カノエラナ、ライブ参戦記録vol.8
本記事は2020年4月17日に同作者によって別プラットフォームに投稿されたレポートです。
【第8章】
『脱皮、そして回避』
2018.1213
東京 新宿BLAZE
WIZY
間違いないと言えるだろう
この日が今までの全ライブ参戦(ここではこれ以前のライブの意でなく2020年現在においてのものとする)の中で最も意味深い日であったと
午前10時頃、歳を重ねたばかりの私は最寄り駅へ着いた。ピンクのキャリーとトートバッグを持ち、木曜日の街中を平然と闊歩する。
何が大学だ
この日あったゼミのグループ発表は休んでやった
代わりに発表用のパワーポイント、原稿を全て1人で作っておいて
何も責められることは無い。とこれから3日間の(日帰りを除いた)初遠征が始まる。
新幹線なんて金持ちの使うものだ
そう信じてやまなかったが初めての遠征にはもってこいだった。
大学に入って半年以上が経ち、遠くへ行くためのお金をようやく捻出出来るようになった。これもまた、遠征の鍵となる
初めて乗る座席、もう今後は暫くは世話にならないだろうと、完全に帰りのことを忘れた様子でじっとしている。
瞬きをすればそこはもう京都で、深呼吸をしたらはそこはもう名古屋だ。
新横浜、品川を経て、東京
少しだけ馴れた東京、山手線で新宿へ
東京に行くこと
これが何を意味するか。もちろんここでは優遇されてライブがあるからそれを最重要目的としている。
しかしながらそれだけではない。
勇者との出会い。
長く関わっていたりよく仲良くしてくれていた勇者は遠方の人が多かった
そういう人に会えること、自身の幅を広げてくれるファクターともなることは容易に想像出来る。
そんなこんなで新宿で時間を潰すことなど何も難しいことはなく、そこで繰り広げられる茶のしばきあいのような団欒があった。
会場で目に入る人、知り合い、知り合い、知らない人、知り合い。
幸いにも私は人に関する記憶力は十分以上にはあるので、私の腕をぺしぺしとはたく人のことも、小雨振る中、傘に入れろと言ってきた人のことも、波長の合ったノリでからかってくる連中のことも、どれもよく覚えている
多分忘れることも無い
金髪だと目立つし、すぐ分かるから、逐一人と人との間に立って誰々だなんて言って回ったりもした
2017年の3月に初めて参戦した時の私に伝えたらば、この状況にどうな言葉を乗せるだろうか
さて
ステージに飾らるるものは豪華絢爛だ
絵馬に言葉を書く
この言葉にはきっと裏切られるかもしれない。でも今、この時期(執筆時)だからこそ、この言葉が意味を成して欲しいとも思う
宴の合図、で始まるライブ。この曲も披露は初(と記憶している。もしかしたら数度どこかで歌われていた可能性はある)だったので必死で脳に焼き付ける。
これは他の記事(どれかのツアー記事)で言及したがその歌詞に惹かれるのはきっと皆であろう。
ピアノが奏でる曲も冬の寒さを染み込ませるだけでなく、会場で迎える暖かさを忘れずに封じ込めている。
この日椅子席があったが、ずっと座っていたなんて到底信じられないような感覚だった
アンコールの曲
キミにコイしてニジュウネン
WIZY盤を持っている人は知っていると思うがあの収録曲。
あの盤のあの曲は未だに聴けないまま青い鉄の中に放り込まれている。
アーティストから聴きたいけど聴きたくない言葉。
始まりがあれば当然終わりはあるわけであって、終わりがないのならあったはずの始まりは、始まりとは言わない
依存的に絡み合う言葉の知恵の輪をくぐり抜けることがやはりできないまま、私は大人になってしまった
そうしてライブは終わる。夜も拍車をかける
その後のこと、私はどうしてあのような選択をしたか、それは理にかなってはいるかもしれないけど、不本意だったような気もするし、別の選択肢を望んだような気がする。
第一、別の選択肢があったかどうかすら、私には分からないことであるが。
分かったのは、これからもここで生きる生活をしたいと思ったこと。この「ここ」というのが複数の意味を孕んでいること
それを実際に叶えて、今私がどこにいるのかを示していること。
そして続いていく、と
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