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レバンガ北海道が失った今と未来

2018-19シーズン低迷を極めるレバンガ北海道。
3月30日時点で10勝40敗、B1東地区はもちろん18チーム中下位4チームが残留プレーオフへ出場する全体順位でも最下位を走り降格圏脱出はおろか残留プレーオフのホーム開催すら絶望的な状況だ。
また2月9日から12連敗中で残り10試合が全て東地区どうしの対戦というのを考えるとBリーグ記録の22連敗そしてB1初の年間50敗が現実味を帯びている。

低迷は必然だった

2017-18シーズン、レバンガ北海道は東地区最下位だったものの全体順位は18チーム中11位と早い段階でB1残留を決めた。
その原動力はなんと言っても水野宏太ヘッドコーチの手腕であった。
しかし水野氏は今シーズンアルバルク東京のアシスタントコーチに就任するため退団。
クラブとして資本も乏しい中で辛うじてB1で戦えていた部分の柱を繋ぎ止めることが出来なかった、これがレバンガにとっての「躓きの石」であったのだろう。

新しいヘッドコーチの選定は遅れチーム編成にも影響が及んだ。
8月下旬、ブラジルの名将ジョゼ・ネト氏の就任が決まったがロースターは前シーズンからほぼ据え置き+B2の控え選手という他のB1クラブより明らかに見劣りする編成となった。

それでもネト氏の確固たるビジョンとフィジカル重視な姿勢には期待を持っていた。
シーズン序盤、明らかに選手と戦術がミスマッチで全く結果が出ずB2降格を覚悟したものの長期的な強化を考えれば我慢の時間も必要だろうと思っていた。
しかし12月頭、クラブはジョゼ・ネトHCの解任と内海知秀アドバイザーのヘッドコーチ就任を発表、未来を捨て今にしがみつくという姿勢をクラブが露わにした瞬間であった。


なぜレバンガは未来を捨てなければいけなかったのか、そこには突然降って湧いてきたイベントの存在が関わっていた。

謎のオールスターゲーム招致

ジョゼ・ネト氏解任前、レバンガ北海道は2020年のBリーグオールスターゲームの招致に名乗りを上げる、2019年に新施設「アダストリアみとアリーナ」へホームアリーナを移す茨城ロボッツとの招致合戦の末、1票差で北海道でのオールスター開催が決まった。

バスケットボールのお祭りとも言えるオールスターが北海道で開催されることそのものはめでたいことだろうが、問題はBリーグのオールスターからB2のクラブが排除されていることだ。

1月19日に富山で行われたBリーグオールスター2019、その裏ではB2が通常のリーグ戦を行っていた。
それまではB2のリーグ戦もオールスター時には休止され、2018年には熊本で開催されるなどしていたのが今年から突然B2排除の姿勢を表した事で多くのファンから批判が出た。
しかし残念ながらこのB2排除は来年も続くようだ。

B2がホームとする体育館のスケジュールを見ると例年オールスターが開催される1月中旬にBクラブが施設を押さえているという。

つまり2020年もB2クラブはオールスターには出られない
→オールスターを誘致したホストチームがB2に降格するわけにはいかない
→意地でも残留するために未来を犠牲にしてでもネト氏解任
という図式がレバンガの中で成り立ったのだろう。

未来と今を両方失ったレバンガ

では未来を犠牲にしたレバンガが今を守れたのか。

内海氏がヘッドコーチに就任した12月は10試合で4勝6敗と持ち直したようにも見えたが1月からは7連敗、2月頭に同じく降格圏で戦う滋賀に連勝するもののそこから現在まで12連敗中。
他の降格圏クラブとの力の差も歴然としてきており残留プレーオフでの勝ち残りも絶望的な状況、もはや「降格しないためにどうするか」ではなく「降格したらどうするか」という話をしなければいけない段階に来ている。

たらればの話をしてもしょうがないのは承知の上で、もしネト氏がヘッドコーチのままだったなら同じB2降格という結果でもここまで絶望的にはならなかったのではないか。
未来を犠牲にし今も失い、残るのはチーム崩壊の末の降格という結果と自分たちがB2で試合をする真裏でホームアリーナを使い行われる空虚なイベントというのはあまりにも惨めではないのか。

オールスター招致にやたらと熱心だった折茂武彦社長兼選手に問いたい、クラブの未来を犠牲にするほどオールスターは意義のあるイベントなのか、50を目前にし選手としてのキャリアに終わりが見えてきた自分が最後に主催者兼プレイヤーとして脚光を浴びたかっただけではないのか。

ビジョン無きクラブは死あるのみ

以前、サッカーJFLの奈良クラブを引き合いに書いたことだが、スポーツクラブにとって最も重要なのはクラブが目指すべき確固たる目標・ビジョンを持つことだ。

レバンガ北海道は創設以来この部分をおざなりにし続けてきた。
いったい彼らは何のためにバスケをするのか、折茂さんは何のためにレラカムイから経営権を手にしたのか、何のためのオールスター招致だったのか。
これらに対する答えを折茂さんはじめフロント陣が持ち合わせているとは思えない。

どれだけ資本があっても、観客が集まっても、ビジョンを示せないクラブは長続きしない。

ビジョン無きクラブには「死」があるのみだ。

何度でも言おう、僕は生きているクラブ、生きようとしているクラブを応援したいと心から願っている、ただそれだけだ。

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