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パピプペポーカーピリピーナ 12

「4人でマニラに行こうぜ!」

レガシーさんが唐突に言った。

「だってもうアンヘレス飽きちゃったもん。」


この人は本当に自由だ。

マリアとタヌキに聞いてみたら行きたいと言う。

今日で5日目なので、後2日分のお金をお店に払う。

ガイドさんに連絡して車を用意してもらう事にした。

彼の車は広いし快適だからみんなご機嫌になれる。

荷造りをしてマニラにゴー!


マニラに近付く程に車が混んで来る。

日中は更に渋滞していて、結局4時間以上かかった。


ホテルはマカティにある、

「ニューワールドマカティホテル」

1万円位で部屋は綺麗だし、プールも付いている。

マカティはオフィス街なので治安が良く、
日系企業も多く入っている。

日本食のお店や、
日本人向けのカラオケスナック等もある。


部屋で軽くシャワーを浴びて一息つき、
レガシーさん達と合流。

ここには洒落たバーラウンジが有り、
俺は覚えたての葉巻をふかす。

「愛ちゃんも一緒に日本帰ろうよ!」

「え〜、俺あと半月ほどのんびりする予定だしな。」

「良いじゃん良いじゃん、日本で遊ぼうよ。
フィリピンもう飽きた。」

自由人だ。

「まだ日本寒いでしょ?」

「いや、俺が来る頃はだいぶマシになってたよ。」

「うーん。」

「良いじゃん良いじゃん!一緒に帰ろうよ!」

泣く子とレガシーには敵わない。

「分かったよ。」

と言う事で明後日に急遽帰国する事に。


「明日は昼飯食べて、プールで遊んで、
ナイトバザーでも行こう!」

レガシーさんが提案して解散した。


部屋に戻り、マリアに明後日帰国する事を告げた。

「嫌だ!離れたくない。もう少しいて!」

彼女は号泣して俺にしがみつく。

「ごめん、仕事の予定が入ったんだ。」

「またすぐ戻って来る?」

「ああ。」


嘘だった。


もう来ないつもりでいる。

今回の事はいっときのアバンチュール。


所詮俺の根っこを張る場所は日本だし、
日本人の女性と結ばれたいと考えていた。


マリアは俺に抱きついて離れない。

激しいキスをして来た。

この子本当に可愛いな。


少しだけ恋心的な感情を抱いた。


翌日昼過ぎにプールに集合した。

海も楽しいが、プールもまた良い。

ベトベトしないし、砂だらけにもならない。

プールは少し狭いが充分楽しめた。


プールサイドでトロピカルドリンクを飲む。

幸せな時間だ。

確かに老後は良いかもな。

暖かくて物価が安い国でのんびり過ごせる。

しかし、家族や友達がいないのは寂しいな。

異国で群衆の中の孤独は余計寂しいだろう。

まぁそれは日本でも同じか。

行き着くところは人間との繋がりなんだ。


プールサイドで女の子とバカンスの最中なのに、
こんな事を考えてしまう。

やはりマリアとの別れが近づいているからだろうか。


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