生物学的、人類学的コミュニティ考察3

仕事や趣味で、大量の写真を選別しなくてはいけないことがある。それを使って動画などを編集するために。その時にふと気が付いたことがある。集団の中で、満面の笑みで、屈託なく笑っている顔の人がいる。とてもいい表情で、ついついそういう人の写真を動画に使ってしまう、そんな人。他の人も笑っているが、明らかにキラキラした笑顔ができる人がいる。そこで思ったことがその人たちは、デフォルトで笑っているのである。普段の顔が笑顔なのだ。

 笑顔という表情は、唯一後天的に人間だけが学んだ身に着けた表情だ。しかも2歳までに身に着ける表情だ。とどこかで読んだ。狼に育てられた娘は生涯笑わなかったらしい。親の表情を真似すると親が笑ってくれるから赤ちゃんは笑うという。親が笑ってくれているのをみてこの人は私に危害を加えないと認識するから笑う。笑顔でいることで安全・安心を確保する。コミュニティーの中での生存戦略として身に着けた。だから笑顔が得意の人は、親がその時期に多くの笑顔を見せていたはずなのである。今回ビデオの編集用に大量の写真を見ていて、デフォルト笑顔の2名がいた。それぞれ男性と女性。そこで思い切ってその2人にそのことを伝えたら、意外な共通点があった。二人ともお母さんが保母さんや幼稚園の先生。そう子供に笑いかけるのが仕事なのだ。私の仮説が証明されたようで嬉しかった。

 デフォルト笑顔の人は、裏表がなく感じられる。感情表現が豊かに見える。きっと、シクシクではなく、おいおい、もしくは、えんえん、泣く。(と勝手に決めているが未確認)こう見ると裏表がなく、デフォルト笑顔は無敵に見える。笑顔は七難隠すとも言われるが、まさにそう思える。

 しかし、「はにかむ」「微笑む」も人として魅力的で、こちらのほうが魅力度が高く感じられる場合のほうが多い気もする。モナリザは絶対にデフォルト笑顔ではない。それでは作品に品がない。(デフォルト笑顔の人に品がないと言っているわけではない。)メーテルが魅力的なのは謎があり、大笑いしないけど、嬉しいとちょっとだけ微笑む、そこが魅力的に見える人もいる。私の前でだけ、その表情、その屈託の無さを見せてくれる。と言うのは、絶対に男の人なら好きだったりする。(と決めつける)

 「デフォルト笑顔」も「はにかむ」も「微笑む」も、ときに「無理やりの作り笑顔」もすべて笑顔でどっちがいい、という問題ではない。人は人を安心させるためにこの評定にたどり着いた。人がコミュニティーの中で獲得した表情、それが笑顔だ。そういえば知的障害の子供と接する機会があった。彼らは、それこそ屈託も裏表もなく笑顔で一生懸命話しをしてくれる。コレも多分そういうことではないか?自分が他人に危害を加えないことをアピールしてくれている。

 「今の私、うまく笑えているかな?」とどこかの歌手が歌っていた。自分がどんな笑顔で笑っているのか?が気になってきた。

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