たびってなあに?
まもなく3歳の息子は、どうやら絵本が好きみたい。
長いお話だって何のその。最後までじっと聞いている。
そのことに気がついてから、就寝前の絵本がふたりの習慣になった。
その日、息子が選んだ物語は、孤独なカエルと夢の子羊が旅にでる話。
ページをめくるたび、2匹の旅がゆったり巡り、季節が静かに移ろいでゆく。
「たびって なあに?」
息子がこちらを見て言った。
うん、なんだろう。
孤独なカエルのように、足りない何かを探しにいくこと?
夢の子羊のように、友人にそっと寄り添い共に歩むこと?
──たびって、まずは「知りたい」っていう気持ちからはじまると思うよ。
まもなく3歳の息子にそう言うと、きょとん顔で返された。
これは君のはじめての「なあに」。
今日を皮切りに、どんどんと疑問を口にするんだろうね。
知りたいというその気持ち、どうか大切にしてほしい。
それは君のこと、今よりずっと遠くずっと深くまで導いてくれるものだから。
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