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アニメ『平家物語』の魅力

はじめに

こんにちは。題名にもある通りこの記事の中ではアニメ『平家物語』の魅力を語りたいと思います! 

ちなみにこの『平家物語』は数百シリーズのアニメを見てきた僕にとって一番のアニメです。めちゃくちゃ面白いしすごいしとにかく魅力的です。

ネタバレせずに語るのでぜひ気軽に読んでください。

本文!

アニメ『平家物語』とは?

まず、前提の整理をしていきましょう。
アニメ『平家物語』は2021年に放送されたサイエンスSARUというアニメ制作会社によって制作されたアニメです。
監督に山田尚子、脚本に吉田玲子、音楽に牛尾憲輔という映画『聲の形』の主要制作陣が手掛けている作品となっています!

そして、原作はもちろん『平家物語』です。ガチの、あの、平家物語です。アニメ『平家物語』の中では栄華を極めた平家が壇ノ浦で散るまでが描かれています。
これらネタバレではなく教養です!
寧ろ、これを知らずに平家物語を観るのは、アニメの構造上魅力が半減してしまうので勿体ないですよ!(そんな人いないか)
ですが!ワンポイントだけ原作改変があります。それは主人公のびわちゃんの存在です。びわちゃんはひょんなことから栄華を極めた平家の人間と親睦を深め行動をともにするようになります。そんなびわちゃんですがある特殊能力を持っています。それは『未来が見える』というものです。この能力が物語にとてつもない深みを出しています。

平家物語の主題

私が思うに平家物語の主題は『今を生きる』だと考えています。(覚えといて)
メッセージそのものが魅力的なのは勿論のこと、物語を通してこのメッセージへのコミットのしかたがとても素晴らしいんです!
だからこそ、メッセージが私達に直接的に深く沁みて、物語に心揺さぶられるんです!
この記事では
・びわという存在
・山田尚子監督の特徴
・その他色々
に分けて語ります。一個ずっこ語ります。マターリと

びわという存在

びわちゃんは先程説明した通り『未来が見える』という特殊能力を持っています。では、それがこの物語の中でどのような役割を持っているのでしょうか?
びわは栄華を極め、『平家にあらずんば人にあらず』とまで言った平家が源氏に滅ぼされ、その多くが死んでしまうことを、予見していたのです。
未来を変えようと試みるもうまくいきません。

びわは大好きな人たちがいずれ死んでしまうと、殺されてしまうと分かっていながら、必死に大切に、『今を生きて』いきます。

そして、
『平安時代を生きながらこの顛末を知っている』
というびわの存在は
『平安時代を生きながら事の顛末を知らぬ平家』

『現代を生きながら事の顛末を知っている我々』
とを繋ぐ役割を果たしています。

(↑平家物語を知らずにアニメ観るのは勿体ないと上記した理由です。ことの顛末知らないと繋ぐも何もないからね。)

この『びわ』という存在が、この物語が「昔々」から始まり「〜とさ、おしまい」で終わる、いわゆるのアニメにとどまることを許しませんでした。平安時代をできる限り近い距離で描くことによって、我々は平家の人間や、大切に今を生きるびわに疑似体験とも言えるほどの深い感情移入を強いられます。これが、メッセージを強く増幅させています。

だから、この物語は『その時を生きた』話ではなく『今を生きる』話なんですね〜!
うまく着地できたかな。

山田尚子監督の特徴

今作の監督は(私が傾倒してやまない)山田尚子さんです。代表作に『けいおん!』『聲の形』『たまこまーけっと』『リズと青い鳥』などがあります。

山田尚子監督の特徴はずばり「キャラクターやその生活への解像度の高さ」です。

山田尚子監督はキャラクターの心情をセリフや行動だけでなく、服の着こなし方、姿勢、部屋の様子、取り巻く環境、表情や足の動かし方、エトセトラと
様々な角度から表現します

これは私が書いた記事で、山田尚子監督の『聲の形』を手話の観点から演出分析してる記事になります。山田尚子監督がどれほどまでに細部に拘っているかが伺えるので興味あればぜひ。↓

まぁ、宣伝はさておき。

多角的に繊細に雰囲気を表現するというのは彼女の想像力の豊かさが故になせる業であることは言及するまでもないでしょう。
柔らかく繊細に表現された世界は言葉で言い表すことが勿体ないほどの美しさを持っています。

我々はここまでの世界を目の当たりにしたとき、画面の情報は頭の中に刻まれるのではなく、心のなかにしまわれるような感覚に陥ります。
つまり、直接的に我々に届きます。

お気づきの方もいらっしゃるでしょう。
この山田尚子監督の特徴が平家物語にピッタリ合うんです。

びわや周りの人間の気持ちや生活を、山田尚子監督の想像力とともに繊細優美に描くことによって『今を生きる』びわ達が私達の心のなかに確実に存在するようになります。つまり、物語のテーマが私達に深く届くようになっています。
(もちろんですが、山田尚子監督の想像力で世界を描くということは史実に基づいてないということではなく、膨大な取材がありその上に山田尚子監督のエッセンスが降り掛かっているということです!)

これが、もしも『史実に基づいただけのアニメ』だと、『その時を生きたびわ』の物語になるでしょう。歴史マニアだけがニヤニヤして、アニメオタクが頷く所謂のアニメになっていたでしょう。
ですが、そこに、山田尚子監督の優しさが足されることによって、びわとその生活は我々の心に浸透し、所謂のに収まらず、『今を生きるびわ』の物語になってます。

ん〜、稚拙な文章、勘弁しちくり〜

その他

キャラデザ

今作のキャラクターデザインはとても特徴的ですね。少なくとも私は観たこと無いです。線が多くて色が多い、今っぽいキャラクターデザインからは遠く離れていますが、ものすごく馴染んでる。
造詣が深いわけではないので深く言及することは難しいですが、すごいよね〜まじで。

声優陣

今回の声優陣、とっっても豪華ですよね。声優でアニメを語るのはあまり好きではありませんが。流石に触れます。
平家物語は色々な面で現代アニメとは一線を画しています。キャラクターの数が多い、名前似ている、立場はそれぞれ違う、ととても求められる演技のレベルは高くなっていますがレベルの高い合格点をオールウェイズ超えてきています。
また山田尚子監督は声優さんによく比喩を用いた指示をされるのですが、主人公の悠木碧さんをはじめ、山田尚子監督作品に出た経験のある方も多く、監督の指示を的確に演技に活かすことができたのかもしれませんね。

音楽

このアニメの音楽は牛尾憲輔さんが担当されています。山田尚子監督は先ほども言及した通り画面から溢れ出す雰囲気にとても注力されているので、BGMや音楽にもとても拘られています。ですが、そこは牛尾憲輔。求められた雰囲気を作り出すことに成功しています。牛尾憲輔さんは聲の形やリズと青い鳥で山田尚子監督とタッグを組まれた経験があり相性が良いことがわかります。
音楽も詳しくはないので多くは語れませんが個人的には現代楽器を多用していることが印象的でした。全く古くささを感じさせないのでテーマである今を生きるの表現に一役買っていることは間違いないでしょう。

まとめ

この記事の中では主題である『今を生きる』へのコミットの仕方だけを語りました。もちろん語りきれてない魅力が五万とあります。
いろいろな角度から主題へコミットしていてそれが体系的に組み合わさり、心の奥深くに届き、今までにないほどの感動を僕に与えてくれました。
また、山田尚子監督の作品の魅力はその特徴上言葉では、少なくとも僕の語彙力ではうまく表現できません。観なきゃ始まらんのですよ、観てください。

あとがき

アニメ『平家物語』、観てね。
語り合おうぞ

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