試合ばかりやっていて、サッカーは上達するのか?
サッカー部の顧問をしていて、「どうしたらこの子たちはもっとうまくなるのか」と、練習メニューを色々と構想することがある。
そんな中で出会った1冊の本。
A・P・マリーニョ,笠野英弘『子どもにサッカーの”本質”が伝わる本』東邦出版
これである。この本に、こんな文章を見つけた。
ブラジルでは、世界の他の国と同じように、だいたい14~16歳ごろに、プロ選手になる才能があるかどうかを見極めることができるといわれています。14~16歳ごろになって才能がある子どもは、初めて練習を行い、苦しく厳しいトレーニングを積み、プロ選手を目指すことになります。言い換えれば、才能のある子どもだけが、苦しく厳しい練習をすることができるのです。このブラジルの事例からわかることは、14歳ごろまでは練習をしなくても、プロサッカー選手になれるということです。(A・P・マリーニョ,笠野英弘『子どもにサッカーの”本質”が伝わる本』東邦出版)
は???????????
はぁ??????????????
プロになる子でも、14歳までは練習をしない・・・・・??????
・・・・・・・・
衝撃。
んで、色々調べてみると、スペインなどでも同じようなことがあるみたい。
どうやら。
「サッカーが下手」と世界からバカにされている日本では、小さい子どもに”プロ選手育成用の練習”を課し、大人達の熱心なアドバイスや叱咤激励により、サッカーを嫌いにさせていっている。
一方でブラジルやヨーロッパの一部の国では、14歳まではとにかくゲーム。とことんゲーム。試合、試合、試合。反省会とかそういうのもなし。なんせブラジルなどはストリートサッカーで、監督もコーチも誰もいないわけだから、ただただ「遊んでいる」というだけなのである。
この本を読むと、どうやらブラジル人の”サッカーの試合”の経験は、日本人のそれとは比較にならないくらい膨大な量なようだ。
確かに、サッカーというのは極めて偶然性の高いスポーツであり、かつ11人であるから、状況判断力やとっさのイマジネーションによるプレーなどは、ゲームの中でしか伸ばせない。練習というのは、ゲームの一部分を切り取って反復練習するものだが、サッカーで一部分だけを切り取っても、それがゲームで使えない可能性は高いのだろう。
日本の子どもたちが、サッカーとは異なる”部分的な練習”をやっている間に、ブラジルの子たちは試合ばかりやっている。やっぱり試合は楽しいから、自然と練習よりも気持ちが入ってくるし、ゲームの中でしか培えない状況判断力がつくのだろう。
そして、言われてみれば…ということが部活で思い当たる。
うちのサッカー部は、小学校からの経験者もいるが、中学から始める子もいる。今はそういう混合チームでやっているのだが、部分的な練習をしたあとにゲームをすると、確かに”経験者”は上手くなっているけれども、中学から始めた初心者はそれほどうまくなっていないのだ。おそらく、初心者はサッカーのゲームの経験が少ないから、部分的な練習を繰り返しても、試合でどう動けばいいか・どう技術を使えばいいかがわからないのだろうと思う。
ゲームばっかりしよう。
なんか遊んでばっかりの部活みたいになりそうだけど、まあいいや。
サッカーを好きになってもらえるのが一番だよなー。
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