」と助産師さん。

里帰り出産だったため、夜の出産に間に合うよう、夫は会社を早退してこちらに向かうことになった。

しかし、昼12時に入院してすぐ、微弱だった痛みがだんだんと強い痛みへ。体力つけなきゃと昼食で出されたカレーを食べようとするものの、なかなか喉を通らない。

これが……深夜まで……つづくのか………

と思っていたら、様子を見にきてくれた助産師さんが「あれ?すごいすごい!!もう子宮口が全開にちかいですよ。分娩室にいきましょうか」と。

えっ!もう??

頭のなかがハテナでいっぱいのまま、言われるがまま分娩室で体勢を整え、1時間弱。ついに「おぎゃ~」と元気な赤ちゃんの声を聞くことができた。陣痛から出産までは12時間だった。

夫が出産の知らせを受けたのは新幹線に乗るまえのこと。結局、1人目は出産立ち合いに間に合わなかった。

・・・

2人目の出産は里帰りせず自宅近くの総合病院で、だった。

40週の妊婦検診で「子宮口が4センチ開いて赤ちゃんが下りてきていますね」と言われ、即入院。

しかし、この時点でお腹の痛みはなく、産まれる実感はゼロ。このまま陣痛がつかなかったら、誘発分娩で出産は夜になりそうと、助産師さんから説明を受ける。

なので、夫に電話口で、「夜に産まれるみたい。仕事終わりに病院よれば立ち合い間に合うと思う」と伝えたところ、「いまから早退してすぐ向かうよ!」と夫。2人目の出産はなんとか立ち会いたいと急いで行動したらしい。おかげで夕方には病院についた。

一方、私。

またまた入院後すぐ陣痛がはじまり、すぐに分娩台へ。それから間もなくして「おぎゃ~おぎゃ~」。陣痛から2時間のスピード出産だった。

肝心の夫の出産立ち合いは、

早退して駆けつけたことが功を奏し、今回は間一髪で間に合ったのだった。

・・・

前回は直前まで陣痛がなく、気がつくともう出産だった。

もしかして今朝の夢は「出産のとき、病院に間に合わないかも……」という不安がカタチになったのかな?

そんなことをぼんやり考えていると、なんだか急に怖く思えてきた。お腹もキュ~っといつもより強く張る気がする。一度、病院にいって診てもらおう。

念のため夫に電話をかけ「お腹が張るからちょっと病院行ってくる。でも陣痛はきてないしすぐ出産にはならないと思うよ」と伝えて、1人で病院へ向かった。

昼下がりの病院は、ちょうど休診中で閑散としていた。着いてすぐ内診台に通される。

「あ。子宮口が4センチ開いて、赤ちゃんが下りてきていますね」

……え?デジャヴ??

「このまま入院ですか?」おそるおそる助産師さんに聞くと「そのほうがいいね~」とにこやかに返答。

モニターで赤ちゃんの状態をみてもらいつつ、急いで夫に連絡した。

「やっぱり今日から入院になってしまった~。悪いんだけど入院セットをもって病院にきてくれないかな?あと子どもたちは、8時まで保育園で見てもらうよう頼んでおくね」

「そうか!分かった!!実はもう早退して病院にむかってるよ。あと1時間でつくからね」と夫。どうやら最初の電話で仕事を切り上げて帰ってきたとのこと。

良かった良かった。保育園のお迎えがあるから、今回は立ち会いできるか分からないけど、夕方2時間くらいは一緒に過ごせそうだ。

そうしている間に、微弱ながらやっと陣痛がはじまり分娩室に移動することになった。

・・・

さて、ここからはあまり記憶がさだかではないのだけれど…。分娩室について間もなく夫が到着した。

「いつごろ産まれますか?保育園のお迎えで7時半には病院をでないといけないんです」と夫が助産師さんに尋ねている。

「あ。大丈夫、大丈夫。そんなにかからないですよ。5時40分には産まれるかな」

「ええ!そんな早く!?」

夫と助産師さんの会話が頭のうえを素通りしていく。っていうか、今いったい何時なんだ??

それから何度目かの大きな痛みの波をこえて、ついに「おぎゃ~おぎゃ~おぎゃ~」

……ひときわ小さい体で、でも誰よりも大きな泣き声で、わが家の3人目の赤ちゃんが産まれた。時刻は5時40分をすぎたところだった。

・・・

インフルエンザ流行のため、私が入院している間は、病棟全体が面会謝絶になってしまった。

「次に会うのは退院してからだね」

名残惜しそうに、産まれたばかりの赤ちゃんを抱っこする夫。立ち合い出産に間に合って本当に良かった。すぐに早退してきた夫はナイス判断だった。定時まで職場にいたら間に合っていなかったもんね。

すると、笑いながら夫が言った。

「ヨリの『まだ産まれない』はあてにならないから」

……どうやら、私は3回とも「まだ産まれないから大丈夫」と、夫に伝えていたようだった。

二度あることは三度ある

「確かににあてにならないねー」「よっぽど夢のお告げのほうがあてになるわー」と、夫と2人で顔を見合わせて苦笑いした産後0日目の夜だった。


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写真は産後1日目のくしゃくしゃの泣き顔。


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