ロンドン芸術大学 大学院留学体験記 これからロンドン留学を目指す人へ


ぼくは、26歳の時、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ大学院に留学し約3年間ロンドンに滞在しました。専攻は美術で、修了制作展ではインスタレーションを展示しました。帰国後は、英検一級を取得し、美術作品を制作するかたわら塾で高校生に英語を教えています。ここでは、ロンドンに留学を考えている人にお役にたてるような情報と英語学習について何か参考になることを書ければと考えています。
現在の美術作品もホームページに公開しています。お時間あれば是非ご覧下さい。
https://www.cradle-art-music.com/

(ロンドン芸術大学大学院セントラル・セント・マーチンズでの修了制作)

ロンドンの美大についておおまかに

ロンドンの美術大学で有名な大学といえば、RCA、セントラル・セント・マーチンズ、チェルシー、ゴールドスミス・カレッジ、UCL Slade、とグラスゴー美術大学の名前があがるでしょう。RCAは言わずと知れたイギリス最高峰の美術大学です。卒業制作のクオリティーも高いのですが、学費が半端なく高価です。一年間に学費だけで400万円前後が必要です。
セントマーチンズは、ファッション学部がとても有名です。マックイーンやガリアーノが学んだことでも知られています。学費は一年間で180万円前後です。
チェルシーは、テートブリテンという美術館の前にキャンパスがあり、落ち着いた雰囲気でアジア人が多い印象です。日本人の学生にも人気です。学費は一年間180万円前後です。
ゴールドスミスは、総合大学で様々な学部があり、美術学部も有名です。ダミアン・ハーストが卒業したことでもよく知られています。学費は一年間320万円前後です。
Sladeは、UCL(ロンドン大学)の美術学部です。キャンパスはロンドンの中心にあり、とても学術的な大学です。学費は一年間360万円前後です。
グラスゴー美術大学は、卒業生の多くが、英国で最も権威ある美術賞、ターナー賞を受賞しています。しかし、スコットランドに位置しており田舎で、夜が長く暗いです。キャンパスがとてもお洒落で建築はチャールズ・レーニー・マッキントッシュのデザインで有名です。学費は一年間270万円前後です。
(学費はMA Fine Art の金額です。2019年1月2日のポンドが139円から140円ですのでその金額で換算しています。)

ぼくは、2010から2011年までセントラル・セント・マーチンズ(略してセントマ)の大学院で美術を学びました。当時セントマのMA Fine Artはチャーリング・クロスロードにありましたが、キングスクロスに新しいキャンパスを建て、引っ越しました。ぼくは、チャーリング・クロスロードのキャンパスで学んだ最後の世代となりました。

(セントマーチンズ キングスクロスキャンパス)

留学準備と入学の手続き

まず留学を決意したのは24歳。当時は、筑波大学の大学院に在籍していました。留学といっても最初は全く何をしていいかわかりませんでした。当時はアメリカの大学、例えばUCLAやシカゴ・インスティチュートなどを目指していましたが、学費があまりにも高くイギリスの大学に留学することに決めました。
インターネットで留学の仲介エージェンシーを見つけ相談にいきましたが、英語のスコアが足りないと凄く怒られたのをよく覚えています。そんな言い方しなくてもってぐらい。。。当時、ぼくの英語のスコアは英検2級ぐらいでした。イギリス留学にはIELTSという試験のスコアを提出しなければいけませんが、その点数が本当にとれなかった。セントマ大学院の入学にはIELTS6.5が必須です。現在でも6.5が必要ですが、以前より厳しくなり7.0を求める大学も出てきました。これは、英検に換算すると準一級から一級のレベルといえます。
日本で勉強していても全然点数が上がらなかったぼくは、まず語学留学することを決めました。
約半年間、語学学校で学びながらIELTSを受けてたのですが、なかなか点数が取れない。最終的に6回ぐらいは受け、ようやく合格点が取れました。イギリス人の面接官がとっても優しいお爺さんだったのをいまでも良く覚えています。

(語学学校 セントジャイルズ)

イギリス留学を考えている皆さんにまず言いたいこと。
とにかく英語の勉強が一番大事!!!
英語のスコアさえクリアーすれば逆に大学は選び放題です。僕は、セントマーチンズとチェルシー、グラスゴー美術大学の大学院入学許可をもらうことができました。応募した大学全てから合格をもらうことができたのです。

イギリスの美術大学に入学するには作品をまとめたポートフォリオの提出が必要ですが、ぼくが感じたことは日本の学生の作品のクオリティーは海外の学生より高いということです。
作品の見せ方、ポートフォリオの作り方(後日記述する) さえ勉強すれば大丈夫!!自信をもっていい。特に、東京芸術大学や多摩美、武蔵美に通う人、金沢や愛知、京都市芸に通っている人は作品で落とされることはないと思います。むこうの大学も生徒を集めたいんだし。大学もビジネスです。
でも、英語はどうしようもない。とても厳しく規定で決まっているんです。語学力が足りていない生徒は入学許可出しちゃダメって! 実技の点数は、好みや教授の判断でどうにでも点数が変わりますが、英語の点数は変えることができない。また、大学によってはSkypeで英語の面接をする大学もあります。

ぼくは、語学学校で、ぼくよりいい作品を作っている人が英語のスコアが足りなくて帰国するのを何人も見ました。シビアだと思いました。25歳の約半年、語学学校で勉強しましたが、その間一枚も絵を書くことが出来ませんでした。本当に英語漬けの日々。それは、作品を作ることを日常にしている人間からすると拷問のようでした。そもそも芸大に行くってことは勉強はあまり好きじゃない人も多いと思います。僕もそういう人間でした。でも、今思えばそれを乗り越えることが留学の肝でした。「英語」につきます。

(グラスゴー美術大学)

最終的に語学学校を卒業するギリギリ、IELTSで6.5がとれたとき涙が出たのを今でも思いだします。結局、留学を決意してから準備期間に丸2年かかりました。

どうやって英語を勉強したか おススメアプリ

ぼくは高校生のときは実技対策しかしていませんでした。デッサンを描いたり平面構成をしたり。だから英語はセンター200点満点中90点ぐらいだった。それから浪人して125点ぐらいにはなりました。本格的に英語を勉強しだしたのは大学三回生の時。TOEICの塾に通い始めました。それからTOEICで600点ぐらい取れるようになりました。筑波大学の大学院に進学するには英語のテストがあったから大学の時は必死で勉強しました。それから筑波に受かって留学の事も考え始めたのですが、先にも書いた通り英語のスコアが低いってエイジェンシーにすごく怒られた!
特に、スピーキングとライティングがすごく苦手だったんです。その頃TOEFLも受けたけれどスピーキングの時に逃げだしてやろうかと思うぐらい何も出来なかった。ライティングも散々でした。

どうしたらいいんだろう。とても悩みました。そんな時、つくば駅の掲示板に「英語教えます」って書いた外人の貼り紙を見つけました。思い切ってメールを打ってみたらすぐ電話があった。でも、電話とってビックリしたのは、その人全く日本語が話せないんです。
とにかくココスで会うことになってしまって、気がついたらぼくのつたない英語でレッスンを受けることになってしまってました。
でも、これが良かった!!
とっても優しいカナダ人の先生で、ぼくのカタゴトの英語にずっと英語でレッスンしてくれました。これでリスニングと特にスピーキングがあがりました。今でもこの先生とは仲良くしています。相変わらず英語を教えているようですが2年前にあったらやっぱり日本語が話せませんでした(笑) でも、この先生のカナダアクセントが今でも一番聞きやすいです。

とにかく外人と英語を話す環境に無理やり身を置くこと!!日本語を話さないようにすること!! でも、日本でそんな環境に身を置くには限界がある。ちょっと気を抜くと日本人と遊んでしまいます。だから、本当はすぐに語学留学するのが一番だと思います。
事実、語学学校での英語の伸びは格段に違いました。だって、身の回りの全てが英語なのですから。問題は一つ。お金です。イギリスは物価も高いし授業料も高いです。だから、経済的にゆとりがある人は、すぐにでも語学学校に行くことをお勧めします。お金がなかなか払えない人は日本で外人の先生(イギリスに行くならイギリス人がいい)とひたすら英語を話すことがいいと僕は思います。
この時に気をつけてることは英語ネイティブの講師を選ぶこと。第ニ言語として英語を勉強した講師、例えばインド人やフランス人などよりアメリカ人やイギリス人を選ぶこと。もちろん、講師の資格を持っている人は英語が上手だと思いますが、独特の訛りやアクセントがあります。それで英語を覚えるとネイティブとは違った発音で覚えてしまいリスニングやスピーキングに間違いがでます。イギリスに留学するならイギリス人の講師につくことが一番です。その国の文化も知れますし。

最近は、アプリもたくさんあるし、効率的に勉強出来ます。僕の時代にはそんないいものありませんでした。今僕がいいと感じるアプリをいくつか紹介します。

おススメアプリ
リスニングドリル
英語スピーチがダウンロードできます。字幕の設定も変えることができ、二カ国語の字幕を同時にだすことも可能です。成功者のスピーチですから話も面白い。

Voice Tube
スピーキングアプリです。流れた英文を覚え携帯のマイクに向かって話すというもの。発音が間違えている箇所がわかるような仕組みになっているのが便利です。自分のスピーキングを録音することもできます。

ざっくり英語ニュース!StudyNow
ちょっと面白いニュースが英語で読めます。重要単語や熟語の解説などもあり、暇の時に取り組みやすいアプリです。

あと、暇なとき携帯のSiriを英語設定にして話かけてみてください!!イギリス英語とアメリカ英語を変えるだけでSiriのアクセントももちろん変わりますし、回答の仕方もその国独特のの言い回しにしてくれて凄く面白いですよ。

最後に、行きたい大学のホームページを日本語に翻訳することをお勧めします。イギリスの大学のホームページのほとんどが英語のサイトしかなく、それが留学を難しくしている原因の一つです。もし、内容を理解することができれば仲介エージェンシーに頼る必要もないですし、入学手続きの基本は殆どどの大学も同じです。大学ごとに英語のスコアやポートフォリオの細かい指定が違うこと、学費が違うことは勿論ありますが、システムを理解すれば自分ひとりで応募出来るようになります。労力のいることですし留学仲介エージェンシーを通した方が安全で楽であることも事実ですが、自分が行きたい大学の情報を知っておくことは留学後にも有益になるはずです。

英語塾を開校し、授業の傍ら、英検や受験問題の分析や学習方法を研究しています。皆さまの学習に何か役に立つ事があれば幸いです。https://highgate-school.com/