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西用と変法

高鍋町で開催された IoTカンファレンス に参加してきました。最初の雰囲気で「あ、これは高いパッケージを売り付ける(=随意契約で入札とばすとか、事実上、落札確定させるための)営業目的のやつかも…」と一瞬だけ嫌な予感がしたのですが、中身は正反対でした。

高鍋スマートタウン化を推進するエイムネクスト社の展示デモにはRaspberry PiやArduinoが並んでいて、オープンな技術にも明るそうなイメージの会社でした。講演でもインフラの共用化により重複投資を抑えるための提案、自社で独占せずに、協業を良しとする、補助金には頼らない、などなど、哲学も共感できるものばかり。

それもそのはず、基調講演はOpenID foundationの崎村夏彦氏です。具体的なIoTの話よりもGAFAが台頭し始めたこの10数年の歴史と「西用と変法」の話がメインでした。この講演で初めてこの言葉を知りました。今までの社会構造の上にICTを導入してしまうのが「西洋の技術をそのまま用いる=西用」で、Excelを罫線描画のために使っちゃうような事例が当てはまります。それに対し「変法」は、新しい技術インフラを最大限に活かせるように社会の仕組み自体を最適化して行きましょうという考え方です。

IoTに限らず、ICTと社会の関わりをもっと大きな単位で捉えて仕組みを考えましょう、というお話だったと理解しました。自治体と一般の人の距離が凄く近い宮崎ならではの楽しみなプロジェクトだと思います。エイムネクスト社と違ってうちは補助金を幾つも頂きながら、やっと成り立っているような事業規模ですが[*1]、目指すべき大きな背中を見つけたような気分でいます。

[*1]若い人向けに補足すると、奨学金や補助金を貰うのは全然悪いことではなくて、むしろ活用すべきだと思います。ただ、継続してそれを目当てに仕事を回すようになると、向き合うべき相手を間違えることになります。

テレビや新聞が伝える政局ばかり見ていると暗澹とした気分になりがちですが、「変法」を見据えた取り組みをしようと呼びかける指導者がいる地域も確かに存在しています。

日本は全体的には衰退しつつあるが、やりようによっては真の意味で豊かになっていくのだと、そう思わせる人々と地域が、数は少ないが確実に存在する。 村上龍 - おしゃれと無縁に生きる

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