トレーニングの原理原則
運動生理学の分野でトレーニングの原理原則(3原理・5原則)と言われているものをメモ代わりに書きます。
特異性の原理
ある力や技術を高めたい場合、その目的に応じた適切なトレーニングを行わなければならない。
例:腕の筋肉を鍛えたい場合は、その腕の筋肉が使われるトレーニングをする必要がある。スクワットをしても意味がない。
当たり前ですね。しかし、当たり前と思われつつもこれを外したトレーニングをやってしまっている場合がかなりあります。例えば、サッカーやバスケのシュート練習です。サッカーやバスケでは、フリーでシュートを打てる場面はそうそう多くありません。大抵はディフェンスにプレッシャーを受けながらになります。サッカーでいうと、南米や欧州では必ずと言っていい程ディフェンダーをつけてシュート練習をするそうです。が、日本ではフリーでシュートを打たせる練習をすることも多いのです。あくまでも試合の中でシュートを決めるトレーニングなので、試合中の状況と同じ状況で行う。これが特異性の原理です。
過負荷(オーバーロード)の原理
その人が現在持っている力や技術以上の負荷をかけなければ、トレーニングの効果は得られない。
例:最大100kgのバーベルを上げる人が、30kgのバーベルを上げても、最大筋力は上がらない。
これも当たり前ですね。毎日箸や鉛筆を持っていますが、指の筋力は上がっていきません。
ちょっと横道にそれますが、これは勉強などでも応用可能だと思います。1+1を何度やっても、計算は速く正確にはなりません。様々な種類の計算問題を、できるだけ短時間に、性格に解くトレーニングをすることで、計算力がつくはずです。
可逆性の原理
トレーニングの効果は、継続しなければ失われていく。失われるスピードは、効果を得るのにかかった時間が短いほど速い。
例:筋肉は使わなければどんどんと落ちていきますね。当然です。ただ、最大筋力は身体が記憶しているので、再度トレーニングを始めると、もとの筋力に戻るスピードは早いです。
漸進性の原則
トレーニングの量や強度は、成長に応じて段階的に高めていく必要がある。(つまり、ずっと同じトレーニングをやっていても成長は限定的)
例:バッティング練習では、100km/hのボールが打てるようになったら次は110km/h、それが打てるようになったら120km/h、と徐々にボールを速くしていくことでスムーズに上達する。ずっと100km/hで練習していたり、最初からいきなり150km/hを打とうとしても効果が薄いトレーニングとなる。
これは「過負荷の原理」がもとになっている原則です。成長すると、当然ですがより大きな負荷が必要になります。したがって、段階的に負荷を高めていく必要があります。
意識性(自覚性)の原則
指導者・競技者はともに、トレーニングの効果や意義を自覚し、意識しながらトレーニングをすることで、その効果を高めることができる。
トレーニングの目的がなんのためか、ということを指導者は把握していなければならないし、競技者もそれを理解・意識してトレーニングに臨むことが大切だということです。これは技術系のトレーニングでは当たり前になされていますが、身体を鍛える場合も同様です。
例:腹筋を鍛えるときに、腹筋を意識して動くのと、意識せず動くのでは筋肉の発達具合が全く違う。この場合の「意識する」というのは、「腹筋を手で触りながら動く」とか、「腹筋を直視しながら動く」ということです。これだけでトレーニングの効果は劇的に高まります。
全面性の原則
トレーニングでは、部位や種目に偏りなく、バランスよく強化するのが良い。
例:短距離走を速くするときに、太ももの裏側ばかり鍛えると、表側とのバランスが崩れ、怪我をしてしまう。裏側も表側もバランスよく鍛えることが大切。腹筋と背筋のバランスも同様。
個別性の原則
トレーニングは、それを行う個々人の体力・体質・技術・精神状態など応じて行うことで、その効果は高まる。
これ、日本ではかなりないがしろにされているやつですね。
「全員同じメニュー」はあかん、ということです。他の原理・原則から、一人ひとりがそれぞれにとって最適なトレーニングをすることで効果が最大化します。
継続性(反復性)の原則
トレーニングは、継続して行うことで初めてその効果を得ることができる。
可逆性の原理がもとになっている原則。当たり前ですよね。
おわりに
このトレーニングの原理原則ですが、スポーツだけではなく、勉強や芸術など、さまざまな場面に応用が可能だと考えています。
当たり前といえば当たり前の内容も多いのですが、だからこそもう一度見つめ直すことが必要だなーと感じる今日この頃です。
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