「働きやすくすると業績は下がるのか?」

先日、サイボウズにおける離職率と売上高のグラフを公開したところ、予想以上の反響をいただいたので、もう少しちゃんと説明します。

「働きやすい会社にしないと先がないよ」と脅すつもりはないし、「働きやすくしたら売上が増えるよ」なんて無責任なことを言うつもりもないです。あるソフトウェア企業が働き方を変革したらこうなった、という一事例としてお読みいただければ幸いです。

離職率と売上高の状況変化を時系列で説明します。

1997年~2001年 創業期

サイボウズは創業後、比較的早く成長し、起業して丸3年経った2000年8月に東証マザーズに上場しました。事業の急成長に採用が追い付かず、松山→大阪→東京と本社を移転しました。移転に伴って退職する人がいたものの、大家族のような団結感があった時期です。人手が足りないので、深夜残業や休日出勤も当たり前。長時間労働者の集まりでした。

2002年~2006年 混乱期

創業期のビジネスモデルが限界に達し、2002年は減収減益。ネット直販から間接販売に大きく舵を切りました。売上は何とか持ち直したものの、働き方は相変わらずのベンチャー体質で、2005年の離職率は28%。社長が交代したり、無謀なM&Aで9社を買収したり。まさに混乱期でした。

2007年~2011年 変革期

人事制度を大きく変えていった時期です。働く時間や場所を選択できるようになったのが功を奏して離職率は10%を切り、社内の雰囲気が明るくなっていくのを感じました。事業面では、グループウェア事業への集中を決意したものの、2008年にリーマンショックがあったり、Google Appsをはじめ新手のクラウドサービスが台頭したり、自分たちの売上が伸びない厳しい時期でした。

今から振り返るとこの時期が大事だったと思います。2010年には私も育児休暇を取りました。「売上よりも働き方の方が大事」というメッセージを繰り返し発信しながら、働き方が後戻りしないよう努めました。その陰で、多様なメンバーが役割分担しながら、次の成長に向けて準備を粛々と進めていました。

2012年~現在 再成長期

2011年末に自社クラウドサービス「cybozu.com」をリリース。積極的なプロモーションも手伝って、順調に売上は増加。社内の雰囲気はさらに明るくなりました。人事制度はさらに進化し、リモートワーク(在宅勤務など)をやりやすくしたり、副業を自由化したり、拠点を増やしたり、オフィスをハブ化したり、働き方の多様化をさらに進めた結果、離職率は5%を下回り続けています。

所感

離職率と売上に直接関係あるとは思いません。しかし、事業を変革し、新しい価値を創造していくとき、疲弊したメンバーから生まれるとは思えません。多様なメンバーが新しい発想をもたらしてくれます。

また、離職率が低ければいいとは思いません。日本の大企業は定年まで勤め上げる人が多く、そもそも離職率が低いです。私はサイボウズの離職率をこれ以上下げたいとは思っていません。経営者が社員を囲い込むことをやめ、個人の裁量を大胆に高めたときに、21世紀らしい楽しい会社を作れるんじゃないかと期待して経営しています。

さらに詳細については「チームのことだけ、考えた。」にまとめました。今後の働き方を考えるヒントにしていただけると嬉しいです。ではでは。

※[追記] 離職率は本社正社員のみの数字です。海外等は雇用環境が全く違うので外しています。

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ありがとうございます!
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コメント1件

離職率が低い職場はひとりひとりが大切にされていると思います。大切にされる・信頼されていると自然と期待以上に頑張ろうと思えてきます。大事にされていないと感じてしまう職場では、無意識に与えられたことだけやろうと思ってしまいます。そうすると仕事と雇用条件を天秤にかけてしまい、離職へとつながるのではないでしょうか?
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