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パピプペポーカーピリピーナ⑤


全身キンキラキンのマフィアみたいな男がいた。

どかっとイスに座る悠然な態度。

好きな物を好きなだけ食べて、
やりたい事をやりたい放題に
出来る雰囲気のオーラが出ていた。

「あの人何者?」

「警官」

嘘でしょ!

彼の名はジミー。

ポーカーハウスの常連で、
ハウス側も何かと頼れるので優遇していた。

見た目とは裏腹に、声が高く笑い上戸だ。

フィリピンの町中で質問をする。

この中で一番悪い奴は?


みんな口を揃えてこう言う。


「警官」


職権乱用が凄いらしい。

汚職が蔓延している。

しかしこれはフィリピン人の問題で、
日本人の俺が口を出す問題では無い。

もちろん現在は改善されているでしょう。

話を戻す。

そんな警官ジミーは意外と気が良い奴で、
日本からのお土産のキットカットを
あげたら喜んでいた。

「おー、ブラザー!」

それ以来俺の顔を見ると気軽に声をかけて来た。

ジミーはポーカーが上手い。

人から金を巻き上げる
天性の素質があるのだろう。

何回もテーブルを囲んで打っているうちに、
お互いの腕をリスペクトし合う様になった。

無駄な打ち合いはしない。

ハウス側に手数料を取られるだけだからだ。

俺はそこまで凄い腕を持っている訳では無いが、
ここフィリピンの片田舎アンヘレスでは、
強い人認定される。

地元の顔役に気に入られた事で、
俺はこの町で少なくとも
ぼったくられる事は無くなった。

人との出会いとは本当に面白い。

人間が人間と人間の話をする時、
人間は1番面白い。
みつを

昔父親が相田みつをの絵本をくれた。

今でも覚えている。

普段ああしろこうしろと言わない
父の思いが詰まっている。

こう言う人間になりなさい。

そんなメッセージだったのだろう。


昼過ぎまで寝て、プールで軽く泳ぐ。

食事を食べて、また軽く寝る。

夕方以降に起きて、
食事を食べてポーカーハウスに行く。

こんな楽しい毎日を過ごしていた。

そんな時に彼が日本からやって来た。

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