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パピプペポーカーピリピーナ13最終話

「ショウにプレゼント!」

夜店で買って来たブレスレットだった。


我々はナイトバザーに行き、買い物を楽しんだ。

途中、マリアとタヌキが別行動をしたいと言い出した。

「良いよ、こっちはこっちでのんびりしてるから。
そこのカフェでコーヒーでも飲んで待ってるよ。」


彼女達が帰って来た。

何と俺たちに女の子達からささやかなプレゼント。

ブレスレット。


じーん。


俺もレガシーさんもうっすら涙を浮かべた。

貧しいながらもそれに負けず、健気に頑張るこの子達。

わずかなお小遣いを使ってプレゼントを買ってくれた。

その事実だけで感動したのだ。


「泣かされたのは俺たちの方だね!笑笑」

「確かにね!笑笑」

「でも俺もマリアを泣かしたよ。
離れたく無いって言ってしがみついて来た。」

「おお!凄いじゃん!俺んとこはまだだね。
羨ましい。」

しかし俺は何故か空虚な感じがしていた。

愛しても無いのにアイラブユーという日々。

もちろんアイラブユーしか、
女性に愛情表現をする英語が
わからないからでもあるが。


本当にこのままで良いんだろうか?

「じゃあ明日お昼にロビーで。」

いよいよ明日日本に帰国する。

お昼にチェックアウトして空港に向かう予定だ。


部屋に戻り、ラストナイトを過ごす。


腕枕をしながら聞いてみた。


「どうしてこんな仕事してるの?」

マリアは少し黙りこんだ。


そして話し出した。

「私のパパは病気で働けない。

ママが家族の大黒柱。

私には2人の幼い弟がいる。

私はファーストフードで働きながら
弟達の面倒を見ていた。

しかし何とママも病気で倒れてしまった。

家族の生活が私の肩にかかっている。

何の資格もない女が稼げると言えば、
こんな世界しか無い。」


俺は罪悪感でいっぱいだった。

こんな境遇の真面目な女性をもてあそんでしまった。

俺のバカバカ馬鹿!


俺は持っているフィリピンペソを全部マリアに渡した。

ポーカーハウスで換金したままの40万ペソ。


俺にはこんな事しか出来ない。


もてあそんだせめてもの罪滅ぼしだ。

マリアはその行為を愛の証と受け取った様だ。

「そんなに私の事を愛してくれるのね!」

これでママを病院に連れて行けるし、
弟達も学校に行けるわ!

そう言って嵐の様にキスをして来た。

余計こじらせてしまった様だ。

まぁ時間と共に自然と
フェードアウトして行くでしょう。

彼女には平均年収分以上の大金を渡したし、
こればかりはしょうがない事だ。

最後のメイクラブをして眠りについた。

ホテルをチェックアウトしていよいよお別れだ。

俺達は空港に向かう。

彼女達はアンヘレスに戻る。


レガシーさんのパートナーは結局泣かなかった。

マリアはここでも号泣。

俺は凄い罪悪感だ。


しかしここでお別れだ。

タクシーに乗り込んで出発する。

彼女達はずっと手を振って見送ってくれた。


「何だかんだで良い旅だったね!」

「うん、良い旅だった。」

飛行機の中ではずっとマリアの事を考えていた。

これはひょっとして好きになったのだろうか?

しかし彼女を選ぶと言うことは、
俺の人生設計を大きく考え直すという事になる。

俺は真剣に付き合うなら、
将来的な事も考えて付き合う。

遊びは別。

やっぱり無理だ。

好きで好きでたまらないなら話は別だが、
何となく好きになって来た程度では。

日本に帰国してからも、
彼女の号泣してすがって来る姿を思い出す。

忘れよう。


俺は南の空の遥かかなたを見上げてつぶやいた。

「マリア、ごめん。

そしてさようなら。」


その頃、南の国フィリピンのアンヘレスでは、
ジミーがベットでタバコを吹かしていた。

隣にはモデルばりの美女がジミーの腕にうずくまっている。


「あの日本人からいくらもらったんだい?」

「40万ペソよ。」

「ヒュー!俺の年収分以上だぜ!すげえな。」

「言わなかった?私バイトでモデルをしてたけど、

本当は女優志望よ。」



お・し・まい!


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