無能でごめんなさい

今日は少しセンシティブな気分。

共通テストを終えてからまるで勉強に身が入らない。理由は自分に絶望したから。中1から高2まで遊び散らかしていたつけといえばそう。でもそれよりも何よりも自分の生まれ持った学力、所謂地頭に絶望している。

もちろん知っている、努力すればいいって。でも努力したってわかんないんだよできないよ。頭のいい人にはきっとこの感情はわかんないだろうけど。

つまんない。

気を紛らわそうと夕食後少し離れたコメダ珈琲に歩いて行きそこで勉強することにした。厚い服を着て右側のほとんど使えないイヤホンはめて、散歩してくれると勘違いした犬を押しのけて。雨が降ってたけどそんなの知るもんか、僕は頭が悪いんだ。

自分の能力の低さを感じた時いつも「どうしようもない恋の唄」という映画に出ていたヒロインを思い出す。小太りでかわいくなくて頭がよくなくて安いソープ嬢。そのヒロインが頭のいいキャバ嬢に引け目を感じて泣いてしまうシーン。こんな気持ちだったのかな。

コメダ珈琲に向かう。頭の中は明日の三者面談のシミュレーションで忙しい。でも、今の僕は何もかもが億劫。頭ん中を覗くと、なにもかも知るもんかという態度の僕が先生に反抗していた。よい姿勢で悪い言葉遣いだった。人間が人間をツールとして使っていることが不思議でたまらない。こんなにも頭が悪いんだから大学に行ったってしょうがない。受かっても落ちてもどうだっていい、僕は頭が悪いんだ。そんなことを言っていた。

コメダ珈琲に行くにはバイパスを通り川を渡らなければならない。バイパスを登りきる直前に雨でぬれた道路が光を反射してクッソ綺麗だった。登り切ってしまうと車が横を走る音で自分の独り言が聞こえなくなっていた。だから声を張り上げて世間への愚痴を叫んだ。

頭が悪くてすみませんでした!

どうぞ見下しオナニーの対象にでも使ってください!

くそしょうもない全員しねよ普通に!

あーあ!本当に鬱陶しい!本文から根拠でも探しとけよクソがよぉ!気持ちわりぃ

滅茶苦茶すっきりした。家でも言えないようなことを外でしかも大声で言えたことに少し満足している。いつもは音楽とかリスニング教材を聞きながら歩いているけど、おセンチな日は何も耳に入らないし、入ったとて心地悪い。音楽は1の元気を100にしてくれるけど0を1にはしないことを知っている。

もうすぐコメダ珈琲に着く傘もささずに飛び出してきたから結構濡れている。一番上に着てたのがなんか水をはじくとまではいかないが、といった感じの素材だったのでとりあえずそれを脱ぎ、濡れた頭をパーカー帽子の中にぶち込んで店に入った。その時にはもう九時近かったのであんまり人はいなかった。のくせにいつもの席をとられていたのでその隣に座った。閉店まで鬱をエスケープするつもりだったので大きなサイズを頼んだ。

コーヒー飲んでるときは案外落ち着いて国語ができた。闘鶏場のお話。これもまた人間のエゴだな気持ち悪。

閉店近くなり店をでた。それまで明るい気持ちだったけど頭ん中で三者面談が始まるとネガティブシンキングは止まらなくなる。往路で叫んだようなことを復路でも繰り返す。つまんない。しょうもない。

でも、今度は差別主義者の秀才たちではなくてそれを包含した社会全体にヘイトが向いていた。もちろん中心は差別主義者の秀才だけど。

人の感情を根拠をもとに考えるのがきもい

ペットを可愛いから可愛がってそうでない個体は破棄するのが気持ち悪い。

点Pでも動かして計算してそれができない奴を下に見てろ一生

人間にとって得のあるカビの繫殖を発酵。害のあるカビの発酵を腐敗と呼ぶのが気持ち悪い

うまいからという理由で肉を食いまずいからという理由で肉を捨てる人間が動物愛護とは笑わせんな

文化という理由で諸外国の反対を押切り捕鯨しているくせに残して廃棄している日本が憎い

子供なんて生まれること自体親のエゴなのに家族愛とかわけわかんない

単語覚えて大事なことでも忘れとけ

生きててすみませんでした

勉強できなくてすみませんでした

こんなことを叫んだりつぶやいたりしながら帰っていると、涙が自然とあふれ出してきた。悲しいのか悔しいのかさみしいのかわかんなかった。涙はすぐにとまった。というか止めた。人間涙を流すと無意識に泣いてしまうポイントを探してしまう生物のような気がしたから。涙を流すと幾分ましな気分になった気がしたけどそんな感情直ぐに消え去った。

バイパスにコインが落ちているのを見つけた。よく見ると「MGP」と書いている。カタカナを見るとミスグランプリと書いていた。遺伝で運よく可愛らしく生まれた人間がこんなコインを調子こいてつくってブスを見下しておごり高ぶっているのを思うと心底ムカついてくる。柄ではないがそのコインをパントキックしてぶっ飛ばした。サッカーしてたけど人間関係こじらせて辞めた。

ぽっけの中に手を突っ込むと450円分の硬貨の感触が手から伝わる。こんなに憎い資本主義の象徴がぽっけの中にあんのが悔しかったな。たぶん金貨三枚でシータを売ったパズーもこんな気持ちだったんだろな。今の自分は家出の支度に40秒も要らない。

コンビニを見っけて用を足そうと思って入った、なんかもう本当にすべてどうでもよくなり何も買わずに出てやろうかと思ったけどクソ社会への些細な反抗としてカップヌードルを食いながら帰ってやることにした。我ながらなんだそれ。とにかくどうでもよかった何もかも。

しょうもない。

あぁしょうもない。

夜の11時だけど自販機でエナジードリンクを買ってやった。頭悪いからこの時間帯からのむ。

母から電話があった。ずいぶん憔悴しきった声。どこから話せばいいんだろう、と母。父が今流行っている例のやつに罹ったらしい。とりま帰れって。

ここ最近で一番笑った。心の底から。心配だし大変なことだけど。笑った。

電話中に頬に携帯が震える感触が伝わった。通話を終え見てみると唯一の親友が僕の異常に勘付いてラインを送ってきてた。さすがだな、頭が上がらん。脳みそ詰まってねぇけど。

唯一の親友は秀才。大好き

家についた。


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