見出し画像

輪島からいらしたお客様とのエピソード【私が養老乃瀧Gで働く理由③百武賢吾/だんまや水産杜の里店】

2024年元旦の能登半島地震発生から約3カ月。いまだに避難生活を強いられている方々も多くいらっしゃいます。一刻も早い復興を願ってやみません。

先日、だんまや水産杜の里店(オーダーバイキング店舗)の百武賢吾店長が、先の震災で大きな被害のあった能登半島輪島からいらしたお客様のエピソードを教えてくれました。

今回は、百武店長の報告内容をそのまま寄稿します。

あらためて考えた「地域社会への貢献」

1月下旬にご来店くださったお客様のエピソードです。

お客様は、ご家族4名様で来られました。ご飲食後、女性の方がさし場に立っている私のもとまでわざわざいらっしゃって

「輪島から来ました。本当に本当においしかった。たくさん食べさせていただいて、うれしくてお礼が言いたくて」

と言葉に詰まりながら、最後は大泣きされておりました。

相当苦しかったのでしょう。その思いが伝わってきました。他のお客様の前ということもあり、お連れのお客様が抱きかかえ、急いで帰られましたので詳しいお話は聞けておりません。営業中の急なことで、正直あせりもありました。それでも

「感謝するのはこっちなのに」
「何をしてあげられるだろう」

と思いつつ、

「苦しかったですね。ご無事でよかったです」
「たくさん食べていただいてよかったです」

と頭を下げて感謝を伝え、お帰りいただきました。

これまでは「地域社会に貢献する」という言葉をきれいごととまでは言いませんが、すごく難しいことだと思っていました。

「食べ放題だから来てくれている」「近くの店だから来てくれている」といったことではなく、もっと高いレベルを求められている。「貢献」とは「目標」であって、現実的ではないだろう。そんな気がしていました。

あのお客様がなぜ当店を選ばれたのかはわかりませんし、たまたまいらっしゃっただけかもしれません。ただこの場所で、同じ石川県内で食べ飲み放題をやっていたから、海鮮居酒屋をやっていたから出会えたお客様で、あの日あの状況で来られなければ感動を与えることも感謝していただくこともなかったかもしれません。

でも、おいしいと思っていただける料理を出し、いい営業ができたからこそ、感動していただくことができたのだと思います。

「日々の営業を、1日1日を大切にしなさい」

担当のリーダーから常に言われている言葉を、あらためて実感した瞬間でもありました。

今回の件は被災という状況があったからこそ、生まれたものではありますし、何も特別なことはしていません。

ただ、あの時に適当な接客をして中途半端な料理を出していれば、感動まではしていただけなかったと思います。

いい営業をしてくれた従業員に感謝するとともに、いい営業ができていることを確認させてくれたお客様にも感謝しています。10年間この会社で働かせていただき、今までで一番「地域に必要とされる居酒屋」になれた気がしました。

正直、感謝で泣かれる経験は人生初でした。一生忘れられない経験をさせていただきました。現在の常連さん達も同じように認めてくださっているからこそ、来ていただけているのだと思います。

「もっと満足していただこう」
「もっと来たくなる店にしたい」

そういったモチベーションにつながる出来事でした。

動機はどうであれ、まずは来てくださったお客様に満足していただくこと。そして、その先に感動を与えられるような営業をすること。

たまたまいらっしゃった人でも、近いから来てくれた人でも、理由は関係ありません。来てくださったすべてのお客様に感謝し、満足していただくことで「また来たい」と思っていただく。

それが、地域に必要とされて貢献につながるということ。自分が勝手に大きく、難しく考えていただけで。答えはシンプルなのだと感じました。

日々、いい営業を積み重ねること。お客様の立場に立った営業を行うこと。それが口先だけでなく、心から必要なことなのだと強く思えた日でした。

一人ひとりが、自分たちの仕事について考える機会に

皆さんはこの報告を読んで、どう感じましたか?

お客様に感動を与える仕事とは、どんなものでしょうか。
果たしてそれは、私たちにできることなのでしょうか。

今回の百武さんからの報告を、あらためて一人ひとりが自分たちの仕事について考える機会にしたいと思います。

(終わり)


この記事が参加している募集

自己紹介

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?